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第十三話

反乱軍の拠点は南西の食料生産区にある、要塞化された施設を長らく帝国兵が包囲しているが今まで攻め落とせていない、その理由はダンジョンへの入り口がその場所にあるからだ、このダンジョンは一般には解放されていない、今まで政府専用のダンジョンとして騎士団の訓練や素材採集に活用されていた、今はダンジョンで採取した素材や魔法石を使って拠点の守りを固めエネルギーを供給し武具の製造を行っている、そのせいでこの拠点を攻略するのは非常に難しい、フォルトはレンジャーのスキルで帝国兵に気付かれないよう包囲網の中を通り抜け拠点の入り口までたどり着いていた、見張りの兵士に話しかける。


「お前は誰だ!」

「俺はフォルト、反乱軍に参加しに来た」


探索者カードを見せ首回りも確認させる、隷属の魔法が無いと分かると兵士も安堵している。


「クラリス騎士団長が戻ったと聞いて俺も加わろうと決めたんだが他にも同じような奴がいるんじゃないか?」

「そうか、一人で直接来た奴はいないが仲間を通じて加わった者はいると聞いている」

「クラリス騎士団長に会えるか?」

「いいだろう、おい誰か!」

「はい!」

「連れていってやれ」


兵士に連れられ施設の奥へ移動する、施設の中は多くの兵士が戦闘準備をしていた、地下への階段を下りると医務室や食堂があり更に奥の部屋へ案内された。


「加入者を連れて参りました」

「よし、入れ」


部屋の中にはクラリス騎士団長やブルージュ宰相それに幹部が数人作戦会議をしていた。


「新規加入者か」

「元ダンジョン探索者です、探索者カードも持っています」

「今もダンジョン探索者だがな」


探索者カードを見せると携帯端末で確認する、幹部は笑顔で頷く。


「かなりのレベルだな、期待しているぞ」

「クラリス騎士団長だな、俺の仲間があんたの傷を治したと言ったら信じるか?」


クラリス騎士団長は目を輝かせフォルトの前へ駆け寄った。


「あの方の仲間なのですか!今どこにいらっしゃるのですか?あの方のお名前はなんとおっしゃるのですか?なんとか取り次いで頂けないでしょうか?」


猛烈な勢いで質問を畳みかけるクラリスに圧倒されたフォルトだったがなんとか落ち着かせ話を進める。


「名前はクレイ、今は単独で政府庁舎に向かっている」

「なんと!よし私も騎士団を率いて加勢する!クレイ様、今参ります!」


その時慌ただしく兵士が入ってきた。


「報告します!、インペリアルガード率いる帝国重装歩兵が攻めて来ました!」

「なんだと!」

「クラリス騎士団長、まずは迎撃頼めるか」

「致し方ありません、フォルト殿お願いできますか?」

「もちろんだ」


いつもは防衛戦に徹するのだが今回は迎撃に出る、帝国の精鋭が集められたインペリアルガード率いる帝国重装歩兵はかなり手強い、最前列は大きな盾を持って一列に並び前進している、クラリスの隣に配置されたフォルトが魔弓で攻撃を開始する、この距離からでは大盾に弾き返えされると誰もが思っていたが矢は大盾を貫通し後方の兵士も更にその後ろの兵士もまとめて射抜いた。


「なんて威力だ!」

「フォルト殿!さすがクレイ様の仲間ですね!」


試射のつもりだったが思わぬ成果が出てしまった、初めて使った魔弓の威力に驚くが動揺を悟られないように平静を装う。


「お、おう」

「我々も行くぞ!」

「おー!」


次々に矢を射ると帝国兵士の士気が下がり進軍スピードが遅くなった、フォルトの魔弓が帝国軍に与えた影響は大きく遂に陣形が崩れ始める、それを見逃さずクラリス騎士団長が攻撃の合図を送ると崩れ始めた敵陣に突入し乱戦となった、フォルトは騎士団に当たらないよう矢を射続けると更に大きく陣形が乱れ混乱状態になった。


