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第二十話

「さてと、マスクに封印されてるお前は誰だ?」

『出せ!ここから出せ!』


クレイはクルマに積んであったスコップで穴を堀り始める。


「ご主人様、埋めるのですか」

「時間の無駄だからな」

『ま、待て、待ってくれ!』

「何か言ったか?」

『儂が悪かった!何でも答えるから埋めないでくれ!』

「お前は誰だ?」

『誰だと聞かれれば名前を答えるのが正解じゃな、儂はティア種族はフェアリーじゃ』

「なぜ封印されたんだ?」

『それはその・・・悪い魔法使いに捕まって、てなぜ穴を掘る!』

「嘘だろ」

『なぜわかったのじゃ!』

「やっぱり嘘か」

『待て、待ってくれ、やっと儂の封印を解ける者に出会えたのじゃ待ってくれ』

「まあいい、だが俺が封印を解いてもメリットがない」

『そんな、よしではお主の家来になろう!どうじゃ?』

「そう言うのは間に合ってる」

『なんじゃと!儂を家来に出来るんじゃぞ、ぬぬぬではそうだなお主は男でハイエルフと見たがどうじゃ?』

「俺は人間だ」

『人間じゃと!魔王や古竜に匹敵するいやそれ以上の魔力を持った人間など・・・いやそうかならばあれじゃな性的な奉仕か、人間は変態が多いからの』

「これぐらいの深さでいいか」

『待て、待て待て、じゃあどうすればいいんじゃ?フェアリーの儂はお主の妻には小さすぎるし子供も産んでやれん、いったいどうすればいいんじゃ!』

「俺の役に立つのか?」

『勿論じゃ!何でもしてやるぞ!もうこの中は嫌なんじゃ助けてくれ!』

「最初からそう言えばいい、だが封印は鍵が無ければ解けない」

『確かに鍵は無い、だがお主なら解けるじゃろ?儂の声が聞こえるんじゃから』


封印は魔力で器を作り対象を閉じ込める、この器は封印する魔法師によって様々だ、牢獄のように鉄格子で囲われた物や金庫のようなタイプの物もある簡易な封印は力業で解けなくもないが高度な封印は鍵が無ければ解くのは非常に難しい。


「お前の封印は魔力を糸状にし編み込んである解くのは至難の技だ」

『どうにもならんのか?』

「解くのは難しいが魔力の糸を切断するのはどうだ?」

『それで構わんが儂はどうなる?』

「封印空間とこちらでは魔力の濃さが違う、上手くコントロールしないと弾けて死ぬだろう」

『他に手が無いなら仕方あるまい、こうぎゅーっと縮こまっておるからやってくれ!』

「いい覚悟だ、なら行くぞ」


クレイは魔力を集中し細いワイヤーにするとマスクの封印にねじ込む、ナイフの形状に変形させると編み込まれた魔力の糸に刃を当て切断する、数本切断するとマスクから小さな爆発音がボンと鳴り丸く白い煙りが出た。


「ぬぬぬぬ」


マスクからティアの姿が現れた体を丸め目を閉じ縮こまっている。


「これと話をされていたのですね、確かにフェアリーです」

「思ったより小さいな」

「子供でしょうか?」


震えていた体が止まりパチッと目を開けるキョロキョロと辺りを見渡し立ち上がると羽を使い浮かび上がった。


「やったー!出られた!」

「マスクは無事だな、返しに行くか」

「お主がクレイだなこれからよろしく頼むぞ」

「ティアと言ったか、もう自由だじゃあな」

「待て、待て待て儂を置いて行くのか?」

「子守は出来ない今後は自分でなんとかしろ」

「子守じゃと!儂が子供に見えるのか!お主のなん十倍も生きておるのじゃぞ!」

「フェアリー種族の中では子供じゃないのか?」

「バカを言うな!大人じゃ!」

「そうか、なら一人でも大丈夫だろ?」

「本当に置いて行く気か!まったく信じられん、だが儂の自由と言うならクレイお主について行くぞ」

「まあ好きにしろ」


転移魔法で宮殿の地下に戻りマスクを元の場所に戻す、もうただのマスクだが問題は無いだろうもう一度転移魔法で宮殿を出ると白猫亭に向かった。

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