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第五十六話

その後暫くしてクリンから完了報告を受ける。


「クレイ様、弱に設定完了しました」

「装置のエネルギー源はどうなってる?」

「この先に魔力炉があるようです燃料に使う魔法石の在庫も豊富にあるようですね」

「そうか、城が維持出来ればいいか、よしフォルト達と合流しよう」


ーーーーーーーーーー


フォルト達が二階への階段を登るとアイスゴーレムが徘徊していた、クラリスが素早く接近しコアを切り払うがまだ先にアイスゴーレムがうろついているので慎重にフォルトとティアが階段を登る。


「広間に行くか?」

「あの先を左じゃな」

「行きます」


モンスターに気付かれないよう進み角を左に曲がるとアイスゴーレムが守っている部屋があった、フォルトの弓技で胸部を貫きティアがファイアボールの魔法でコアを破壊する。


「ボスモンスターがいるかな?」

「謁見の間か、あり得るの」

「開けます」


クラリスが扉を開き中に入ると予想通りボスモンスターが待ち構えていた、その奥に魔法陣が見える。


「アイスオーガソルジャーだ!」

「強敵じゃが行くか」

「ティア援護頼む、俺もショートソードで前衛に行く」

「了解じゃ」

「ファイアスマッシュ!」

「ダブルスラッシュ!」


オーガが盾で防ぐとノコギリのような大剣を振り上げクラリスに振り下ろす、クラリスは盾を構える。


「ぐっ、何て重い!」

「アーマーダウン!」


ティアの魔法でモンスターの防御力を下げる、すかさずクラリスが剣技を放つ。


「トリプルスラッシュ!」


今度もオーガは盾で受け止めるが少しバランスを崩している、今がチャンスとクラリスが剣技を放つ。


「ファイアスマッシュ!」


手応えがあった、鎧を切り裂き体にも傷を付けた、だがオーガの攻撃は続く。


「ガーウァー!」


オーガが横に大剣を振るうとフォルトが何とか盾で受けるがその威力に吹き飛ばされた。


「ぐわー」

「ヒールウィンド!」


床を転がるフォルトにティアがすぐに回復魔法を使った、フォルトの体が薄い緑の光に包まれ傷が回復した。


「フレイムストライク!」


クラリスの剣技がオーガの盾を切り裂いた、だがオーガは大剣を両手で握り振りかぶると強烈な一撃がクラリスを襲う。


「ぐわっ」


盾で受けるがそのまま押し潰されそうになる、クラリスは必死に耐えている。


「フレイムサイクロン!」


ティアの魔法で押し返すとオーガが再び大剣を振りかぶった。


「フレイムシュート!」


フォルトの弓から放たれた炎の矢がオーガの左腕に命中する。


「フレイムストライク!」


クラリスのフランベルジュが炎をまといオーガの頭上から切り下ろす。


「グアーー!」


頭を割られたオーガは絶叫し崩れ落ちるとキラキラと消えて行った。


「何とか倒せたの」

「ドロップ品はオーガの肉、プニムのご飯にします」

「この魔法陣はどうする?」

「ゴーレム召喚の魔法陣じゃな、消せるかやってみよう」


ティアが炎の魔法で魔法陣を焼くとだんだんと薄くなりやがて消え去った。


「それにしても王国の兵士はだいぶ殺られてるな」

「生存者はおらんかもな」


砕け散った氷の像があちこちに落ちている、全て調査にきた兵士と探索者の凍りついた死体だった。


「上へ行こう」

「そうじゃな」


階段を上がるとスノーウルフがうろついていた、隠れていても仕方ないので三人で一斉に攻撃する。


「フレイムシュート!」

「ファイアストーム!」

「ファイアスマッシュ!」


倒せなかったスノーウルフが遠吠えをして仲間を集めると集団で襲いかかってきた、クラリスが盾で攻撃を受けフォルトとティアが遠距離攻撃で倒して行くが素早く連続で攻撃され防御が間に合っていない。