「ウオーーー!」


雄叫びを上げクラリスに向け攻撃を仕掛ける大男がいた巨大な斧を振りかぶり振り下ろすとクラリスの槍を叩きつけた。


「ガルガン!」

「お前を討ち取る!」


二人の戦いの邪魔にならないよう帝国の兵士達が引いて行くクラリスの騎士団も巻き込まれないよう離れると一騎討ちが始まった。


「ウオーーー!」

「くっ!」

「パワースマッシュ!」

「ランスガード!」

「トリプルスラッシュ!」

「ぐはっ!」


一方的な戦いが続くと帝国兵士達の士気が上がり始め混乱から立ち直りつつある、フォルトも魔弓で狙うが威力が大き過ぎてクラリスを巻き込んでしまう可能性がある。


「スネークショット!」

「スカルクラッシュ!」

「ぐわっ」

「相手が悪かったな!」

「スコーピオンランス!」


クラリスの武技がガルガンに直撃するが鎧に阻まれる、鎧には傷一つ付いていない。


「いい技だ、だが武具の性能が違いすぎる!」

「ストレングスアップ!」

「シャープネスアップ!」

「スピードアップ!」

「一点集中!トルネードシュート!」


クラリスの持てる力全てを槍に込め武技を放った、だが穴が空いたのはガルガンの盾だけでダメージは無いガルガンは盾を捨て構える。


「くっ、ここまでか」

「パワースラッシュ!」


クラリスを襲う巨大な斧は二人の間に割り込んだ一人の男によって防がれた、死を覚悟し目を閉じていたクラリスがゆっくりと目を開ける。


「クレイ様、来て下さったのですね!」

「おのれ邪魔だ!パワースマッシュ!」


ガギンと盾で受けると押し返しロングソードで切り返す。


「良い盾だな、お前を始末し俺が使ってやろう」

「フロストソード!」

「シャープネス!ハイシャープネス!ストレングスアップ!」


ガルガンの筋肉が強化され膨れ上がる、大斧に魔力が注がれ赤い光を放っている、クレイに全力で振るわれる大斧はロングソードを破壊し致命的なダメージを与えるはずだった。


「ハイパワースマッシュ!」

「クロススラッシュ!」


クレイが振り下ろしたロングソードでガルガンが振り下ろす斧を切り裂き更に横凪に払った剣が鎧を切り裂いた、ガルガンがうつ伏せに倒れる。


「バカな、グフゥ!」


口から血を吐き崩れ落ちると動かなくなった、それを見て帝国兵は後退を始める。


「ガルガンを討ち取ったぞ!今だ全軍進め!」


反乱軍が一斉に帝国兵を攻撃すると指揮官を失った帝国兵は混乱状態になり敗走を始めた、だがその時航空部隊が援軍に現れた帝国兵からは歓声が上がる。


「おーーー!」

「やっと来てくれた!」

「行けー!」

「容赦するな!」


バイクやクルマのような形をした航空部隊が向かってきている、この世界では音速を超えるような戦闘機や高速ミサイルは存在しない、これは高速移動に消費する魔力エネルギーが多過ぎるからだ、航空部隊が攻撃を開始する地上の反乱軍も魔法で応戦するがシールド魔法が施してありダメージを与えられない、そんな中フォルトの魔弓はシールド魔法を破壊し装甲を貫き次々と撃墜する、航空部隊の装甲は狙撃銃の弾丸でさえ弾き返す強度があるのだが魔弓の前ではまるで紙のようだ、それを見ていた帝国兵士は大混乱になり敗走を始めた。

反乱軍は追撃し政庁前まで進軍するとそのまま攻め入る、政庁防衛の指揮官を含む幹部達がクレイにより捕縛されていた影響で大した抵抗もなくあっさり制圧された、捕らえていた幹部の中に奴隷契約魔法の担当魔法師がいると判明し奴隷契約を解除させる、解放された者の多くが反乱軍に参加し帝国の拠点を次々と奪い返して行った、その後数日かけ共和国内の帝国軍を一掃すると最低限の人員を揃え新政府が設立、反乱軍を率いていたブルージュ宰相が共和国の独立を宣言したのだった。

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