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「さて、ここは狩猟場。いくら皆さんが強くとも危険な場所である事に変わりはありません。決して油断をしない様に。皆さんで沢山狩ってきてくださいね」


 女が話し終えたと同時にクラスメイト達はいくつかのグループに分かれて行動を開始した。そして俺はというと……


『見事に孤立したねぇ』

『知るか!お前が俺をこき使うのが悪いだろ!何が神聖な竜だ!ちっとも神聖さを感じない!』

『ひどいなぁ…でもぉ、確かに神聖さがどうとか言われると何とも言えないなぁ。僕は神聖な存在だけど、神様みたいに心まで神聖なわけじゃないしぃ?弱肉強食の世界で生きていれば多少性格も歪むよねぇ』


 それはしょうがないで片付けて良い問題なのだろうか?数少ない人間の前に現れる瞬間だけでも偽ったらどうだろうか?


『そんなこと言ったてしょうがないよねぇ?偽った自分を演じ続けるのは結構大変だんだよぉ?』

『そんな事は分かっている。だが、それもリォルの仕事のうちだと思えばそうでもないだろ?』

『あるじみたいに吹っ切れた性格してないからねぇ?』


 魔術を使って竜と会話をしているなんて誰が思うだろうか。脳内でわちゃわちゃやってるうちに本当にクラスメイトが誰1人いなくなってしまった。まぁ、大丈夫だろう。多少の事は対処出来るしな。

 俺が森に足を踏み入れ様とした時だった。


「あ、あの……桜木君、もしよかったら私とパーティー組まない?」

「……あぁ、別に構わないが神崎は良かったのか?クラスの奴らと行かなくて」

「うん」

「そうか、ならいい。一緒に組んでくれ」


『この女たらし』だの『スケベ』だの暴言を吐いている生き物が一匹。俺は「女たらし」でも「スケベ」でもない。そこに関しては何があっても認めん。


「あ、あの!桜木君、私役に立たないかもしれないけどよろしくねっ!」

「あぁ、よろしく。早速で悪いんだが、3時の方向に鹿が一匹。7時の方向に熊が一匹居るが、どっちに行きたい?」

「え?くま?熊?居るの?」

「あぁ、この森の基本情報が載っている本にも書いてあったぞ?」


 熊が居たらもう安全とは言えないんじゃ……と呟いているが、俺にはどうしようも出来ない事なので聞き流そうとしたらリォルに『女の子慰めるくらいしないのぉ?クズ男だねぇ』と言われてしまい。仕方なく「いざとなたら俺が何とかするから大丈夫だ」と俺らしくない言葉を発する羽目になった。


「えっと、あれですね?」

「そうだな。ただの鹿だ。魔法をつかて仕留めてみるといい。近距離戦は俺が受け持とう。俺が居ても普通に魔法使ってくれて構わない。避けられるるから」

「……うん、そうならない様に頑張るよ」


 神崎は鹿に向かって魔法を放つ。


「`&!"&#%0!"%("!アイスアロー!」


 名前の通り氷の矢。魔力がある限り撃ち放題なこの魔法は便利な部類だと思う。

 さすが勇者とでもいうべきだろうか?威力も申し分ない。これなら戦力として数えても大丈夫そうだ。


***


 こんな感じで暫く狩を続けていた俺はとある事に気がついた。


『なんか魔力の揺れを感じないか?』

『ナーンにも感じないよぉ?なんでぇ?』

『いや、膨大な魔力の気配がするから気になったらけだ。リォルが何も感じないのなら俺の勘違いかもしれない』

『いやぁ、それはありえないかなぁ。あるじの今の体の状態は魔力にとても敏感になってるんだぁ。理由は僕が魔力を直接貰っていたからだと思うよぉ?。魔力の譲歩というのは思っている以上に体に負担がかかるんだからねぇ。挙句、魔力の干渉を受けやすくなってしまう為、人間は俺達竜族にそうそう魔力を分けてくれないんだぁ。中には魔力過多で苦しんでいる人も居るけどぉ、本当に稀だしぃ。そういう人は大体魔法を使う事が出来ないんだよねぇ。そうなるとやっぱり魔力の譲歩もすんなりいかなくてねぇ』

『そうなのか。俺が生きている限りは魔力くらい分けてやる』


「神崎さん、ちょっと良いかな?」

「え?あ、うん、何?」

「ここから300メートルくらい先に大きな魔力の揺れを感じるんだ。何かあると危ないから俺の後ろに居てくれる?」

「でもそれじゃ、神崎君は?」

「俺は大丈夫だから。安心して。さっきも見たでしょ?俺の戦闘」

「うん」


 神崎さんは大人しく俺の後ろに着いてきてくれる。俺は魔力の揺れがある方向へ向かった。何があるのか気になるのもあるが、もしこの森が何かされていたのなら無事ではすまないだろう。


 また聞こえるお経の様な声。今度は何を言っているのかはっきりわからない。しかし、何か唱えて居るであろう事は理解できた。

 俺は情報をいつもの様に聞き出す。事にする。


「なっ!はなせ!何をするっ!」


 顔を見ればそれは全員知った顔だった。何故ならばこの森に一緒に来た騎士達だったからだ。こいつらは俺達を裏切ったのか?何故魔族なんかと一緒に行動している!?


「なんのつもりだ?」

「それはこちらのセリフだ。いきなり襲い掛かってくるなど一体どういうつもりだ!?」

「いきなりだはないだろう?俺はそれなりに配慮したつもりだ」

「神崎、後ろ向いてろ。すぐ終わらせる」


 俺は少しだけ皮膚にナイフを滑らす。良い切れ味だ。


「うん、後ろ向いてる」


 一体どうしたら人間が魔族側につくのかと思っていたが、案外簡単だった様だ。この事件が起きている理由は国だな。国側の撃ち漏らしというのが正しいだろうか?戸籍のない人間、または戸籍を持っていない人。そう言った人々が金に釣られて、魔族の味方を慕ってわけか。


「一体どうしたものか」


 俺は少しうんざりしてしまった。この国の国王は何故こんなにも間抜けなんだろうか。大変だな。部下も。

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