「クラリス大丈夫か?」

「まずった」

「ヒールウインド!」

「ティアすまない」

「数が多いな」


負傷したクラリスを回復し無理せず時間をかけて一匹ずつ何とか倒した、その先に扉が見えている。


「王の間か、またボスだな」

「クラリスはまだその剣を使いこなしておらんように見えるがどうじゃ?」

「そうですね、ランスと使い勝手が違うので」

「魔力をもう少し多めに込めるとルーンが効果を発揮するんじゃがな」

「そうなんですね、ルーンの武器を使うのも初めてでして」

「ボス戦だし試してみようぜ」

「やってみる」


扉を押し開くと赤い絨毯が敷かれた広い部屋だった、奥に玉座が見える、その前には翼の生えた大きな獣が座っていた。


「ウイングタイガーだな」

「どうするかの?」

「行きます」


ティアが強化魔法を使う、クラリスとフォルトの体がほのかに発光した。


「ステータスアップの魔法を使った、油断するでないぞ」

「おう!」


クラリスがフランベルジュに魔力を込める、いつもより多く魔力を込めると燃え盛る炎が大きくなった。


「フレイムスマッシュ!」

「援護するぜ、スパイラルアロー!」

「フレイムボール!」


ウイングタイガーは翼で飛び攻撃をかわすとクラリスに体当たりする、クラリスは上手く盾で防ぎ耐えている。


「くっ!」

「スパイラルアロー!」


フォルトの矢が翼に命中するとウイングタイガーはクラリスから離れた。


「クラリスもっと魔力を込めろ!」

「分かった、はぁーーー!」


フランベルジュに刻まれたルーンが光るとルーンの効果が現れた、攻撃力が上がり炎の色が赤から薄い青に変わった。


「軽くなった!」

「やってしまえ!」

「フレイムストライク!」


ウイングタイガーが翼で飛び上がるが避けきれず肩から胸にかけフランベルジュが切り裂いた。


「たたみかけろ!」

「フレイムシュート!」

「フレイムサイクロン!」


フォルトの矢がウイングタイガーの背中に刺さりティアの魔法が焼き尽くす、全身黒焦げになり倒れるとキラキラと消えて行った。


「やったな」

「ウイングタイガーの肉だ」


その時城が振動する、地震のように何度も突き上げるような衝撃があった。


「これはクレイじゃな」

「そうだな、派手にやってるんだな」

「次行きましょう」


階段を上がるとフロアの中央に青いクリスタルが浮かんでいた。


「フローズンクリスタルか、アイスクリスタルが進化したようじゃな」

「クレイを待った方がいいんじゃないか?」

「そうじゃな」

「いいえ、今の私なら倒せる」

「ブリザードの魔法を使うモンスターだぞ」

「このコートで防げる」

「戦ってみるか」


身体強化魔法の効果でフォルトとクラリスの体がほのかに光る。


「行くぞ!」


クラリスが剣を振りかぶり一気に振り下ろす、ルーンが発光するフランベルジュがフローズンクリスタルに当たりひび割れるが倒し切れない、ブリザードの魔法が三人に放たれた。


「これは、魔法が強化されておるぞ!」

「一旦引こう!クラリス!」

「そうしたいが凍りついて足が動かない」

「儂はもうダメじゃ、こらえきれん何とか離れるんじゃぞー!」


空中を飛行していたティアがブリザードの風をもろに受け飛ばされて行った。


「フォルトも下がって!」

「お前一人残せるか!」

「だがこのままでは」

「くそー、ヒートショット!」


フォルトの矢がクラリスの凍りついた足元に突き刺さる、弓の技で矢が刺さった辺りに熱を発生させる。


「ここまでだ、何とか脱出してくれ!」

「フォルト!」


フォルトがブリザードの風で転がって行く、クラリスの足元に刺さった矢が冷気を緩めるが凍りついた足を溶かすまでには至らない。


「このままでは、くそっ!」


ブリザードの風が更に強くなるとフォルトの矢による防寒も効果が消えた。


「体が凍る、ここまでか」


猛烈な風と雪で全身が少し氷り始めた、今まで見てきた凍りついた探索者達の姿が頭をよぎるその時、急に暖かい光が目の前に現れた。


「無理しないでと言ったはずだよ」

「クレイ様!」

「フレイムサイクロン!」


フローズンクリスタルが炎に包まれる天井の氷も溶け突き抜けた、ブリザードの効果が消えるとクレイの魔法はその少し後で消え直後にフローズンクリスタルに細かいヒビが無数に入り粉々に砕け散った、キラキラと消滅すると、その向こうに魔法陣を発見した。


「この魔法陣を守ってたのか」

「クレイ様、申し訳ありませんでした」

「まあ、コートと強化服があるから最悪でも死にはしないだろうけどさ、指先とか凍傷になると痛いよ」

「はい」

「フルリカバー!」


安堵し頷き答えるクラリスに回復魔法を使う、凍傷になった体の傷が回復して行く。


「ありがとうございます」

「次はこれだ、ファイアボール!」


冷気の魔法とモンスターを強化する魔法陣が消え去った、これで氷の城も元の状態に戻るだろう、天井に空いた穴から暖かい太陽の光が降り注いでいる。


「帰ろうか」

「はい」


フォルトとティアもいつの間にか合流している、多くの兵士と探索者の死体を残し氷の城から外に出ると新たに降り積もった雪も解け始めていた、アイテムボックスからクルマを取り出し乗り込むとカンド王国に向け走り出す、町に帰ると城の前の広場で報告書を提出する、報告書に書いた内容が各魔法陣の破棄と冷気発生装置の調整それに死亡した多くの兵士や探索者についてと多岐に渡るため確認後に報酬が支払われることとなった。


「まあ、仕方ないな」

「だいぶ時間掛かりそうじゃな」

「砂猫亭で休んでからダンジョンにでも行くか」

「そうしましょう」


戦いの疲れを癒すため砂猫亭にチェックインすると温かいお風呂に入り休むクレイ達だった。

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