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第十八話

ダンジョンを出ると政庁へ向かい帝国軍の状況を確認するためブルージュ宰相の元へ向かった。


「よく戻られた、早速だが帝国軍に動きがある」

「こちらに向かってるんですか?」

「はい、迎撃準備は完了していますが帝国はリチャード王太子が率いているらしいのです」

「リチャード王太子、帝国も本気なのですね」

「王太子か、捕らえれば帝国への交渉に使えそうですね」

「クレイ本気か!」

「クラリスとフォルトは町の防衛を頼みます」

「クレイ様、お一人で行かれるつもりですか!」

「一人の方が動きやすいからね」

「必ず戻って来てください」

「一緒に行くって言わないんだな」

「軍が相手では私では足手まといになるだけです」

「フォルト、クラリス、任せたよ」

「はい!」


フォルトは頷きクラリスは大きな声で返事をした。

ブルージュ宰相にダンジョンで作った回復薬と状態異常回復薬を100個渡す。


「ハイポーションと万能薬です使ってください」

「こんなにも!よろしいのですか」

「はい、役立ててください」


町の門を通り抜け東へ走る、魔法で身体能力を強化し風魔法で風圧も消しているので乗り物を使うより速く移動できる、一日飛ぶように走ると夜は魔法で家を作り眠る食事はエナジーゼリーで済ませた、そうして三日目に帝国軍を発見、クリンが左肩に現れ帝国軍の兵力を分析する。


「あれは浮遊戦艦か?」

「浮遊戦艦が二、浮遊空母が一、地上部隊も装甲車両が数台あとはクルマやバスの編成で進軍中のようです」

「王太子は戦艦かな?」

「空母の可能性が高いと予想します」

「まずは、アースウォール!」


クレイを中心に左右2キロの壁を作り出した厚さ高さ強度、地上部隊を足止めするには十分だ。


「浮遊戦艦と空母はもう少し近付いてからだな」


壁に身を隠し到着を待つ数時間後に到着した敵軍は壁の前で停止した、空に浮いた戦艦や空母も停止している。


「よしよし予定通り、次はシャドウバインド!」


戦艦と空母の影から黒い手が伸び拘束するとそのまま地上に引き下ろした、真下にいた地上部隊は慌ててその場を離れて行く。


「戦艦は強そうだしここで大破してもらおうかな、アイスロック!」


戦艦二隻が凍りつくと動力部が爆発する、それもすぐ氷に包まれた冷気に耐性のある装備を持っていなければ命は無いだろう、無力化した戦艦を確認し隠密魔法で姿を隠したクレイは空母に乗り込む。


「共和国の攻撃なのか?」

「分かりません」

「いったいどうなっている!」

「魔法で拘束されたようです」

「魔法だと!この規模の魔法などあるものか!」

「魔法師によるとシャドウバインドと言う魔法に似ているとの話です」

「もしやマジックアイテムか!この規模なら複数のマジックアイテムで罠を仕掛けていたに違いない!」


空母内部を調べていたクリンが王太子の居場所を突き止めた、どうやら幹部達が作戦指令室に集まっているようだ、混乱する兵士を避けながら作戦指令室の前まで移動する。


「ここだな」

「五人です」

「了解」


クレイは扉を開けて中に入ると魔法で眠らせる。


「スリープ!」

「何者だ!どうやってここへ!」


バタバタと幹部達が倒れるが、一人だけ魔法が効かず大剣を抜きクレイに向かって鋭い目付きで睨んで来た、クレイもロングソードを抜き構える。


「王太子は彼だな?」

「させると思うか!」


王太子を庇うように立ちクレイの攻撃を見極めようと集中している。


「しょうがないか、トリプルスラッシュ!」


クレイの剣技を男は大剣で受けるが性能の違いが明らかで大剣がバラバラに切断される。


「バカな!」

「そこをどいてくれと言っても無駄だよね、じゃあ一緒でいいか」

「なに?」


クレイは大剣を失った男に近寄り足元の王太子と共に転移魔法で共和国の入り口まで移動する。


「こ、これは!」

「はい、ここまでね」


クレイは門番を呼び寄せると兵士を呼んでもらい男と王太子を包囲する。


「降伏するなら命までは取らない、どうかな?」

「これまでか、王太子の助命約束したぞ」


うなだれ両手を上げる男を捕らえ王太子ともども政庁に連行した。


「こんなに早く捕縛するとは、それにこの男はインペリアルガードのライエン」


政庁広間で待っていたブルージュ宰相や幹部達が驚いている。


「眠ったままじゃ話せないよね、キュアウインド」


王太子がゆっくり目を覚ますとライエンを見つめ辺りを見渡す、状況を理解したようで落ち着いた口調で話し始める。


「まさか戦いを始める前に捕縛されるとは」

「申し訳ありません」

「ライエン、私のせいですまないな」


首を振るライエンを王太子が見つめているそんな二人にクレイが話しを始める。


「リチャード王太子、戦争を止められませんか?」

「残念だが私にそんな力は無いのだ」

「帝国のダンジョンに入れなくなったから侵略戦争を始めたのでしょ?ダンジョンにはもうすぐ入れるようになるんですけどね」

「ダンジョンに入れるようになるだと?お前になぜそんなことが分かるんだ?」

「この国のダンジョン創造主に聞いたんです」

「創造主に会ったのか?信じられん!」

「お主の強さなら本当の話なのかも知れんが」

「ライエン?」


帝国でも創造主に会った者はいない、当然嘘だと思っていたが肯定するライエンの発言に驚くそんな王太子に視線を送りライエンは話を続ける。


「たとえ本当だとしても戦争を止めるのは無理だ、そもそも王太子は戦争に反対している」

「ならなぜ軍を率いて来られたのか?」

ブルージュ宰相が問う

「厄介払いだろう」

「殿下!」

「大森林の遺跡からアーティファクトを持ち帰ってから父上や重臣達がおかしくなった、あのアーティファクトのせいに思えてならない」

「そのアーティファクトを調べる必要がありそうだね」

「クレイ様」

「フォルト、クラリス、一緒に来てくれる?」

「はい!」

「もちろんだ」

「クラリスとフォルトは帝国のレジスタンスと合流して」

「かしこまりました」

「僕はアーティファクトを調べて見るよ」


ライエンがクレイを見つめ情報を話す。


「アーティファクトは宮殿の地下にある、禍々しい魔力が溢れているから行けば分かるだろう、気を付けろよ」

「二人の身柄はこちらで預かります」

「よろしくお願いします」


三人は帝国へ向け出発の準備に取りかかった。

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