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第十七話

「フロストドラゴンがボスのようです」

「またドラゴンか」

「クラリスとフォルトはまた待機で!」

「分かりました、クレイ様もお気をつけて」

「うん」


扉を開けて中に入ると部屋の中央に寝そべっていたフロストドラゴンが起き上がった。


「グオオオオオオ!」


いきなり吹雪のブレスを吐く、部屋中の空気が一気に冷気で満たされ床も壁も凍り付いた。


「床が凍ってる」

「ファイアストーム!」


クレイの魔法がフロストドラゴンを襲う、強力な炎の渦が直撃すると体を覆っていた氷の防御壁を消し飛ばし鱗を赤く焼き始めた。


「グゥオオオオ!」


火だるまになったフロストドラゴンが吹雪のブレスを吐こうとする、だがクレイの魔法が強力すぎて少しずつ後退ると疾走し接近するロングソードを構え炎の魔法を付与し切りつける。


「フレイムソード!」

「グギヤーーー」


巨大なフロストドラゴンの頭上へ飛び上がると一気にロングソードを振り下ろした。


「フレイムスマッシュ!」


炎のロングソードが頭部に直撃する、ロングソードの斬撃と魔法の威力で大ダメージを与えるとフロストドラゴンはキラキラ光を放ち消えて行った。


「やりましたね」

「大丈夫か」

「問題無いよ」


フロストドラゴンの鱗を拾い先へ進む90階までは氷のフロアが続いた、モンスターも今までと違いアイスプリズムやコールドスライムと言った物理攻撃が効きにくい種類が出没した、クレイの炎系魔法で一気に倒し進む、フォルトやクラリスにとっては強過ぎる敵のためドロップ品の回収を担当してもらった。


「90階か」

「こんな所まで来られるとはな」

「アースドラゴンがボスのようです」

「やっぱりドラゴンですね」

「アースドラゴンなんて知らないぞ」

「とにかく巻き込まれないようにしてね」


扉を開けると今までよりかなり広い空間に巨大なドラゴンがいた、クレーターのように窪んだ床は土になっているその真ん中にゴツゴツとした丸い体、大きな牙、尾の先はトゲの生えた丸い形になっている。


「グオーーー!」


アースドラゴンが突進して来るクレイは避けず魔法を使い防ぐ。


「アダマンウォール!」


ドーーーンと大きな音をたてぶつかると後退り再度突撃を始めるクレイはアダマンウォールを解除しロングソードを上段から振り下ろし剣技を放つ。


「ライトニングスラッシュ!」


光の剣圧がアースドラゴンを正面から切り裂くと巨大な頭部から尻尾の先まで真っ二つに切り裂かれた、崩れ落ちたアースドラゴンはキラキラと光を放ち消えて行った。


「凄いな、こんなのあり得るのか、魔法戦士だよな」

「素敵ですクレイ様!」


ドロップ品アースドラゴンの鱗を回収し先へ進む。


「行くよみんな!」

「おう」

「はい!」


100階までの階層では灼熱スライムやフリーズクリスタルが現れた熱や冷気に耐性がある強敵だがクレイの前では雑魚敵で、どんどん倒して進む姿にフォルトは驚くのを止めクラリスはどんどん心酔して行ったそして遂に100階に到着する。


「古竜です」

「このダンジョンの創造主も古竜なんだね」

「戦うのか?」

「いや、多分話だけだと思うよ」

「緊張しますね」


扉を開けると部屋の中央に女性が立っている、古竜が人の姿に変化して待っていたようだ。


「クレイだね、私はルールーあっちで話そうか」


テーブルと椅子があり紅茶とお菓子が並べられている、クレイ達は座るように促され椅子に座った。


「何か望みはあるかい?もっと強くなりたいは無理だけどね」

「知ってたら教えて欲しいんだけど帝国はなぜ共和国を侵略するんですか?」

「うん、それはね帝国内のダンジョン創造主がダンジョンに入れないよう制限したからだよ」

「どうしてですか?」

「それはだね、帝国の東に広がる大森林の中に古代遺跡があってね、まあ古代と言っても800年ほど前に封印されたようだけどね、入れないよう封印してあったんだけど誰かが封印解いちゃったみたいなんだ」


