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王国の末路

 ☆☆☆入学式終了後、ファミール王国王城


 王城では、異変を告げる報告が続いていた。


「陛下、大変です。蛮族どもが、繁華街を荒らしています!主に娼館を、それに、帝国が国境付近に兵力を増強しています。ええ、目視できるぐらいです。ノース王国の王女が、勝手に、家臣団を国に入れています!」


「捨て置け」

「・・・御意」



 サロンにおいて、陛下に第2王子ジャームズと、キャサリンが今日、起きた出来事を報告している途中に急報が来た。

 王の傍らには、王妃とその妹、キャサリンの母、アマンダが落ち着いて、お茶を飲んでいる。


「・・・父上、あの三人だけではありません。今日の入学式の参列者は、外国からの留学生と親御さんは軒並み参加を拒否しました。ローズマリーにそんな力はないと思いますが」


「ジャームズ、それだけではないぞ。帝国に留学中だった第一王子は帝国皇女との婚約を破棄され、国外にでることを禁止されたぞ。まあ、人質だな」


「なんと?」


「しかし、心配には及ばない。何せ。あのアップルフィールド家の秘宝はこちらにある。やつら後になって、親交を結びたいと、謝罪に来るだろう。いい気味だ。何も力のないローズマリーを探して、ガッカリするだろう。アハハハハ」


