第百二話
翌日、冒険者ギルドに行くとジュンス達が待っていた、約束していた武具を渡し希望通りに作成できているか確認してもらう。
「これは凄いぞ、本当にもらっていいのか?」
「もちろんだ、気になる所があれば言ってくれ」
「凄くいいよ、重さも握った感触もバッチリ」
「ブレストアーマーも思ったほど重くないの、儂もこれで大丈夫じゃ」
「じゃあこれでいいんだな」
「あ、そうだ、これ鉱石を鉱山ギルドに売った分け前ね、口座に振り込んでおいたから明細で確かめて」
「凄い金額だな」
「それで俺達の武具の代金はいくらになる?」
「それなんだが相場が分からなくてな」
「これだけ質のいい武具は見たことない、店で買ったら素材の代金を差し引いても俺達の全財産では足りないだろうな」
「俺は今お金に困ってないから代金はお金より情報にしようと思うんだが」
「情報?」
「俺の知らない情報をその都度教えてくれたらそれでいい」
「それだと実質無料でしょ?」
「本当にそれでいいのか」
「構わない」
「よし、とりあえず今はそうしよう、もしお金が必要になったら言ってくれ」
「分かった」
その後掲示板の前へ移動すると手頃な依頼を探す、今回もジュンス達が一緒に見てくれている。
「どれにするかな」
「ノルト、これと、これと、これにすればいいよ」
「ロックバードの羽、フォレストリザードの革、ハイイロイノシシの牙、素材集めかもう持ってるな」
「受付に持って行ってそのまま納品を済ませば五つ目の依頼を達成するだろ?」
「そうか昇級試験!」
「昇級試験?」
「まあ行ってみなよ」
受付に依頼書を提出し受理されるとその場で納品も済ませる、手持ちの素材で依頼を達成できたのは幸運だった。
「ノルトさんはこれで5つ依頼を達成しましたので昇級試験を受けられますがどうします?」
「受けようと思う」
「ではここにサインしてください、試験は最短で明後日です、筆記と実技の試験があります、時間に遅れてしまうと次は十日後になりますので遅れないようにしてください」
「分かった、気をつける」
試験の説明を聞いた後ジュンス達の元に戻り明後日に昇級試験を受けると伝えた。
「筆記試験は過去問集を持ってるから使うといいよ」
「フェムありがとう」
「実技は余裕だと思うぞ、模擬戦で一本取るだけだしな」
「魔法は威力を抑えんといかんぞ、ノルトの魔法は強力過ぎるからの」
「分かった、じゃあ俺はこれから寮で勉強だな、ジュンス達はどうする?」
「この新しい武具で早く戦ってみたいから討伐依頼を受けようと思う、試験の日に会おう」
「新しい装備で戦うのってワクワクするよね」
「儂もこの年だがワクワクが止まらんわい」
「そうか、じゃあまたな」
「ノルトなら絶対に合格できるからね」
冒険者ギルドを出て寮に帰ると部屋に入りフェムからもらった過去問集を解いてみる、筆記試験は素材集めについての知識が多く出題されるようだ、保存状態を保つ持ち運び方や解体方法の注意点を重点的に試験日までしっかり勉強し覚えた。
「受験票と筆記用具それに弁当も必要だな」
食堂でカツサンドの弁当を買いアイテムボックスに入れると朝食を食べ試験会場に向かった、ジュンス達はもう来ていてノルトを見つけ集まってくれた。
「ノルト体調はどうだ」
「ちょっと寝不足だ」
「学校の試験と違うからな」
「フェム、過去問集ありがとな」
「いえいえ、頑張ってね」
「昇級試験を受験される方、集まって下さい」
受付の呼び掛けで集まった冒険者が教室へ入ると、受験票に書いてある席に座る問題は先に机に置いてあった。
「受験番号の席に着きましたね、問題と答案用紙ありますか?えーと、試験時間は四十分です途中退場は認めません、よろしいですか、はいでは始めて下さい」
問題用紙を開くとフェムの過去問集と同じような内容が書いてあった、スラスラと回答を書く、試験終了の時間までに見直しも終わり記入漏れがないことを確認する。
「はい、終わりですそれでは採点が終わるまでお待ち下さい」
ギルドの職員が回答用紙を持って教室を出て行きノルトは静かに結果を待つ、他の受験者は互いに試験の話をしていた、しばらくして結果が発表されノルトは合格だった。
「午後から実技試験を始めます、昼食はこの教室で食べて下さい、昼食を買いに行く場合はギルド職員に報告してから教室を出るように」
ノルトは弁当を持っているので取り出し食べていると受験者の一人が話し掛けてきた。
「一緒に食べていいか」
「ああ、構わない」
カツサンドを食べながら話し始める、試験なのでカツサンドにしたのだが思っていたより肉が厚く食べにくかった。
「学生か?」
「そうだ」
「俺はオルカだシルバーの試験を受けてる」
「そうなのか、俺はアイアンの試験だ、色々な昇級試験を同じ教室でするんだな」
「アイアンなら大丈夫だリラックスして受ければいい」
「実技試験は模擬戦と聞いてるが相手はどんな人なんだ?」
「だいたいゴールドかオリハルコンの冒険者だな、中には性格の悪い相手もいるが誰に当たるかは運次第だ」
「そうか、俺は魔法師で登録したんだが相手も魔法師になるのか?」
「そーだな、多分そうだと思う、一通りの職業を揃えてるはずだが揃えられなければ他の職業の可能性もある、けどまあ魔法師だろう」
「シルバーの試験は初めてか?」
「いや二回目だ、俺も魔法師なんだが前回は相手が変態女魔法師でな、まいったよ」
「強かったのか?」
「防御魔法をこれでもかってくらい使うんだ、だからこっちの攻撃魔法でダメージを与えられない、今思い返してもムカつくぜ」
「ダメージがなければ一本取れないのか?」
「審判が決めるから絶対では無いが通常はダメージで決めるだろ?今回は違う奴ならいいんだがな」
オルカは話し上手な男で実技試験前に緊張しているだろうと子供の俺に話しかけてくれたようだ、お陰で情報が得られ有意義な昼休憩になった、食事を終えしばらくするとギルドの職員が入って来て実技試験が始まった。
「それでは実技試験を始めます、ローガンさん、フンバさん」
呼ばれた冒険者が教室を出て行く、呼び出された受験者の実技試験が終わると順番に次の受験者が呼ばれる。
「ノルトさん実技試験を始めます」
ノルトの順番が来たので少し緊張して試験場に入ると対戦相手が待っていた、女性の魔法師だった。
「アイアンの試験だから若い人だとは思ってたけど子供じゃない、大丈夫なの?」
「お願いします」
「私はオリハルコン級だから全力で攻撃しないと一本取れないわよ」
「分かりました、全力で行きます」
「まあでも無理でしょうね、今回は運が悪かったと思いなさい」