紅茶を一口飲んで話を続ける。


「それでね、古代遺跡の中から何かを持ち帰ってそれを研究しその成果を武具や兵器の開発に取り入れちゃったんだ」

「じゃあ帝国の兵士が使ってた武具は」

「高性能だったでしょ?しかもダンジョンに持ち込めるタイプだし」

「それってつまり古代遺跡の技術が今の技術を上回ってるのか?」

「うーんちょっと違うかな、魔力をエネルギーに変換する方法が帝国や共和国が今まで使っていた物より効率的なだけ、それよりも本当ならダンジョンに持ち込めない武具が持ち込めてしまう可能性があるんだ、今回は特にその違いが分かり難くてさ、持ち込み可能武具の制限が守られなくなると大変だからね」

「それでダンジョンに入れないよう制限?それって制限するような事なのかなぁ?もう一度入れるようにならないのですか?」

「制限はとっても大事なんだよ、制限しなければこの星の人間も亜人も滅亡するほどにね、もう一度入れるように今細かい基準を作ってるはずだよ、基準を満たす武具を持つ探索者のみ入れるようにね」

「そうですか、それじゃあそれまで防衛すればなんとかなるか、ありがとうございました」

「どういたしまして、それじゃあ私から一つ提案です、スキル秘薬の調合は使ってるかい?」

「ポーションを作るスキルですよね、回復魔法があるから使ってません」

「だろうね、でも君が不在の時必要になると思わない?」

「確かにそうですね」

「この奥にある製薬室を使うといいよ、薬草や素材も色々揃ってるしね」

「それは助かります、ぜひ使わせてください」

「うん、じゃあその間に君と彼女は私が鍛えて上げよう」

「私ですか?」

「そう、今のままじゃクレイの足手まといでしょ?」

「はい!よろしくお願いします!」

「俺もお願いします」

「うん、じゃ行こうか」


フォルトとクラリスが連れられて行くのを見届けるとクレイは製剤室に入る、中には色々な道具が揃っていた秘薬の調合スキルを使うと薬の名前・素材の数が頭に浮かぶ。


「まずは回復薬かな数は最大の100個で」


目の前にある素材が光の粒になり混ざり大きな光の玉になると一滴づつ落ちテーブルに回復薬が出来上がる。


「次は状態異常回復薬だなこれも100個で作成」


身体強化薬と魔力回復薬の作成を始めると全て完成するまで時間が掛かるので、その間薬の名前と効果をクリンに確認する。


「魚人化薬てなんだろ?」

「水中で呼吸出来るようです」

「いつか使うかな?10個ほど作っておくか、あと気になるのは隠密薬かな」

「姿と気配を完全に消せるようです」

「これも10個作成と、こんなものかな」


テーブルから落ちないよう完成品をアイテムボックスに入れる、全ての数が完成するまで二時間と少し時間を要した。


「よしこれで全部だな」


部屋から出るとボロボロになったフォルトとクラリスがルールーと共に戻って来た。


「そんなにボロボロになってどうしたの?」

「凄く疲れた、もう無理だ」

「ここまでの鍛練は初めてでした」

「そんなに時間経って無いはずだけど?」

「鍛練場は少し時間の流れが違うんだよね、たっぷり鍛練する時間はあったよ、さ、ゆっくり休んで」


ルールーにそう言われ夕食に用意されたドラゴンステーキを食べる、疲れ果てていたフォルトとクラリスもニコニコ顔でモリモリ食べている、その後ゆっくりと休んだ。


「帰りは転移装置を使えばいいよ、それと私の鱗を10枚あげる大事に使って!」

「ありがとうございます」

「また来てね」

「はい」


すっかり元気になった二人を連れ転移装置で地上に戻り部屋を出て工房に向かった、もらった鱗でクラリスの武具を強化すると出来映えを確認しブルージュ宰相の元へ向かった。

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