第八十六話
悪魔の国のダンジョンは町を南に出てすぐの場所にあった、既に最下層まで攻略済みで古竜にも会っているようだ、転移装置の部屋に案内されまずはイーリスとバーリウムが転移し少しして戻って来た。
「クレイ達も転移装置を使えるようお願いして来た、一緒に来てくれ」
「分かった、行こう」
クレイ達四人も一緒に転移装置で移動するとダンジョン創造主が待っていた。
「お待たせしました、連れて来ました」
「クレイと言うのはあなたですね、ジン様から聞いていますこちらへどうぞ」
「クレイ殿、ジン様と言うのは何者なんだ?」
「この星の創造主みたいな人だよ」
「なんと!ではクレイ殿はこの星を救うために使わされたのですか!」
「まさか、そんな重責負ってませんよ」
奥の部屋に案内され椅子に座るイーリス達も同じ部屋に入りクレイ達の隣に座った、テーブルを挟み向かい側に古竜とその従者が二人座っている。
「私は古竜のリンゾと言います、クレイ殿、異星人の宇宙船と母艦の破壊に成功したのですね、我々も対策を考えていたのですが良い案が浮かばなかったのです、助かりました」
「まだ異星人の古竜がこの星にいるので排除するため戦争の準備を整えています」
「あれらはクレイ殿でもかなり手強い相手です、私達も排除に強力したいのですがここを動け無いのです」
「あと何体いるか分かりますか?」
「二体ですね、竜王国と宇宙母艦でそれぞれ一体の消滅を確認しました」
「竜王の他にもう一体か」
「北の海底要塞に二体存在しています、私に何か協力出来る事はありますか?」
「プニムやエルリックの進化に必要な食材や素材を貰いたいんだ、どうだろう?」
「クリムゾンドラゴンは用意できますがプニムは既に最終進化を終えているようです」
「そう言えば古竜の尻尾を食べさせた時に強くなった気がしたけど、そうか最終進化まで終わったのか」
アナライズの魔法で調べてみるとマジックスライムからスライムオメガへと進化していた、竜王のブレスレーザーも防ぐ耐熱性能があり冷気や雷にも耐性がある究極のスライムで属性魔法はほぼ効果が無い、有効な攻撃は斬擊くらいだった。
「プニム頑張ったな」
「はい」
「じゃあ次はエルリック頑張ってくれ」
「うむ、行ってくる」
「他の皆さんもご一緒に鍛練しましょう」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃ行くか」
「クレイ殿、各部屋への出入りを許可しておきますのでご自由にご利用ください」
「ありがとう、助かるよ」
残されたクレイとプニムは工房に入り武具のメンテナンスをする、今まで集めた高級素材を取り出しロングソードと鎧それに盾を強化する、黒いロングソードは強度と切れ味を最高の状態に加工し、鎧と盾は竜王のブレスレーザーを弾く強度と耐熱性能を確保した、プニム用にも核を守る専用の防具を作成した、スライムなので核さえ無事ならば自己再生で復活可能だからだ。
「プニムこれで核を守ってくれ」
「わかりました」
プニムに取り込まれた球体の防具が核をその中に格納し銀色に見えていた防具が一度水色になって見えなくなった。
「隠蔽の機能もうまく作動してるようだな、よし次は回復薬だ」
調剤室に入り回復薬を多めに作成する、次の戦いでも悪魔の国の兵士に多くの怪我人が出ると予想しての準備だ。
「よしこれぐらいか、あとは人魚化の薬だな」
作成した薬をアイテムボックスに入れ次に裁縫の部屋へ入るとシャツとグローブを編みながらフォルト達の帰りを待つ、いつもは半日ほどで帰ってくるのだが今回は夕食の時間になっても帰って来なかった、メイド服の女性がドアをノックし話しかけて来た。
「お食事を用意しました」
「みんなはまだなの?」
「はい、時間が掛かるとの連絡がありました」
仕方なく一人で夕食を食べ寝室で眠る、翌朝になってもまだ帰って来ないので編み物をしながら待ち続けた、今回の編み物は今までで一番強靭な糸にするため魔力を極限まで練り込んである、糸を作るだけでもかなり時間が掛かったが編むのが非常に難しく時間が掛かった、完成したシャツを着てみるととても軽く動きやすい、魔法耐性はもちろん熱や冷気にも強い耐性がある満足の完成度だった、四人分のシャツとグローブを編み上げるのに一ヶ月半も掛かってしまったがフォルト達はまだ戻って来ない、部屋から出ると外ではプニムが戦闘訓練をしている、メイド服の女性に適当な相手を用意してもらっていた、戦うプニムを眺めながらやる事も無くなったのでウンディーネを呼び出し海底要塞の情報を聞いてみる。
「出でよウンディーネ」
球体の水が現れ徐々に大きくなるとウンディーネが現れた。
「はーい、やっとお呼びが掛かったわね」
「竜王の居場所について聞きたいんだけど」
「分かってるわよ、いつでも案内できるわ」
「前から知ってたのか?」
「もちろんよ、昔は強力な海の魔物が通るように海流を操ったりもしたけど要塞になってからはどうにもならなくなったわ」
「中の様子は分からないか?」
「探知系の結界があるから無理ね、でも手助けは出来るから期待してていいわよ」
「助かるよ」
「それにしてもあのスライム強いわね、ほらまた倒した、あれオークキングでしょ?」
「そうだよ、見たところ斬擊以外はほとんどノーダメージだね」
「クレイはテイマーとしても優秀ね」
「何も教えてないんだけどな」
話をしているとようやくフォルト達が帰って来た、みんなかなりボロボロになっている。
「お疲れだね」
「ああ、やっと終わった」
「いつもより随分長かったね」
リンゾがすまなそうに話しかける。
「クレイ殿、お待たせしてすみませんでした、鍛練施設の時間調節機能が故障していたようでして」
「いつもこのくらい鍛練してたんだな、それでエルリックはどうだ?」
「無事進化しました、ダークロードからアビスロードへ」
「アビスロードなんて始めて聞いたな」
「最上位の魔物です、歴史を遡ってもこの世界に一体しか存在しない稀少種です」
「竜王との戦いに戦力が増えるのはありがたい、協力してくれてありがとう」
「いいえ、では少し休んで来ます」
イーリス達も鍛練に相当疲れたようで食事を済ませたあとすぐに寝室へ向かった、翌日リンゾに礼を言い別れると転移装置で戻り城の作戦会議室へと向かった。




