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83.大いなるキリエ神



 わたしは困惑していた。

 カイ・パゴスで酷いことをしていた、腐姫。


 襲い来る彼女をどうにかするべく、わたしは大祈祷だいきとうを発動。

 皆が心を一つにすることで、より大きな奇跡を起こす……はずだったのに!


「どうしてわたしが大きくなってるの!?」


 おかしい、どういう状況これ……!?

 わたしの目の前にはリョウメンスクナ。

 そして同じサイズの、わたし。


『やっちゃえー! キリエ神ねえーちゃーーーーーん!』


 くま吉君が足下で叫んでいるわ。

 アリみたいに小さい……。


 一番背の高い竜のアニラさんだって、子犬みたいなサイズだわ。

 あわ……あわわわ……。


「ど、どうしよう……」


 大きくなったわたしに、何ができるっっていうのかしら……。


『な、なんだその力!? いったいどうなってる!?』


 リョウメンスクナに取り込まれた腐姫も困惑してるわ。

 そりゃそうだわ。


 わたしだって同じ気持ちだもの!


『く、くそ! そんな隠し球を持ってるなんて……なんて腹の黒い女!』

「お、おちついて……話をしましょう。わたしは別に、あなたと殴り合いがしたいわけじゃないわ……」

『黙れ……! くそおぉ! こうなればやけだぁあああああああ!』


 リョウメンスクナがこちらに向かって走ってきた。

 どっしんどっしんって地鳴りが起きてる!


『わわ、揺れるぅ!』『あぶねえ!』『踏み潰されるぅ!』


 いけないわ!

 足下には魔物さん、トロル、ドワーフさんたちがいる!


「足下に気をつけて! 走らないで!」

『だまれええええええ! うぉおおおおおおお!』


 どうしましょう……このままここで戦うのは危険だわ。

 こうなったら……。


「う、うおー!」

『姉ちゃんいけー! 殺人タックルおみまいだー!』


 わたしは思い切ってタックルを……。

 どがあん!


「うわあぁあああああああ!」

『姉ちゃんが吹っ飛ばされた!』


 わたしはリョウメンスクナにぶつかって、ぶっ飛ばされる。


「キリエはケンカなんてしたことなさそうだしね……」

「キリエ様ぁあああああああああああああああああああああ!」


 くま子さんとチャトゥラさんの声がーうわー!

 わたしはぐるんぐるんと回転。


 このまま地面に倒れたら……大変なことになる!

 今わたしはとってもでっかいんですもの!


 いけないわ……!

 ああ、どうしましょう……。


 ……どう、しましょう?

 ううん、ナニを考えてるのわたし。


 どうしようもなにも、わたしにできるのは……一つしか無い!


「偉大なるノアール神様……どうか、わたしに力を……!」


 目をつむって、一生懸命、祈る。

 わたしにできることなんて、所詮、そんなものなのだ。


 でっかくなったことで、気が動転してたけど。

 そのときだ。


 ピカァアアアアアアアアアア!


『でか姉ちゃんに!』『羽が!』『はえたー』


 ばさ……! とわたしの背中に、光の羽が生える。

 空中に飛んでいる、わたし(デカい)。


 空を飛べてるわ!

 すごい……これなら……!


「え、えーい!」


 わたしは飛んだ状態で、リョウメンスクナにタックル!


「このまま……いっけえー!」


 わたしはリョウメンスクナの腰にタックルをくらわせ、そのまま飛翔する!


「えーい! や!」


 カイ・パゴスの国の外までやってきて、そのまま……。

 どぼぉおおおおおおおおおおおん!


 海、突き落とした!

 もちろんそれで終わりじゃない。


 でも……。


「ここなら……誰も巻き込まないわ!」


 リョウメンスクナが立ち上がり、わたしと相対する。


「さぁ……仕切り直しです。腐姫……あなたに、説法をいたしましょう!」

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