第八十九話
「では作戦会議を始める、カルム報告を」
「はい、まずはイーリス様、クレイ殿、無事の御帰還何よりです、かなり期間が長くなりましたので心配しておりました」
「心配かけてすまない、だが私もバーリウムもかなり強くなったぞ」
「可能であれば連絡を頂きたかったのですが、まあよろしいでしょう、現在の状況ですがノイマン王国は戦争に参加せず我々とも敵対しないと確約を得ました、ただ上空は通過しないで欲しいとの要望がありましたので東の海上を北上する必要があります」
「うむ、問題ないな、他は?」
「我々と敵対するのはラファエル法王国、エリオン聖王国、魔法国家ホルンです」
「三国が相手となると突破は難しいな」
「私もそう思います、そこで今回もクレイ殿の浮遊戦艦を別動隊として目的地へ向かっていただく方が良ろしいのでは無いでしょうか?」
「我々の軍を囮に使うのか、それならば総攻撃は避け持久戦で戦えるか」
「クレイ殿どうでしょうか?」
「戦争の被害を最小限に抑えるにはそれしかないな」
「我が軍の指揮はイーリス様に執って頂きます、副将としてバーリウム将軍と魔法師長リムントス」
「クレイ殿達だけで行かせるつもりか」
「竜王と古竜が相手では我々の兵が足手まといになりましょう」
「イーリス、エルリックとプニムも戦える心配ないよ」
「私も行きます」
「アルシェ!いいのか」
「私の星の古竜と戦うのですから当然です、敵航空戦力の排除は任せて」
「頼もしいな、ティアはミカエラ達と悪魔軍に参加してくれ」
「嫌じゃ、儂はクレイと一緒に行く」
「ミカエラ達と一緒じゃなくていいのか?」
「構わん、フォルトとクラリスだけじゃ心配じゃしな」
「浮遊戦艦の整備はどうなっている?」
「もう少し掛かりますがクリン殿の協力もあり性能面でかなり向上しております、魔導アーマーの性能も上がっておりますので現在兵士による訓練を始めております」
「じゃあフォルトとクラリスも魔導アーマーの訓練が必要だね」
「はい」
「おう」
「以上が報告になりますが、何かありますでしょうか」
「浮遊戦艦の整備が終わるまで訓練の時間としよう、クレイ殿毎回当てにしてすまない、戦いが終わった後にはどんな褒美も思いのままに与えよう」
「そうだな、期待しておくよ」
「それではこれで解散とします」
会議室を出ると自分達の浮遊戦艦へ向かう、早速フォルトとクラリスが魔導アーマーに乗り込み町の外へ移動し戦闘訓練を始めた、アルシェが訓練の相手を務めてくれている、魔導アーマーが古竜と戦うところを見ておこうと多くの兵士が遠くから見学している。
「任せておいて大丈夫そうだな」
「儂はミカエラと話してくる」
「ああ、それがいいだろう、俺は回復薬を渡してくる」
「ではな」
ティアと別れ悪魔軍の兵士が使う医務室へ向かった、部屋の中では回復魔法を使う兵士が治療作業中だった。
「回復薬を持って来たんだ」
「回復薬?どんな物です?」
「これだ、一度使って見て」
小さな瓶に入った赤い液体の回復薬を渡すと治療中の兵士に飲ませた、緑の光に包まれ怪我が回復して行く。
「どう?」
「すごい効果です、重度の火傷が跡も残らず治りました」
「たくさんあるから今度の戦いに持って行ってくれ、飲ませても怪我に直接かけても効果がある」
「それは助かります、この効果なら緊急時には回復魔法を使うより早く回復可能ですね」
「じゃあここに置いておくから」
作った回復薬をアイテムボックスから取り出しテーブルに置いて部屋を出た、この後暫くして浮遊戦艦の中でクリンと話しているとクレイが薬師に呼び出された、城の調剤室に向かい中に入ると薬師に回復薬の作り方を教えて欲しいと懇願され、仕方なく調剤室に入り材料を取り出す。
「これはグリーンドラゴンの鱗!それに千年紅アロエと虹色リンドウこんなにどこで手に入れたのですか!」
「ダンジョンで魔物を倒したり古竜にもらったりかな」
「こんな貴重な材料が必要なんですか」
がっくりと肩を落とす薬師長を見て一般的な材料で高い効果を発揮する回復薬の作り方を教えようと言う話しになった、回復薬や状態異常を治す薬それに身体強化の薬の作り方を教えるが魔力操作が難しいようでなかなか上手く出来なかった、毎日繰り返し練習し薬師達を励ましながら教えるうちに少しずつ上達し何とか同レベルの薬を作れるようになって行った。
「クレイ殿の作った回復薬に近い品質で作成可能となりました、有難うございます」
「みんなが諦めず練習したからね」
「先ほど宰相の使いが来ましてそろそろ浮遊戦艦の整備も終わるようです」
「そうなのか、それじゃあ浮遊戦艦の自分の部屋に戻るよ」
「使いの者にもそう伝えておきます」
翌日城から使いが来て作戦会議室へ向かった、フォルトとクラリスは随分自信をつけたようだ、ティアはミカエラ達と戦闘訓練をしていたようで封印前の実力を取り戻し少し安心しているように見える、アルシェもすっかり馴染んでクラリスの隣に座っている。
「では会議を始める、カルム」
「はっ、浮遊戦艦の整備ですが予定より早く完了しました、魔導アーマーや航空戦力の訓練も十分行えました、また薬師長からクレイ殿の指導ので多くの薬が完成したと報告がありました、これで全ての準備は整いいつでも出撃可能となっております」
「では出陣式をいつにするか」
「兵士達の家族との時間も必要です三日後でどうでしょうか」
「姉上、よろしいでしょうか」
「うむ」
「カルムその日程で進めてくれ」
「畏まりました」
会議が終わり浮遊戦艦に戻るとクリンにも出撃準備を指示する、別動隊になるためロキエルとイーリスには目的地までの進行スケジュールを伝えておいた、そして三日後、出陣式でイーリスが檄を飛ばし多いに士気を上げ出撃したのだった。




