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第四十八話

翌日、魔法師協会のホールへ入ると多くの受験者が集まっていた、フォルトとクラリスは三級の試験会場へクレイに手を振り出て行った、次に二級の受験者がホールから出て行くと残った一級受験者にはその場で試験内容の説明が行われた。


「一級試験、受験者の皆さんお早うございます、今回の試験ではグループ試験と戦闘試験を行います」


響き渡る声に注目する受験者達を試験官が見定めている、小声で話している試験官もちらほら見られる。


「どうですか、今回は」

「希少種族のフェアリーと妖狐族が注目だな」

「エルフはどうですか?」

「パッとせんな」

「人間では今回も合格者は出ませんかね」

「無理だろうな、場違いな魔法戦士がいるようだが?」

「ラウン殿の紹介状を持って来たと聞いています」

「魔法戦士が一級試験など受けてどうするんだ?ラウン殿もなぜ紹介状を書いたのか、そもそも魔法戦士が一級など受ける必要があるのか?」

「なにか事情があるのでしょう、本人が一級の受験を希望したそうです」

「魔法師の上級職でも難しい試験だと言うのに、生きて戻って来られるかどうか」

「まったくその通りです」


グループの組み合わせがくじ引きで行われクレイはエルフの女性二人と組む、ティアは妖狐族の女とホビット族の男と組むと決まった。


「では西の森にある試験会場へ移動します」


クレイは試験会場へ向かう間同じグループになったメンバー達に挨拶していた。


「クレイです、よろしくお願いします」

「人間と一緒か、まあよろしく私はエノンこっちがフランだ」

「よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


三人一緒に試験会場へ移動する、町からバスで半日ほど西へ行った場所で試験内容の詳細が説明された。


「この先にシールドが張られたエリアがあります半径二キロのドーム状になっています」


エノンがフロムに話し掛ける。


「半径二キロは広いな」

「そうね」


試験官の説明が続いている。


「このエリアにブラックラビットと言うモンスターが生息しています、これを生け捕りにし三日後の正午にここへ持って来てください。これがグループ試験の内容です、では始め!」


受験者が一斉にドーム内へ出発する、クレイはエノン達に付いて行った。


「ブラックラビットてどんなだ?」

「大きさは子犬くらいで額に角が一本生えているそうよ」

「水辺に行って見るか」


エリアの中央に泉がありその場所へ移動する、泉には多くの動物が水を飲みに来ていた。


「いないかな」

「動物ばっかりね」

「調べてみようか?」

「調べるだって?どうやって?」

「エネミーサーチの魔法でモンスターを探せるけど」

「色んなモンスターがいるんだぞ?どれがブラックラビットか分かるのか?」

「モンスターを指定すれば・・」

「そんなの無理だろ!」

「できるけど」

「じゃあやってみろよ!」


両手に魔力を集め有効範囲をドーム内いっぱいまで広げるとエネミーサーチの魔法を発動する。


「エネミーサーチ!指定モンスター、ブラックラビット!」

「本当にそんなんで探せるのか」


半信半疑で見ていたエノン達だったがクレイの魔法が広範囲に広がるのを見て驚く


「見つけた、結構いるね一番近いのはこっち」

「本当にいるんだろうな」


クレイはモンスターの位置を見ながら進むが近くまで行くと気配を察して逃げられてしまう。


「駄目だ逃げちゃうね」

「本当に見つけられるなんて!」

「でも逃げちゃうわね」

「どーするかな?」

「私に考えがあるギリギリまで近寄ってくれ」

「よし、じゃあゆっくり行こう」


ブラックラビットに気付かれないよう慎重に追いかける、茂みの奥に一匹草を食べていた。


「ここが限界かな」

「十分だ、森の大地よ我に力をウッドプリズン!」


ブラックラビットを中心に円形の鳥かごのように木の檻を作り出し閉じ込めた。


「やったぜ!」


ドーンと言う音がした、大暴れして木の檻を突き破るとブラックラビットが逃げて行った。


「逃げちゃったね」

「あんなに強いモンスターだったなんて」

「くっそー!」


ーーーーーーーーーー

一方その頃ティア達はブラックラビットの捕獲に成功していた。


「儂にかかればこんなもんよワーハッハッハッハー!」

「さすがですティア様」

「うむ、もっとほめるがよい狐の子よ」

「俺が見つけたの忘れるなよ」

「お主もよくやったホビットの子よ、じゃが捕まえたのは儂じゃワーハッハッハッハー!」

「このまま明後日の正午まで待てばいいんですね」

「そう上手くは行かないみたいだぜ」


三人の前にエルフ三人が現れたティア達が捕まえたブラックラビットを横取りする気らしい。


「ちびっこ三人組、俺達のために済まないな、渡せば痛い目に会わずに済むぞ」

「ふふふ、儂を相手に勝てると思うとるのか!」

「フェアリーよお前は二級だそうだが他は三級、俺達は全員二級なんだぜ」

「妖狐族は私がやるわ」

「じゃあおれがホビットだな」

「さあ、始めようか」

「コーーーーン!」


妖狐族の周囲に火の玉が現れ大きな白い狐へと姿を変えた。


「ティア様、私は三級ですが戦闘は得意です行きます」


妖狐族が攻撃を開始する、応戦するエルフも負けずに魔法を放つティアはエルフにストームブレスを使おうと杖を構えると巻き込まれないようにホビットが後ろに下がった次の瞬間、後ろから羽交い締めにされブラックラビットを奪われた、別の組の魔法師が隠れて隙を伺っていたようだ。


「よし、逃げるぞ!」

「おい!俺達の獲物を横取りしやがって!追うぞ!」

「人間め!舐めやがって!」


エルフの三人が追って行った。


「済まないな俺のせいで」

「気にするでないわ、また捕まえればよい」


狐から元に戻った妖狐族もホビットの男を気遣う。


「そうですよ、また見つけましょう!」

「次は儂が守ってやる、狐の子は戦闘出来るようじゃしな」

ーーーーーーーーーー

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