第九十九話
山道を登っているとマウンテンリザードがうろついていた、普段は強敵なので戦わずに通り過ぎるのを待つのだそうだが、牙と革が高値で売れるそうなので今回は戦ってみる、ジュンスが突進を受け止めそのまま攻撃を引き付ける、次にトールが魔法を放つ威力が上がったアイスニードルがマウンテンリザードの足に命中した、動きが止まったところにノルトのサンダードラゴンが命中し麻痺させ、止めはジュンスに任せる動けないマウンテンリザードに振りかぶった剣を振り下ろし一撃で首をはねた、フェムが素早く解体を始める、それほど大きな個体ではないため短時間で解体が終わった。
「かさ張らんしワシのマジックボックスに入れよう」
「じゃあはい、トールよろしく」
登山を再開しどんどん登って行くとようやく鉱山の入り口が見えて来た、入り口の手前にある平地で休憩する。
「ちょっと休憩してから入ろう」
「疲れたわい」
「坑道の地図はあるのか?」
「これだよ、地下3階分だけどね」
「もっと下の階層もあるのか?」
「13階層まであるけど依頼内容はミスリル鉱石の採掘でしょ」
「そうだったな、坑道内にも魔物は出るのか?」
「出るぞ、もしノルトがもっと下層まで行きたいなら付き合うがどうだ?」
「そうか、なら行けるところまで行ってみようか」
「それには一つ問題がある」
「何だ?」
「食料が足りないのよね」
「ああそうか、なら俺の弁当で良ければ食べてくれ」
「いいの?」
「実は弁当以外も屋台で買い込んで来たんだ、焼き鳥と焼きそば、それにビックソーセージもあるぞ、好きなの食べてくれ」
「やった!」
「ワシらは最下層まで行った事があるぞ、まあ最下層は少ししか歩いて無いがのぅ」
「魔物も最下層以外は強敵もいない、無理せず進もう」
鉱山の入り口から中に入ると真っ暗だった、ライトの魔法で辺りを照らす、一般的な鉱山は鉱夫が働いているので灯りがあるがこの鉱山のように魔物が出るようになると放棄されるので明かりがない、その代わり魔素が多いので鉱石の質が良く大きい物が採掘される、冒険者に採掘の依頼料を払っても十分利益が出るそうだ、地下三階まではバットブラウニーやキラーアントに遭遇した、ノルトはジュンス達の邪魔にならないようウインドカッターで遠距離の魔物を倒していた。
「ミスリル鉱石発見!」
「こっちも発見したぞ」
「この階で四つは上出来じゃの」
「次行くよ」
ノルトに食料を分けてもらい休憩しながら先へ進む、4階から6階までは坑道が少し広くなっている、魔物が壁を削っているそうだが、壁は硬く固まっていて崩落の危険は無さそうだ、魔物は少し大型になりメガバットやシザーアントに遭遇した、強さはそれほど変わらず換金できる牙や甲虫の殻を拾いながら進む。
「ミスリル鉱石が多いな」
「そろそろ銀鉱石も出ると思う」
結局ミスリル鉱石を6つ発見しただけだった、だが7階から9階までは銀鉱石が8つも発見できた、10階からはより魔素が濃くなり魔物もダークバットやシルバーアントそれにビッグモールと遭遇する、強さも少し手間取る強さになっているが、光魔法に弱いそうなのでフラッシュライトの魔法を放ち魔物の視力を奪ってから攻撃するように戦い方を変更すると案外あっさり倒せるようになった。
「金鉱石だ!」
「こっちもあるぞ!」
「大儲けじゃな」
金鉱石8つと銀鉱石2つを手に入れ最下層の13階へ突入する、最下層だけあって出現する魔物もシャドウリザードやテラーバットと言った隠密性が高く麻痺などの状態異常を引き起こす攻撃をして来る。
「ノルトあそこにいる」
「よし、目を閉じて!フラッシュライト!」
ギュアーーと言う叫び吠えを上げるテラーバットと沈黙を貫くシャドウリザードをジュンス達が攻撃する、そんな戦闘を繰り返していると魔物の中にタラテクトが混じっているのに気がついた、タラテクトはフラッシュライトの効果が無い、近寄る敵に蜘蛛の糸を飛ばし機動力を奪う厄介な魔物でさらに口の牙には毒があり噛まれると軽度の麻痺を引き起こす、ジュンスやフェムも噛まれて動きが鈍くなっている。
「キュアウインド!」
麻痺が治った二人がシャドウリザードとテラーバットを仕留める、タラテクトはトールがフレイムの魔法で焼き払った。
「ノルト助かった」
「タラテクトがいるとはのぅ」
「あの大きさ子供でしょ」
「親がいるかもな、慎重に進もう」
焼き鳥とビックソーセージを食べ休憩する、魔物を早く発見するためにライトの効果範囲を広げる、先頭のフェムにも魔道具のライトを使ってより先の方まで照らし探索を続けた、分かれ道をくまなく歩き鉱石を拾い集めると金鉱石が2つ見つかった、そしてついに一番奥の手前まで到着した、斥候として先に進んでいたフェムが戻って来る。
「ヤバイのがいた、レッドフッドだ」
「レッドフッド?」
「レッドフッドタラテクト、強敵だ」
「タラテクトの親か」
「どうするんじゃ?」
「始末しよう」
「ノルト本気か?」
「炎の魔法が弱点なら俺とトールで焼いてしまえばいい」
「なら俺とフェムはタラテクトを始末しようトール、ノルト頼んだぞ」
「よしやるかの」
奥に進むと行き止まりで広い空間になっていた、さらに奥が採掘現場でその手前に大きな蜘蛛が巣を作り近くには多くの子供達が蠢いている。
「先手必勝!行くぞ!」
「フレイム!」
「ファイアボール!」
レッドフッドタラテクトに命中し巣と共に燃え上がると大騒ぎになった、暴れ回るレッドフッドタラテクトと子供達。
「ファイアトルネード!」
「フレイムバースト!」
焼き払う間に逃げ回るタラテクトをジュンスとフェムが仕留める、黒焦げでひっくり返り動かなくなったレッドフッドタラテクトにジュンスが止めを刺す。
「おいみんな、凄いよこの奥早く来て!」
「金鉱石がゴロゴロしてるのか?」
「こ、これは!オリハルコンじゃ」
「いっぱいあるよ!」
「凄いな、これだけあればいい装備ができそうだ」
「全部は持ち帰れないから上質の物を選ぼう」
フェムの鑑定スキルとノルトのアナライズの魔法で良質で大きなオリハルコンの鉱石を選び収納して行く。
「もうは入らんぞ、20個じゃ今回の依頼に必要ない金と銀の鉱石は置いていくぞ」
「勿体ないがしかたない俺も鞄に5つ入れた」
「私は6つ目、両手に1つづつ持って帰ろう」
「俺は30個で十分だ、金と銀は俺が持ち帰ろう」
「ならミスリルも持ってくれんか?」
「ああ、いいぞ」
「これで25個じゃ」
「よし、帰るか」
オリハルコン鉱石を持てるだけ持って来た道を引き返して行く、鞄はパンパンに膨らみかなりの重さになっているがみんな自然と笑顔になっていた。




