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第五十八話

転移魔法で一階に移動し町まで戻ると砂猫亭に入る、携帯端末で氷の城関係の情報を確認するがまだ大きな変化は無いようだ、ダンジョンを最短ルートで下りて行ったのでまだ一週間しか経っていない、王国の兵士が氷の城に到着した頃だろうか、あれだけの遺体を回収するにはかなりの時間が必要だろう、みんなで食堂に行き食事をしたあとはみんな疲れていたので夜更かしせず眠りについた。


「おはようフォルト」

「おはよう」

「疲れは取れた?」

「ああ、だいぶ楽になった」

「不用品と魔法石を売却してから出発しよう」

「ダンジョン管理施設で買い取ってもらうか」


クラリスとティアを食堂で待ち一緒に朝食を食べると、ダンジョン管理施設へ向かった。


「すみません、ドロップ品の買取りをお願いします」

「はい、こちらへ置いてくださいね」


受付の女性に言われた場所へ魔法石とドロップ品をアイテムボックスから取り出し置いて行く。


「ずいぶんたくさんありますね、それでは金額を携帯端末に送信しました確認してください」


携帯端末で確認するとお金は四人それぞれに均等配分されていた、他の国より魔法石の単価が高いようだ。


「確かに、ではまた」

「はい、お待ちしています」


ダンジョンに戻り誰もいない小部屋に入ると七十階へ転移魔法で移動する、ボスとの戦いが始まる。


「僕が戦うから避難しといて」

「そうさせてもらうぜ」

「クレイ様、お役に立てなくてすみません」

「気にしないで、行くよ」


広い部屋の中に青い炎が灯る、照らし出される大きな骨の軋む音が聞こえた、オレンジの目がクレイを見つけ雄叫びをあげ襲いかかってきた、ブレスを避け前に進むとロングソードで切りつける。


「アッパースイング!」


ロングソードで首の骨を切断したが頭蓋骨が床に落ちる前に再生した、胸部にある核を破壊しないと再生するようだ、炎のブレスを吹き付けるクレイは燃え盛る炎のブレスの中を突き進み分厚い肋骨もろとも核を切り払った。


「ドロップはこの骨か、プニムなら食べるかな」


フォルト達がクレイの元にやってくる、あっさりボスを倒すクレイにみんな興奮気味だ。


「炎のブレスが直撃したように見えたが?」

「ダメージは無いよ」

「風圧はあったじゃろ?」

「ウインドカッターで切り裂いたんだ」

「ウインドカッターはそう言う使い方もできるのですね」

「普通はできぬ、クレイだから可能な戦い方じゃ」

「さすがです」

「練習すればできるよ、行こう」


八十階までのモンスターはクレイが光魔法で倒し進んだ、ジャンボスケルトンやキラーゾンビのような物理攻撃が強力なモンスターが多く防具も身に付けていたためフォルト達では倒すのに時間が掛かり過ぎるからだ、フォルト達はドロップ品を拾いながらクレイについて行く。


「八十階」

「ボスはリーパーです」

「強敵じゃな」

「みんなは隠れててね」

「俺達も力に成れたらいいんだが」

「大丈夫、行くよ」


真っ暗な部屋に青い炎が現れる、壁の照明が薄暗い光を放ち中央に存在するボスを照らす、漆黒のローブから出た骨の腕が大きな鎌を持っている、フードからオレンジの目が現れクレイ達を見つめる、ただそれに見つめられるだけでフォルトもクラリスも戦慄し動きを封じられた、ティアがかろうじて言葉を発する。


「桁違いだぞ」

「元々が最強レベルのアンデッドだからな」

「フォルトとクラリスは儂に任せておけ」

「頼んだよ」


クレイはロングソードを抜き魔力を込める、ゆっくりと歩きながら体内で魔力を練り上げて行く、リーパーの鎌から魔力が発せられた、赤い光りを放ちやがてリーパー自体も赤く発光する、リーパーが動いた、高速で移動するがクレイには見えている、ロングソードと鎌が打ち合うと金属音と共に火花が散り辺りを照らす、連続で打ち合うがお互いダメージは無い。


「フレイムボール!」


クレイの魔法にリーパーも黒い玉を出し相殺する、弱点の炎対策もできているようだ。


「トリプルスラッシュ!」


鎌で防御されたが一撃は当たった、ただ感触は浅い、もう少し踏み込む必要がありそうだ。


「グーフェ!」


リーパーの鎌が振られ見えない斬撃が放たれる、盾で防ぐが一撃受けてしまった、だが鎧で防いでいるのでダメージは無いそれを見たリーパーに隙ができた。


「クロススラッシュ!」


リーパーを十文字に切り裂くと鎌が横から襲って来る、捨て身の攻撃に防御が間に合わない左脇に鎌が当たる、わずかに笑ったように見えたが鎌は鎧を切り裂けない、驚くリーパーの頭上からクレイの剣が振り下ろされた。


「サンライトスラッシュ!」


叫び声をあげ真っ二つになったリーパーがキラキラと消えて行った。


「シールド魔法使っておいて良かったな」


ドロップ品はリーパーの鎌だった拾い上げるとかなりの重さだと分かる。


「クレイ、その鎌見せてくれ」

「いいけど重いよ」


フォルトに渡すとその重さで落としてしまった。


「これよく持てたな」

「私でもギリギリです」

「使えない武器だけど持って帰るか、よし先へ進もう」


八十一階からは大型アンデッドが多く徘徊していた、ゾンビオーガやグレーターレイスは強敵でフォルト達は防御に徹している、クレイは光属性の範囲魔法で殲滅しながら先へ進む。


「遂に九十階だな」

「ドラゴンゾンビです」

「毒のブレスと麻痺の爪が危険じゃ」

「分かった、気を付けるよ」


ボスの部屋は腐った臭いが充満している、巨大なドラゴンがこちらに気付き立ち上がった、ボトボトと腐った塊が幾つか落ちるがその瞳はクレイをしっかりと見つめている。


「スターライトアロー!」


天井から光の矢が降り注ぐ、ドラゴンゾンビの体に無数の矢が刺さった。


「グォーーー」


毒のブレスを吐くがクレイはフライの魔法で飛んで回避しそのままロングソードで攻撃する。


「サンライトスラッシュ!」


尻尾で叩き落とそうとするが間に合わない、ガードした腕ごと切り下ろす。


「ベアクラッシュ!」


頭を狙い切り裂くとドラゴンゾンビがクレイに噛み付いた鎧が牙を防ぐ。


「フレイムサイクロン!」


口の中に強力な火炎魔法を放つと頭部が激しく燃え上がり一瞬で消滅した、胴体もキラキラと消滅して行く。


「炎が弱点とはいえここまであっさり倒すとはのう」

「ドロップはドラゴンの牙か」

「高品質な素材です」

「売却しようぜ」

「高額で売れるじゃろう」

「うんそうしよう、じゃあ先へ行くか」


巨大なドラゴンの牙をアイテムボックスに入れ次の階層へと下りて行った。

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