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72.早く説法しないとね


《キリエSide》


 翌日、わたしたちはフェフキの街を出て、マナカ湖へとむかう。

 のっしのっし……と歩くくま吉君の背に乗るわたし。


『姉ちゃん今日はどうするの?』

「マナカ湖へいって、トロルさんたちを助けに行くわ」


 デッカーちゃんの仲間、トロルたちはマナカ湖周辺を根城にしている。

 そこも腐姫から被害を受けているらしい。


『トロルも助けるの? 母ちゃんいってたぜ? ずうたいのでっかい、こわーい化け物だって』


 それを聞いたデッカーちゃんが、悲しそうに顔を伏せる。

 つらそう、それはそうね。親兄弟を悪く言われたら。


 でも……言い返さないのっていうのは、そういう一面もあるからなのだろう。

 でもわたしは、悲しそうにしてる子をみているの、辛いな。


 わたしはくま吉くんに言う。


「決めつけるのは早計よ。人間も魔物も一緒。全てが悪い人なんていないでしょ?」

『そっかー……キリエ姉ちゃんがそうだもんね。人間は恐いけど』

「ありがとう。デッカーちゃんも優しい子だったし、トロルさんもいい人がいるわ、ね?」


 わたしはデッカーちゃんに笑いかける。 カノジョはじわ……と涙を浮かべたあと、何度もうなずく。


「そうだべ! たしかにちょっと、頭に血が上りやすく、乱暴者おおいけどもっ」


 うんうん、そうよね。


「この世に悪い人なんていないわ。悪い一面を持っていて、それがたまたま見えやすい位置にあるだけ」

「しかし……キリエ嬢ちゃんよ」


 ガンコジーさんが近づいてきて言う。


「腐姫はどうなるのじゃ? あやつめは国を不当にのっとっておるが?」

「それは……何か事情があるのかもしれないし。話してみなきゃわからない」

「もし本当に悪人で、同情の余地がないようなやつだったら?」

「そのときは……説法ね」


 この世界に悪人がいるとは思いたくない。

 でもたまに、他者を理不尽に傷つけるやからは存在する。


 そういう人たちに、神の教えを説くも、わたしたち神に仕える女の仕事だ。


「説法を聞いてもらえたら、きっと改心してくれるわ」

『どうだかねえ……っと、姉ちゃん! 湖が見えてきたよっ』

 

 わたしたちのいる丘から、見下ろす先に、大きな湖があった。

 でも……。


『ぴゅいい……汚れてるねえい』『きちゃなーい』


 胸に抱いてるぐーちゃんと、頭に乗っけてるスラちゃんが思わず顔をしかめている。

 この子らが言うとおり、湖は腐りきっている。


 ぼこ……ぼこ……と表面に泡が立って、異臭を放つガスが漏れている。


「元からこんな感じなの、デッカーちゃん?」


 元トロルのカノジョに聞いてみることにする。


「ううん、キリエ様。あの湖は、昔はとってもきれいで、魚もほうふで、おらたちトロルの食料庫だったんだべ。でも……腐姫がきて……」


 マナカ湖はあんな風になってしまった、ということらしい。

 ……腐姫。


 どうして、平気で酷いことができるのだろう。

 トロルさんたちの大切な湖なのに……。

「神の教えを早く、説いてあげないと」


 これ以上悪さしないようにっ。


「そのまえに……マナカ湖をきれいにしないと」


 わたしは目を閉じて、祈る。


『『『でたー! キリエふらーっしゅ!』』』

「え?」


 祈りを終える前に……。

 湖が、浄化されていた!


 あ、あれぇ……?

 お、おかしいな……まだ祈り終わってないのに……。


「そ、そうか! さすがノアール様! わたしが祈る気配をいち早く感じ取って、祈り終えるまえに浄化してくださったのねっ!」

『『『いや、そんなことはない』』』

「そんなことあるんですっ。ノアール様はすごいんだからっ」


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