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第十五話

政府専用ダンジョンの入り口にクレイ達の姿があった。


「クラリス」

「はい!」

「まずは君の装備を整えようと思う、武具工房は使えますか?」

「はい、ですが今の装備以上の物は作れないと聞いています」

「そこは任せてください」


工房に入りテーブルにアイテムボックスから三種類の竜鱗を取り出し並べる。


「これはドラゴンの鱗か!」

「そうですよ」

「さすがクレイ様!ですがこの素材を加工出来る職人がここにいません」

「それも任せてください、まずは鎧ですけど今のタイプでいいですか?」

「クレイ様、私に敬語は無用でお願いします」

「わかった、なら僕にも・・」

「嫌です、私はクレイ様に敬語を使います!」


まっすぐな瞳であまりに強く意思表示されると断れない性格のクレイはあっさりと承諾した。


「そ、そーか、まあいいよ好きにして」


クラリスはにっこり笑ってクレイに話を続ける。


「鎧でしたらこれと同じフルプレートで構いません」

「武器もランスでいい?」

「はい、でもどうするのですか?」

「僕がスキルで作ります」

「クレイ作れるのか!」

「フォルトの装備も僕が作ったんですよ」

「そうなのか!」

「まずはベースの鎧をここに置いて」


クラリスは鎧を脱ぎテーブルに置く、鎧の下はスポーツウェアを着ていた。


『そうか、インナーも強化服を作れれば』


クレイがそう考えているとクラリスはスポーツウェアも脱ぎ出した。


「クラリス!それは着てていいから」

「そうですか、残念です」

「残念?まあいい、じゃあブルードラゴンの鱗で加工するね」


そう言うとスキル匠のハンマーを使いブルードラゴンの鱗を加工し濃紺のフルプレートを完成させた、あまりにも早く完成したフルプレートを見て驚く二人、レッドドラゴンの鱗でランスを続けてグリーンドラゴンの鱗で盾を完成させる、盾もランスも同じ濃紺になるよう調整しておいた。


「凄いな、ドワーフみたいだ、いやドワーフでもこんなに早く作れないだろ」

「本当にクレイ様は素晴らしいです!」

「クラリス装備を着けてみて」


鎧を着たクラリスはとても強そうに見える本人も鏡の前で満足そうに頷いている、ランスも盾も気に入ってくれたようだ。


「ありがとうございます、傷一つ付けないように大事にしますね!」

「いや、前衛職でそれは無理でしょ」


大喜びしているクラリスにクレイの言葉は届いていないようだ。


「それじゃあダンジョンに入ろうか」

「おう」

「行きましょう」


その時AIがクレイの肩に現れる。


「ご主人様サポートいたします」


それを見たフォルトとクラリスが興味津々で見つめている。


「クレイこれはなんだ?」

「携帯端末にあるAIだよ」

「肩に止まってますけど」

「ちょっと改造したらこうなったんだ」

「名前はなんと言いますの?」

「名前は付けてないけど」

「まあ、では付けましょう」

「クラリスに任せるよ」

「いいのですか!では」


クラリスは真剣な表情で考えている。


「クリンでどうでしょう?」

「いいんじゃないか」

「なら今からクリンと呼ぶけどいいか?」

「ご主人様、了解しました」


AIに感情は無いはずだが少し嬉しそうにしているように見えた。


「クラリス達騎士団はどこまで攻略したんだ?」

「59階までです60階のボス、アダマンゴーレムが倒せなくてそれ以上は進めていません」

「よし、じゃあまず60階を目指そう」

「はい!」


ダンジョンに入るとゴブリンやスライムといったモンスターと遭遇した、フォルトの弓とクラリスのランスで倒しながら最短ルートで階段を下る、このダンジョンは草木が生い茂るフロアが多く薬草があちこちに生えているフロアも存在した、初心者に優しいダンジョンのようだ。


「クレイ様、このフロアは蜂蜜が採れるんです」

「蜂蜜?」

「はい、この先を左に曲がったエリアにワイルドビーと言うモンスターがいまして巣を見つけられたら大量に採取可能ですよ」

「じゃあ寄って行こう」

「俺の出番だな」

「レンジャーだもんね」


クラリスの案内で到着したエリアは草木に花が咲き乱れていた、まるで春の花畑だ花にはワイルドビーが飛び交っておりフォルトが巣を捜索する。


「あったぞ!」

「採れそう?」

「大丈夫だ」

「入れ物は私が用意します」


クラリスはアイテムボックスから瓶を取り出しフォルトに渡す。


「みかんの蜂蜜だね」

「あっちは蓮花で向こうにリンゴがありますよ」

「よし順番に採取しようぜ」


エリア内で複数の蜂蜜を採取したクレイ達は休憩を取った、このエリアはモンスターが襲って来ないらしくワイルドビーも蜂蜜を採られているのにこちらから手を出さなければ攻撃して来ずせっせと花粉や蜜を集め飛び回っていた。


「クレイ様、紅茶が入りました」

「ありがとう、クッキー持って来たからクラリスも食べて」

「ありがとうございます」

「クラリスもアイテムボックスの魔法使えるんだな」

「フォルト殿は使えないんですか?」

「便利だし使いたいんだがな」

「フォルトもレベル上がってるし覚えられるでしょ?」

「習得魔法のリストに出てこないんだ」


クレイがフォルトの携帯端末を確認すると確かに表示されていない。


「おかしいですね、貸してみてください?」


クラリスが携帯端末を操作するクリンもシステム内部から調べている、少しして何かを発見した。


「ご主人様、この携帯端末には制限がかかっているようです」

「制限?解除できないのか?」

「やってみます」


クリンが携帯端末に入り数分で出てきた。


「終わりました」

「クラリスどう?」

「ありました、これで習得可能ですね」

「ほんとだ、でもなんで制限なんか?」

「帝国が余計な魔法を習得させたくなかったんでしょう」

「端末からじゃなくギルドで直接習得すればよかったんじゃない?」

「帝国が共和国のギルドを廃止したからギルドのシステムにエネルギーが来てないんだ」


フォルトが端末を受け取りアイテムボックスの魔法を習得すると、カバンの中身をアイテムボックスに入れた。


「これで動きやすくなったぞ」

「クラリスの端末は制限かかってない?」

「クリンちゃん調べてくれる」

「了解しました、発見しました制限を解除します」

「ありがとう」


採れたての蜂蜜を入れて飲んだ紅茶は予想より美味しく今後の食事にも調味料として使えそうだった。

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