第三十一話
ダンジョンに入りモンスターを倒しながらクレイ達は51階に到達していた、まだフロアボスに出会っていない、クリンのデータベースでは60階以降のフロアボスが未討伐となっている。
「俺達もだいぶ戦えるようになっただろ?」
「うん、いいパーティになってきたね」
「ティアは回復魔法も使えるの?」
「初級じゃからクラリスとそう変わらんぞ」
「じゃあ大怪我しないように気を付けなきゃね」
エリオン聖王国のダンジョンは動物系や植物系のモンスターが多かった、おかげで薬草類や肉などの食材が豊富に手に入った。
「それにしてもいいダンジョンだな」
「さっき食べたハンバーグの材料もっと確保しようよ」
「レッドピッグとサンダーカウですね優先的に仕留めます」
「エメラルドバードの卵もうまかったのう」
「ゼブラチキンの照り焼きや唐揚げも美味しかったな」
いつもよりモンスターを多めに倒して60階に到達するとやはり予想通りボスモンスターが待ち構えていた、フォルトとクラリスが戦闘準備をしている。
「ゴールドボアです」
「大きい猪だな、フォルト手伝おうか?」
「いや俺達三人でやってみる」
「準備だけはしておくよ」
「まず私が引き付けます!」
「援護は任せろ」
「儂は攻撃魔法じゃな」
「行きます、スクリューチャージ!」
「トリプルアロー!」
「アイスニードル!」
フォルトとティアの遠距離攻撃が先にヒットしゴールドボアの注意をそらすとクラリスの槍技が炸裂するダメージはかなり与えたが倒しきれていない、ゴールドボアは突進し鋭い牙でクラリスを弾き飛ばした。
「ぐはっ」
「クラリス大丈夫か!」
「まだ行ける」
「ストームブレス」
「スパイラルアロー!」
ゴールドボアに遠距離攻撃を集中すると金の毛並みが赤く染まって行く。
「ブブブーヒー!」
パワーアップしたゴールドボアがフォルトに突進し牙で突き上げてきた、フォルトの体が空中に飛ばされる。
「ウインドウォール!」
地面に激突する前にティアの魔法がフォルトを包み込む。
「助かった!」
「礼は早いぞ!」
ゴールドボアが炎のブレスを吐く、クラリスが壁役となり耐えるがゴールドボアの攻撃は終わらない。
「グブブ!」
突進、牙による突き上げ、炎のブレスと繰り返し反撃の隙を与えない。
「手伝おうか?」
ブレスの届かない後方からクレイが声をかけるが三人とも首を横に振るのでもう少し様子を見る。
「私が行く!アイスウェーブ!」
クラリスがランスに力を集中し武技を放つ、炎のブレスと氷の衝撃波がぶつかり爆発した、ゴールドボアが突進体勢に入る前にティアの魔法が炸裂する。
「ウインドブレード!」
ウインドカッターの上級魔法がゴールドボアを切り裂くとそこへフォルトの矢が放たれる。
「グレーターアロー!」
強力な弓技が頭にヒットし瀕死のダメージを与えるすかさずクラリスが武技を発動する。
「セイクリッドストライク!」
ゴールドボアの体をランスで貫くと崩れるように倒れキラキラと光を放ち消えて行く。
「やったぜ」
「ふーっ」
「いい連携だった」
ドロップした金の毛皮を拾いアイテムボックスへ入れると奥の部屋で休憩にする。
「俺達で倒せるのはここまでだな」
「儂はまだ行けるぞ」
「残念ですが私もここまでです」
「まあ紅茶でも飲んでよ」
クレイが三人に回復の効果がある紅茶を淹れる、ティアはクッキーをガツガツ食べている。
「それにしてもクレイが作ってくれた鎧は丈夫だな、あの牙で突き上げられたのに傷ひとつ無い」
フォルトとクラリスは自分の鎧を確認しながらニコニコ笑っているボスモンスターを倒せたのが嬉しかったのだろう。
「さてここからは一段とモンスターがパワーアップするよ」
「おう!」
「ドロップ回収頑張ります」
「儂はまだ行けるぞ」
「ティアはサポート頼むよ」
「うむ」
紅茶を飲み終え階段を下る61階は森のエリアだった、ダンジョンの天井は高過ぎてよく見えない、フロア全体が一つの大きな森で巨大な猪やウサギがモンスターとして襲ってきたクレイはロングソードで軽くなぎ払う。
「巨木で迷いそうだからまっすぐ進むよ」
「まっすぐって」
「まっすぐだよ、エリアスラッシュ!」
前方の巨木数本が道を作るように両側にミシミシと軋む音を鳴らしながら倒れる、斬り倒した切り株の直径は3~5メートルもあった、フォルトとクラリスはこちらに倒れてこないかビクビクしながらクレイの側を離れずについて行く、斬り倒した木で道ができてしまったが気にせず進む。
「クレイよ、また創造主に怒られるのではないか?」
「斬り倒せない木にしない方が悪いんだよ」
「この太さの木を斬り倒せるのはお主ぐらいじゃぞ」
どんどん巨木を斬り倒して進む、モンスターも襲ってこなくなったがよく見ると歩いている斬り倒した巨木のそばにドロップ品が落ちている。
「逃げる途中下敷きになったんだろうな」
「モンスターだけど同情します」
サーチの魔法で確認しながら下り階段までまっすぐ進み最短で70階に到達した。
「ボスモンスターはエルダーカイマンです」
「みんなは隠れてていいよ」
「そうさせてもらうぜ」
「クレイ様お気をつけて」
扉を空けると水辺の部屋になっていた、クレイが水際まで進むと突然水の中から大きな口を開けたエルダーカイマンが襲いかかって来た。
「クレイ!」
エルダーカイマンの口がその怪力でクレイを噛み潰そうとするがシールド魔法がそれをさせずにいる、クレイに噛みついたまま体をひねりデスロールを繰り出すとクレイは回転しながらもロングソードで切りつけた。
「パワースラッシュ!」
エルダーカイマンの上顎が切り払われると水中へ逃げた、クレイが水辺から砂浜に移動するとその後ろから猛烈なスピードで襲いかかってくる、さっき切り裂いた上顎はすでに完治している。
「後ろ!」
クレイは振り向きざまに魔法を放つ。
「アイスロック!」
一瞬にしてクレイに向かってダイブしたままのエルダーカイマンが氷の中に閉じ込められた、改めてその大きさに驚く全長16メートルはあるだろう。
「おっきなワニだな」
「それどうすんだ?」
「ひっくり返してと」
氷の上部を切り落としひっくり返すとエルダーカイマンの腹から胸にかけロングソードで切り裂いた。
「心臓ちゃんとあるんだね」
エルダーカイマンの心臓を突き刺し止めをさすとキラキラと消えて行くドロップ品はワニ革のようだ。
「よし、次行こう」
「恐ろしいほど強いの」
「ボスモンスターがこんな倒され方するとはな」
奥の部屋にある階段を下りて行く 。




