93.世界樹
熊ビームのおかげで、旧楽園から奈落の森へ向かう、用水路があっという間に完成した。
「くま吉君ご苦労様。みんなのために頑張ってくれてありがとう」
奈落の森までやってきたわたしたち。
くま吉君の頭を、もふもふなでなでする。
『いやぁ、照れるなぁ~♡』
『ぴゅい! えらい!』『くまきちえらーい』
ぐーちゃんスラちゃんが、わたしのマネをする。
ふふふ、仲良しさんだわ。
『姉ちゃんおいら腹減ったー』
「そうね、一杯頑張ったものね。祈りを捧げて食べ物の実でも……」
と、そのときである。
『姐さん!』
「あら、わんこさん」
複数体の狼型の魔物さんが現れる。
彼女は、雷狼のわんこさん。
『ちょうどよかった! 大変なんでさぁ』
「大変?」
『ええ。樹木王の旦那が、キリエの姐さんを呼んできてって言ってたでさ』
「わかったわ。くま吉君」
わたしはくま吉君の背中に乗って、わんこさんとともに、樹木王さんのもとへむかう……。
「樹木王さん……って、えええええ!? な、なにこれ!?」
わたしがやってきたのは、木の幹に顔がついてる、人面樹さんたちの王、樹木王さんのテリトリー。
が、そこには……。
「と、樹木王さん……なんか知らない間に、随分と……その、おっきくなったわね……」
元々樹木王さんは4,5メートルある、大きな木だった。
でも今はその……なんというか、見上げるほどの巨大な大樹となっている。
さらに言えば……。
『ぴゅぃいいい! ま、まぶしー!』『ぴっかぴかー』
そう……輝いているの!
え、なんで……何がどうなってるの!?
『キリエ、おぬし何かやったな…』
やっただろう? じゃなくて、やったな……と樹木王さんが断定してきた。
どこかあきれたような調子が含まれている。
「い、いや……特に……ねえみんな」
『『『やらかしたー』』』
「やらかしてないわっ。ただ、神さまに祈って、お水を恵んでもらっただけよ!」
やはりか……と樹木王さんが、ため息をつく。
『キリエ。この小川におぬしの水が流れ込んだ。川の水は地面を伝い、この森に根を張る樹木たちに、水をもたらした。その結果……進化させたのだ』
「進化……存在進化?」
『そうじゃ。樹木の魔物たる我は、キリエの力を得て、樹木王から……世界樹へと進化したのじゃ』
ゆ、世界樹!?
「それって……世界に数本しかない、魔力を生み出す、とても、とても貴重な大木……だったかしら」
『そうじゃ。無限の資源を生み出す、とてつもない存在じゃな』
「す、すごい……人面樹王さん、そんな凄いものに進化するなんて」
いやいやいや、とくま吉君たちが首を振る。
『どーかんがえても、すげえのは姉ちゃんだよ!』
『ぴゅい! 世界樹! 進化させたのは、おねえちゃん!』
『しゅげー』
い、いやいや……。
「わたしは別に……」
「何を言っておるか」
そのとき、わたしの目の前に、とても美しい、緑髪の女性が現れた。
どことなく……樹木王さんの、人間バージョンの面影があるような……。
「わしじゃよ。樹木王じゃ」
「ええええ!? で、でも……前はちっちゃい女の子で、しかも……半透明だったよね?」
「そうじゃ。あのときは、たんなる木の意思にすぎんかった。今の我は進化し、世界樹の精霊となった」
「せ、精霊……魔物から、精霊に進化したの?」
この世に存在する上位存在、精霊。
そんな凄いものに進化するなんて……。
『『『さっすがキリエ神』』』
「やはりキリエは、凄まじい力を持った魔王じゃな」
だ、だから……それはわたしの力じゃ無いんだけども……。
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