第四話
目が覚めると見覚えのない天井が見えた、一瞬また赤ん坊に戻ったのかと思ったが今回はそうではないとわかった、そばに白衣を着た男が立っている。
「気がついたようだね」
男の声が聞こえる、病院だろうか?一瞬そう思ったが違和感がある。
「ここは?」
「管理施設の医務室だ」
「管理施設?」
白衣の女性があわてて駆け寄ってきた。
「目が覚めたんですね、私はマリー管理者ジン様の助手です、そしてこちらが管理者のジン様です」
背の高い白衣の男がジンで銀髪に銀縁丸メガネを掛けている、隣の女性がマリーで同じく白衣を着ているが明るい茶髪をポニーテールにしている。
「管理者?医者じゃなさそうだしまさか神様?」
「この世界の創造者ではあるがあなたの言う神様ではありません」
「この世界の創造者?・・・俺は生きてるんですか?」
「生きてますよー、でも今は仮死状態ですけどね」
「詳しい説明が必要だな」
そう言うとジンがモニターを起動させる。見慣れたカプセルに俺が入り眠っていた。
「君の体は今生命維持カプセルに入れられている、そう今私と話している君は精神体だ」
「精神体?」
「進化の秘石を使っただろう?本来人間には影響を及ぼさない石なんだが君には影響が出た、なぜか分かるか?」
「・・俺が転生者だから?」
「その通りだ、君の魂は地球由来のためこちらでは人間よりモンスターに近い」
「俺は進化できるんですか?」
「転生者だから進化可能です、でも進化した人間の種族が設計されていないんですよ、だからここに呼びました」
「俺はどうなるんですか」
「進化して人生を続けるかこのまま死亡するかだな」
「俺を地球からこの世界へ転生させたのもあなたですか?」
管理者ジンは頷き話を続ける。
「地球の管理者と私で話し合い魂の交換をしました、交換後に世界がどう変化するか・・」
「じゃあ俺が死んだのも?」
「いえいえ、それは違いますよ、あの事故は本当に偶然なのです、私達は何もしていませんよ」
「じゃあなぜ俺だったんですか?選ばれた理由は?」
「こちらの世界に一番適合する魂だったのです、あなたの魂には魔力の素質があったの」
確かに転生した俺には魔力適正があった、この世界で魔力適正がある人間は少数なので魔力の素質で選ばれたと言うのは本当かもしれない。
「進化して続けるにしても進化した人間の種族が設計されていないんですよね?」
「君をこの世界に転生させた責任者として進化した人間つまりは君専用の種族は我々で設計しよう、あとは君次第だ」
転生の特典が増えるのはありがたい、普通の人生よりはかなり面白くなりそうだ。
「そこまでしてもらえるならせっかくなので進化して続けようと思います」
「おお、そうか」
「ジン様よかったですね」
「出来れば続けてもらいたかったので感謝する、これを見てくれ亜人ではハイエルフやエルダードワーフなど進化した種族が存在する、それらを参考に人間の進化した種族を新たに設計しよう、見た目は変わらないがハイエルフなどと同じように進化前の種族が使える武技・魔法は全て習得済み、おまけに亜人専用の武技とスキルも習得可能の状態にしよう」
「それではハイスペック過ぎませんか?」
「一から設計すると時間がかかるのですよ、少ない時間で復活できるよう進化亜人種の設計を流用するのです、復活した時に知り合いがいないと寂しいでしょ?」
「そうなんですか、そうですねならそれでかまいません」
「ダンジョンで創造主に会いなさい、我々からも力になるよう伝えておこう」
「ありがとうございます、では願いします」
「頑張ってくださいね」
部屋を移動しカプセルに入る、光が当てられると体が徐々に透けて行ったゆっくり目を閉じる。
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「完了したか?」
「はい、問題ありません」
「ちょっと手を抜き過ぎたか?」
「抜きすぎかと思います」
「そうか、一から設計するのは面倒なんだよ」
「ステータスは上限を取り払っただけなんですよね?」
「そうだ、だが進化亜人種族の限界値内には収まってる」
「竜人も亜人種族ですよ?」
「そうだった!しまった!変更は?」
「もう手遅れです、まあ悪人じゃなさそうなので悪用はしないでしょう」
「ふー、そうだな、仕方ない見守ろう」
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