「・・・父上、秘宝とは?」


「フフフ、ジャームズには見せていないわね。これよ」


 アマンダは書類を見せる。


「・・・何だ。これは、異国の文字、大陸共通語や、帝国、ノースでもない文字だ。まるで・・・」


「そうよ。魔族の文字よ。これが、あれば、魔族が金貨を持って来て、言うことを何でもきくのよ」


「そうよ。ジャームズ。何も心配はいらないわ。あの馬鹿三人衆、とっちめてやるの~」

 とキャサリンも同調する。


「そうだ、新生ファミール王国の次期国王はお前にする。そして、次期王妃はキャサリンだ。王命を下そう。そして、私は魔族を従えて大陸を攻略するぞ!」


「父上!さすがです」


「陛下、なら、ドレスを新調してもよろしいですわね」


「おお、王妃よ。好きなものをジャンジャン買え」


 ファミール王室は、散財を始め、留まることを知らなかった。



 ☆☆☆数日後、アップルフィールド領




 三人は、あらかじめ定めた日時に、アップルフィールド領で落ち合った。


「ダメでゲス!どこにもローズマリー様がいないでゲス。場末の立ちんぼまで探したでゲス!」

「私も成果無し、奴隷市場も探したわ」

「帝国の情報網にもかからない・・」


「「「はあ」」」


 三人と家来達が落胆していると、ブロブロ~と道の先から、音が聞こえてくる。


「ちょっと、向こうから、馬無し車が来る・・・魔族だわ。きっと、ローズマリー様がいなくなって、怒っているのだわ」


 車は止まり、運転手がドアを開け。1人の女性が降りてきた。



「ちょっと、貴方たち、帝国の皇子と王国の王女とブヘン族の族長の娘さんよね」


「「「魔族!」」」


 魔族の20代前半の女性が声を掛けた。


「私はこの大陸の・・・貴方たちの呼称では魔族ね。魔族の責任者、ミヤ・イセと申します。ローズマリー様のことでご相談がありますわ」


 三人はそれぞれ自己紹介をした。


 ・・・


「ローズマリー様は、我国で保護されているわ。娼館に行く前に保護をしたから、身も綺麗なままよ」


「・・・かたじけない」

「あの噂の真相をお聞きしたいわ。魔族が何でも言うことを聞いて、金貨を持って来る契約書の話ですわ」

「ローズマリー様が継承者で間違いないでゲスか?」


 三人は事情を説明され、それぞれ納得をする。



「なんて言うことなの。ご無事で何よりだわ。これは、この大陸の構造が変わるわね。世界が滅ぶとは言い得て妙だわ」

「となるとこの流れに乗るしかない。ローズマリー嬢が貴族籍を抜けたのは僥倖だったか。いや、不幸中の幸いというのは、失礼か」

「何でもするでゲス!命令をしてくれでゲス!ブヘン族をよろしくでゲス!」



「貴方たち、この国の貴族学園の生徒でしょう?ローズマリー様は、我国の学園に来て頂くことになったの。ご学友が必要だわ。貴方たち、なる気がある?」


「「「なる!是非お願いします」」」


「そう、なら、一つお願いしたいことがあります。裏切り者を一人成敗してくれたら、我が国に留学を許可します。学費と生活費はこちらが持ちますわ」


 ミヤが持ちかけた裏切り者とは、

 アマンダでもなく、キャサリン、ジャームズでも王でもない。


「・・・なるどほ、こいつらは落ちぶれるから、後は成人をされたローズマリー様の判断に任すと」

「そうとってもらって結構ですわ。ローズマリー様は領民を愛する方ですからね」



 ☆アップルフィールド領ハンス商店


 ハンスはスタローンが存命な時は、融資を受けていた。

 領内に商人がいなくなっては物流が滞ると理由で、貸し付けたのだ。


 しかし、アマンダにそそのかされて、ローズマリーが義妹を娼館に売るとの嘘の告白をした人物でもある。


「はん。あんな端金で、恩を着せられても困りますって、さあ、今日も儲けるぞ!」


 と店を開いたら、


「な、何!」


 ハンス商店の向かいに、一夜にして商店が出来上がっていた。


 しかも、


「売り子が全員、美女、貴族の令嬢ではないか?しかも、男はイケ面」


 グフタフとその家来達が、執事の格好をして接客をし、カトリーヌと侍女団が売り子をする。


「「「キャアアーーーーイケメン!」」」

「「「ウワーーー美女だ!」」」


 素朴な村人達は、ハンスの向かいの商店に殺到する。


「このクワ、ハンスのとこよりも半額、しかも、軽くて・・・丈夫だ!」

「キャー、お買い上げありがとーーー」

「え、え、じゃあ、もらおうかな」


「綺麗なハギレ・・・ハンスさんの商店では見たこともないわ」

「おい、天使は教会に行けよ。あっ、羽がない。しまった。間違えた。村娘さんだったか?これは失礼した。お似合いです。お詫びに半額にしますよ」

「・・・・お一つ下さい」


「グヌヌヌ」

 と怒り心頭のハンスであるが、客が来た。

 しかも、ドロシー率いる人相が悪いゴロツキたちだ。


「おい、あめ玉よこせでゲス」


 チャリンと銅貨を投げる。


「クッ、どうぞ」


 ペロ


「マジーマジー、泥の味がするでゲス!」


 ドロシーたちゴロツキたちは店の前であめ玉をなめながら、ウンコ座りをして、店に近づく人にガンを飛ばす。


(あん?店に入るでゲスか?)


「ヒィ、向かいの商店に行きます!」


「止めてくれーーーー」


「私たちは客でゲス!客が買ったアマ玉を店の前で舐めているだけでゲス!」


「ヒィ」


 ・・・・


 ハンスは一週間も経たないうちに、根をあげた。


「グスン、グスン、魔族様、商売になんねえ。もう、許して下さい。嘘の告白をして、お嬢様を売ったのは私です。借金の棒引きが条件だったのです!」


「借金を今すぐに返しなさい」


「払いたいのですが、ございません・・いつも、カツカツですので」


「まあ、なら、お金があれば返したいと言うのね。とても、感心だわ。

 お金を貸してあげる。

 年利は無しでいいわ。ちょうど、レアメタル鉱山で、ローラーのブラシをする仕事が足りなかったのよ。30年間無償で働けば返せるわ」


「ヒィ」


「連れて行きなさい」

「「畏まりました」」


 ハンスは、アップルフィールド領の隣の魔族が経営する鉱山に連れて行かれた。

 その後、二度と領に返って来ることはなかった。


 ☆☆☆ファミール王国王城


 王室の散財は止まらない。


 ジャームズは貴族学園に平民の受け入れ、平民の食堂利用無料など打ち出したが、


 王妃、アマンダ、キャサリンはドレス、宝石を買いあさっている。


「キャー、見て、ジャームズ、パーティに行くの。綺麗でしょう?」

「ああ・・」

(また、買ったのか?今月何着目だ。10着は超えている・・)


「ジャームズは、生徒会長の仕事が忙しいから、レンタルパートナーとパーティーに行くの~いいよね?」

「初めまして」


「ああ」


(あれは男娼ではないか?キャサリンはこんな娘だったか?)


「そろそろ、王妃教育を・・」

「じゃあね~」


 ・・・もしかして、私は間違っていたのか?

 いや、もう後戻りは出来ない。

 ローズマリーに悪いが、あの秘宝で金を・・・


 父上は軍備拡張、国家予算の八割を使って軍部を拡張している。


「陛下!国庫が空です。このままでは、今月の官僚や騎士達のお給金を払えなくなります」


「分かった。ジェームズ、一緒に魔族の鉱山に行くぞ。魔族の奴らから金を献上してもらうぞ。最初は出向いていやる」

「はい、父上」


 ☆☆☆アップルフィールド領、隣の魔族所有地


「あ、ダメだよ。おっさん。ここは関係者以外は立入り禁止だ」


「な、何だと、我は王だ。これよ見よ!盟約に基づき義務を果たしてもらおう!」


「ああ、何だって」


 王は、魔族の警備員にローズマリーから取り上げた書類を見せた。


「あんた。こりゃ、ただの譲渡証明書だよ。ここに~、あ、地主の娘さん。ローズマリーさんに、地代として当鉱山の株式10%を譲渡し、利益配当する。初めての配当は15年後、お、今年からか」


「何だと!説明せよ。責任者と会わせよ!」


「はい、帰った。帰った」


 ・・・


「父上・・・」


「こうなったら、騎士団を総動員して、魔族の鉱山を攻める!もう、後戻り出来ないのだ」


 ファミール王国全軍が、鉱山を攻めたが、


 30分で全滅、騎士団長まで、戦死。


 その日のうちに、王城に、ミサイル、この国の者には、火を吐く大木が一発、報復で、発射されることになる。


「フフフ、もう、この星に人工衛星を打ち上げたから、精密な射撃は出来るのよね」


「ミヤ様、この国はどうしますか?」


「アップルフィールド領は、この世界の管理人を派遣するように、それ以外は、興味ないわ。各国に、アップルフィールド領以外切取り自由と通達して」


「畏まりました」


 その後、王国から降伏の使者が来たが、門前払いをされ、王が直接出向いても門番に追い払われるだけであった。









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