婚約破棄&冤罪
魔族との交渉から15年後
私が15歳になる年に、お父様が亡くなった。その日に、私に義母と義妹が出来た。
見るからに高位貴族と、大勢の使用人達が屋敷に、先触れもなく訪れた。
「まあ、辺鄙な所ね」
「お母様、あんな野暮ったいのがお義姉様になるの?いやだわ」
「大丈夫よ。社交界に出さないから」
「あの、どちら様ですか?」
「あら、何も聞いていないのね。ほら」
・・・え、見せられた婚姻届けには、お父様と、アマンダ様・・という方の名前が、ありえない。
「この入籍日は、お父様は病気で寝ておりました。あり得ません。亡くなる一日前に結婚なんて」
パチン!
「いい。今日から女主人さまと呼びなさい!」
「ハハハハハハ、面白ーい」
・・・
葬儀の参列で領まで来ていた伯父上に相談をした。
伯父上は王都で役人をしているの。
何か事情を知っているかも。
「やられたな。中央貴族の乗っ取りの手口だ。アマンダ様は、表向きは病気が原因で離縁をされたが、浮気が原因だ。娘のキャサリン様は、男遊びが激しくてな。一緒に、実家に帰っていたのだ。
私の家に来ないか?貴族学園には行かせてあげられないが、奉公人としての職を世話しよう」
「伯父様、私には婚約者がいます。ジェームズ殿下に、この窮状を訴えれば、何とかして下さいますわ」
「・・・ああ、もし、ダメだったら・・・隣の魔族の鉱山に向かえばいい。魔族に保護してもらえ」
「・・・?魔族」
「ああ、そうならないことを願うが、頭の隅に入れておきなさい」
「はい、伯父様、分かりましたわ」
☆屋敷
屋敷ではヒドイ有様だった。
我が領ではとても養えきれない雇い人を連れて来て・・・
執事が、アマンダ様にべったり。
「トム、金目のものを、探すのよ」
「は~い、アマンダ」
「アマンダ様!金庫を勝手に開けるのはおやめ下さい!そのお金は父上が私を貴族学園に行かせるために貯めた大切なお金です」
「はあ、ここの女主人は私だよ。・・・それよりも、ローズマリー、魔族の秘宝はどこにやった?」
「魔族の秘宝・・・??」
・・・そう言えば、生前、父上が仰っていた。
『ゴホ、ゴホ、我が可愛い娘よ。私には秘密がある。昔、魔族に領地の一部を譲った。その見返りにこれをもらった。何の権利かよく分からない・・・この書類は誰にも見せてはいけないよ。彼らは二本足の外道!決して、頼ってはいけない・・ゴホ、ゴホ』
『お父様!お休みになって!』
魔族の秘宝は、畑の道具部屋に隠してある。決して、二人が行かないところ・・・
と安心していたら、
「ヒヒヒィ、奥様、ローズマリー様がいつも、畑仕事に行っている時に、何やら書類を確認しているのを目撃しました」
「ヒィ、それは、ダメ、返して下さい!」
・・・領民に裏切られた。
「何故?!ハンスさん。裏切ったの?あんなに、お父様が融資してあげたのに・・・」
ハンスさんは領内唯一の店を構えている商人、税金を安くして、困っているときにお父様が融資をなさったのに・・・
「旦那様は古いのですよ。魔族の秘宝を使って、領を豊かにしないと、だから、私は、奥様につくことに決めました」
「ダメ、それを使うと、世界が滅びると言われます」
「ハハハ、世迷い言を」
「フフフ、見つかったなら、お前はもう用済みね・・・」
「お母様、ジャームズが明日、来るって」
☆次の日
頼みの婚約者ジェームズ様がやって来たが、
私の話を聞かない。
思えば、6歳のころに王都で会ったきり、手紙を出しても返事が来ない。
もう、見限られていたのね。
「馬鹿なことを、叔母上は王族だ。王族がそんな偽装結婚をする訳がなかろう」
と一蹴された。
「それよりも・・・ローズマリー、告発が来ているぞ!義妹を娼館に売ろう企んでいたな!」
「義姉様を叱らないで、私が至らないせいで、ここまで追い詰めるなんて」
「そんな。私は、そんな恐ろしいこと、娼館に売ろうとだなんて考えてもいません!」
「証言者がいるぞ!お前に無理なことを頼まれたと商人のハンスが告発してくれたぞ」
「ヒヒヒヒィ、お嬢様、年貢の納め時ですね」
「娼館に行け。因果応報だな」
「そんなーーーー」
・・・私は貴族学園に行けずに、娼館に売られることになった・・・
と思った。
☆
「おお、田舎臭いが、伯爵令嬢の初物だ。今日はオークションで客を決めるぞ。さあ、ついてこい!」
「ヒィ、いや」
・・・私は女衒と用心棒たちに連れられて、馬車に乗せられそうになったが・・・
「「「何!」」」
馬車に・・・魔族、一目でこの世界の人たちではないと分かる人たちが、女衒の馬車を占拠していた。
御者台に座っていたり、馬車の中で、口から煙が出ている。火事なのかしら・・・
5.6人いるわね。
「・・・魔族の旦那、それはわしらの馬車です」
「ああん?その女、よこしな」
「ハハハ、ご冗談を、これは、金貨30枚で買った娘でして・・・ウワ、グハ」
「「「ヒィ」」」
女衒とその用心棒達は魔族の人たちに投げ飛ばされたり、殴られたりして、失神した・・
「ああ?金貨だ?おれら、舐めてんの?」
・・・私は魔族にさらわれる。
と身構えていたら、
「お嬢さん、ちょっと、失礼」
「ヒィ」
何か、魔道具を当てられた。光が出る。
「お、DNA照合、ドンピシャ、あんた、スタローン殿の娘さんだろ?満期になったから、案内に来たけど、屋敷の様子がおかしかったからよ。
こうして、来たわけだ。俺は山下、そして、こちらが・・」
「宮よ。よろしく」
怖い魔族の中に、一人だけ女性がいた。魔族特有の黒髪に黒目で、綺麗な人、髪は肩まで、貴族ではないのかな。
「・・・あの、助けて頂いて有難うございます。あの、事情を・・・」
「そうね。簡単に言うと、貴女はとても大事な人なの。貴女は大株主よ」
・・・
「・・・ということがあって、スタローン殿は、高潔な方で、どうしても、謝礼を受け取らないから、土地の対価に株をあげることになったのよ」
「でも、私、書類はアマンダ様に取られて・・・」
「心配ないわ。その書類は何か分からないけども、株券は発行していないわ。株式名簿に書かれている貴女が権利者よ」
よく分からないけど、お父様を「高潔な方」と言ってくれた。
魔族だけど、信用しよう。
「貴女はどうしたいの?今年、貴族学園に入学するお年よね」
「わ・・・私は、勉強がしたいです!お父様が、学校に行けるようにお酒を我慢しているのを知っていました。だから、グスン、グスン」
「いいわ。貴女ならどこの国の学園でもいけるわ・・・そうね。いっそのこと、我国の学園に来てみない?」
「は、はい!」
こうして、私は魔族の国の学園に行くことになった。