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第一話

長い間眠っていたような気がする。

目覚めると見覚えのない天井が見えた。

天井から吊り下げられたオモチャが揺れている、近くに赤ん坊がいるのだろうか?


「あ、あ、あ~、う~」


おかしい、声が出ない、いや声自体は出せるが言葉にならない、事故の影響で頭を打ったか?言語障害?

言葉にならない声を出していると女の人がやってきた。


「○▽◇、□○◇◎△?」


俺を軽々と抱き上げ顔を見つめている、初めて見る女性なのだが女性の方は俺を知っているらしい、この状況どうやら女性は俺の母親で俺は赤ん坊になってしまっているようだ。


前世の記憶を持ったまま生まれ変わったとしか考えられない、女性は青い瞳に薄い金髪のセミロング言葉は英語ではない外国の言葉を話している、英語圏ではない外国の赤ん坊に生まれ変わったのか?前世の記憶があっても言葉は覚える必要があるようだ、それにしてもあの事故で俺が死んでしまったのは確かなようだ、両親や兄弟とはもう会えない、数少ない友達とも、そう思うと急に悲しくなり涙があふれ出した。


「□◇○○、◇▲○▽□」


母親が俺をあやしている、だがこの涙はしばらく止められそうにない、涙でよく見えないが困った母親の顔を見つめながら体力が尽きるまで泣きそのまま眠ってしまった。


次に目覚めると父親らしき男性も一緒に俺の顔を見ていた、金髪の短髪で丸い眼鏡をかけているこれが新しい両親なのだと理解した、まずは言葉を覚えなければならない、注意深く観察し両親の言葉を真似する。


「あ、あー、ううー」


毎日練習をしていると3年で片言の言葉が出せるようになり5年で話し言葉ならだいたい理解できるようになった、赤ん坊の脳の発達は凄いと改めて思った。

母親の名前はアン・ディア・アルベリオ、父親の名前はクリス・オッズ・アルベリオ、そして俺の名はクレイ・ココ・アルベリオと理解できた。


今いる国はクイント共和国だそうだが俺の知る世界地図には無かったように思う、驚いたのは前世とは比べ物にならないほど文明も科学技術も進んでいるところだ、まずアンチエイジングの技術が確立されており、カプセルに入り設定すれば20代半ばまで若返りが可能となっていた、勉強についても同様に教育カプセルに入り脳に直接知識をインストールすれば良く勉強のために学校に行く必要もない、もちろんお金は掛かるがアンチエイジングは数十年に一度でいいし教育カプセルは国から補助金が出ているらしいので問題なかった。


5歳になり初めて教育カプセルに入る時はかなり緊張したが終わってみると脳内にインストールされた知識でこの世界についてかなり理解ができた、それによるとここはそもそも地球ではなく別の惑星でアクリスと言うそうだ、地球では限られた資源の争奪競争が激化していたがこの惑星にはダンジョンが存在し資源はダンジョンから採集されるそうだ、ダンジョンの近くに人が集まり町ができるとそれが大きくなり国になったそうだ。


ダンジョンはそれぞれの国が管理し探索者ギルドが取りまとめている、ギルドには複数の会社が登録しており探索者はどこかの会社に所属する場合が多い、もちろんフリーの探索者も存在するが高レベルのベテランばかりだそうだ。


俺は両親の勧めに従い技術者になるようカプセル教育を受けた、色々な技術者の知識をインストールするので仕事意外でも役に立ちそうだ、両親の仕事はAlのエンジニアで安全かつ安定の仕事をしている、12歳の時受けた適性診断で魔力適正があると診断されてから俺が探索者にならないよう考えていたらしく俺も命の危険がある探索者になるつもりはなかったので両親の希望通り技術者になる道を進んだ。


成人し就職するが両親のような仕事とは違い現地の端末を操作する仕事ばかりやらされた、予想と違いかなりの激務で日中に移動し夕方から仕事を始めると寝る間も惜しんでプログラムを修正し完成すればすぐ別の場所へ移動する。そんな仕事をしていたら精神的にも体力的にも無理が重なり体調をくずしてしまった。


結局2年で退職するとその後再就職の面接をいくつも受けるが全く採用されなかった、試しに受けた大企業の資源調達会社になぜか一発合格し就職する。


今思えば魔力適性がある俺を探索者にさせるよう国からの誘導があったのだろう。何しろ魔力適正がある人材は貴重なのだ。


探索者になると伝えると両親は俺の身を案じ貴重な魔道具を探しだし自分達で可能な限りカスタマイズした守りのペンダントを渡して送り出してくれた。

大事に育ててくれた両親に今度は親孝行したいそう思いながら会社へ出発した。


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