最終話
魔族・・数十年前に突然転移してきた。
彼らの話だと、ニホンの一地方だったと言う。
その先進性は私の世界のどの国よりも凌駕している。
魔法こそないが、いえ、魔法がないから文明が進んだのでしょうね。
私は魔族の方に救出された後、空飛ぶ魔道具に乗せられて数千キロ飛び。
彼らの本国に留学することになった。
イセ国だという。
転移後初めての留学生受け入れで国中が大騒ぎだったのは遠い昔。
半年間の生活習慣の教育を受けて、同期の留学生と共に高校と大学に進学をした。
今月、卒業式があり。
今日、元の大陸に戻る日だ。
7年も住むと、黒目、黒髪が普通に思える。
いや、魔族ではない。普通の人族であろう。
「マリー、こんにちは。遂に戻る日よね」
「やあ、ローズマリー」
「こんにちわでゲス!帰ったらメイドにしてくれでゲス!」
「フフフフ、ドロシーちゃんは、秘書で来て頂きますわ」
「やったーでゲス!」
私たちは、公社を任され、大陸にイセ国の商品を輸出する役目を担うことになった。
私が代表取締だ。
私は婚約破棄をされ、貴族籍を抜かれたので今は平民。
平民が代表取締役に就任しなければならない事情がある。
何故なら、女神教会が、国家や貴族が魔族と取引するのを禁止している。
『国と貴族が魔族と取引をするのは禁止じゃ』
『それなら、法王様、平民の商人が、魔族の品を輸入するのは・・・』
『まあ、黙認じゃな』
ピロピロ~
『何々、今、話し中だ。後でな』
『あれ、法王様・・・それはスマホ・・・』
『これは便利じゃ、説法を収録して、流せば教えを広められるというものじゃ』
法王様まで、スマホを使っている始末。
この流れは止められない。
王族、貴族や大商人、平民に至るまで、怠惰な者は激流に流されるであろう。
今は、拠点が必要だ。
「ローズ、ねえ、ノース王国は税金おまけできますわ」
「ローズマリー、帝国・・・」
「はい、はい、皆さんのお気持ち分かりますが、一つの国に偏るとパワーバランスが崩れます。
私の祖国で考えています。
魔族のレアメタル鉱山の拠点に近い。
両大国から等距離にあります。ドロシーちゃんの国にも近い」
「わかったわ」
「ああ、そうしよう」
「それがいいでゲス!」
☆☆☆ファミール王国王都
「ええ、領土、こんなに小さくなったの?」
・・・ファミール王国、理由は定かではないが、急に王室が散財を続け。多くの領土が切取りされ、今や王都近辺しか残っていないそうだ。
しかも、現在は、為政者が行方不明。
もう、祖国だけどなくなるわね。
王城も抵当に入っていて、私が買取った。
「グフタフ君・・・治安が悪いわ。護衛をお願いします」
「・・・ああ、任せてもらおう!」
「フフフ、帝国とノース王国とブヘン族の護衛騎士団がいるのに、近いわ。まあ、いいわ。その代り、お二人に子が出来たら、私と婚約者の子とお見合いよ」
「「・・・・」」(ポッ)
・・・
「このお城ね。一部、砲撃で壊れているけど、古くていいわ。ここを中身は近代改修して、この世界とイセ国の協調の象徴にするわ」
「ローズマリー様!これが登記簿謄本と、城が抵当に入ったときの債権証書でゲス!」
「ドロシーちゃん。様つけはいいわ」
「公私は分けるでゲス!」
・・・すっかり、秘書業務が身についたわね。
あら、お城に人が住んでいる。
不法占拠だわ。
「おい、この城から出て行けと先週に伝えておいただろう」
「ううう、ワシら行くとこがない・・・」
護衛騎士団が、不法占拠者を追い出そうとしている。
ボロボロの服だが、元は貴族のようね。
女性が三人と男性が二人、家族のようね。
「もう、3日間何も食べていない、お恵みを」
「ああ、知ったことか」
「待って!」
私は止めた。
「この5人、城の掃除人として雇います。取りあえずこれで何か食べて来なさい」
「・・・ローズマリー」
1人の青年が小声で、聞こえない程度の声で口走るが、すぐに黙った。
すっかり、成長し、イセ国の化粧と衣装に身を包んだローズマリーは15歳のころから見た目が激変していた。
一方、王子は凋落が激しく、痩せこけ、昔の面影がない。
それに、ローズマリーは2度しか王子に会っていない。
5人は、ローズマリーから銀貨一枚、恵んでもらうと足早に王都の屋台に行くが、
帰って来たのは4人だけだ。
家族も含め誰も気にもとめなかった。
最後までお読み頂き有難うございました。