第十六話
休憩の後、下層へ向け進むとワイルドボアやフライラビットのような動物系のモンスターが出没するようになった、動物系のモンスターは素材以外に食材もドロップするのでフォルトのアイテムボックスに収納して先を急いだ。
「50階到達!」
「クレイ様、ここからはゴーレムが出没します」
「弱点を調べながら進もう」
ゴーレムは核を破壊しない限り再生し続ける厄介なモンスターだ、アナライズの魔法で核の位置を特定し効率よく倒して進む。
「ゴーレムをこんなに簡単に倒せるだなんてクレイ様に作っていただいたランスは最高です」
「ならどんどん進むよ」
「おう!」
60階に到着すると強化の魔法を使いボス戦の準備を整える。
「では、参りましょう!」
扉を開けるとアダマンゴーレムが待ち構えていた、アナライズで核を探す。
「核は首の下辺りだ!」
「分かりました、集中!」
「手足は任せろ!」
フォルトが魔弓でひじ関節を狙う、硬いアダマンゴーレムも関節は弱点と言える。
「チェインショット!」
フォルトの矢が関節を砕く、だがすぐに再生して攻撃を始める。
「ゴゴゴゴ!」
ゴーレムのパンチをクレイが盾防ぐ。
「ウインドカッター」
クレイの魔法で腰関節を破壊し動きを止めるその間にクラリスの技が放たれる。
「スコーピオンランス!」
核の位置を正確にクラリスのランスが貫くと少しの時間ゴーレムが停止する、再生するかと構えていたがそのまま崩れ去った。
「やりました、こんなにあっさり倒せるなんて」
「うまく連携出来たね」
「アダマンタイトのインゴット回収したぜ!」
ここまで15日かかった、地上が気になるので一度転移魔法で戻りブルージュ宰相に連絡をする、帝国はまだ進行していないと確認が取れ久しぶりに地上で休息を取る、必要ないドロップ品は売却しアイテムボックスの空きを増やすとしっかり眠り翌日出発する。
「転移魔法なんて大魔法師みたいだな」
「魔法戦士が使える魔法じゃありませんものね」
「高位の魔法だけどダンジョン内の移動にはあまり魔力も消費しないし便利だよ」
「確かに便利だな」
「では、参りましょう!」
60階へ移動し下層へ進むゴーレム以外は相変わらず動物系のモンスターが多い、ビックホーンベアやレッドディアーを倒しながら70階に到達した。
「フォレストドラゴンがボスのようです」
「クレイ様、ドラゴンは強敵ですがどうしますか?」
「問題ないフォルトとクラリスは後ろで待機」
「まさか一人で戦うつもりか!」
「大丈夫、レッドドラゴンもブルードラゴンも一人で倒せたしね」
「私も戦いたいですが足手まといでしょうからクレイ様の指示に従います」
「うん、じゃあ行くよ」
扉を開け中に入るとフォレストドラゴンがゆっくり起き上がった、苔むした巨大な体から巨大な魔力を感じるクレイは走りながら魔法を放つ。
「ファイアボール!」
巨大な火の玉がフォレストドラゴンに直撃する、叫び声をあげると石化のブレスを吐いたクレイは盾で防ぎ剣技を放つ。
「フレイムソード、フレイムスマッシュ!」
フォレストドラゴンの前足を切り裂くと首の下まで潜り込みロングソードで切り上げる、噛みつき攻撃をかわすとそのまま首を狙う。
「パワースラッシュ!」
悲鳴のような叫び声をあげると崩れ落ちた。
「すごいな」
「とても同じ人間とは思えません」
驚く二人を手招きしドロップ品を見せる。
「見て!ドラゴンの肉だよこれでハンバーグを作れば最高だね」
「フォレストドラゴンの鱗よりそっちか」
「お昼ごはん私が腕によりをかけて作ります!」
「じゃあ一緒に作ろう!」
アイテムボックスに入れ先へ進む80階まではファイアリザードやドラゴンレッサーが出没するようになった、フォルトやクラリスがギリギリ戦えるレベルのモンスターでレベル上げには向かないと判断しクレイが一人で倒し進んだ、フォルトとクラリスはドロップ品の回収係りだ80階直前でお昼の時間になりクレイとクラリスがハンバーグを作りフォルトはスープとサラダを担当する。
「まずはミンチにしないとね」
「任せてください!」
「これは!」
「挽き肉マシーンです!クレイ様はハンバーグがお好きと聞き用意しておりました」
「クラリス、ナイス!」
「ではスタート!」
みるみる間にドラゴンの肉がミンチになって行くクレイは大きなボウルと紅鳳の卵を取り出す。
「こねていくよ!」
「クレイ様、つなぎに黄金小麦で作ったパン粉を使いましょう」
「このパン粉探したけど見つからなかったやつだ」
「騎士団ルートで調達しました」
「やるねークラリス!」
「えっへん」
二人でハンバーグを作り焼き上げるかなり美味しそうな匂いが辺りに漂う。
「こっちは出来たぜ」
「こっちも完成」
三人でハンバーグランチを食べる、一口頬張ったハンバーグが絶品の味で三個もおかわりした。
「美味しいですね」
「サラダも美味しい!このオレンジ色のドレッシングも作ったの?」
「ああ、いけるだろ特別な酢を使ってるんだ」
「これオレンジローズビネガーじゃない?」
「その通りなかなか手に入らないんだぜ!」
最高の昼食を食べると腹ごなしにモンスターと戦いとうとう80階に到着した。