71.キリエ神の恐るべき罠(誤解)
《腐姫Side》
キリエが馬鹿やってる、一方その頃。
キリエに対抗意識を燃やす、屍魔王、腐姫はというと……。
「準備は整ったわね」
カイ・パゴスの王都、その玉座に座る腐姫。
彼女の目の前に映し出されているのは、王都の外周を俯瞰した映像だ。
街の外にはありとあらゆる、不死の化け物達がそろっている。
スケルトン、レイス、デュラハン……などなど。
不死の軍勢達は、腐姫の命令を今か今かと待ちわびていた。
「聖魔王のお馬鹿さんが眠っているところに、一気にこの大軍が押し寄せてくるともしらずに……くふふ♡」
深夜、寝静まった頃合いを狙って、腐姫は奇襲をかけようとしているのだ。
「さて……行きなさい、おまえたち……!」
そのときだった。
どど……。
「ん? なにかしら、この音……」
どどどどど……。
「え、な、なに……!? じ、地震!?」
腐姫は慌てて玉座からたち、バルコニーへと向かう……。
そこには……。
「んなっ!? な、なによあの大雪崩ぇえええええええええええ!?」
なんと、突如として雪崩が、王都に押し寄せてきたのだ。
大津波と見まがうほどの、大量の雪。
それが遠くの山から王都へと下りてきたのだ。
あまりの勢いに、王都の外で待機していた不死の軍勢どもが、一気に飲み込まれる。
「そ、そんな……! わ、わたくしの不死の軍勢が、雪崩に飲み込まれるなんて……!!!!!!」
大雪崩は不死のモンスター達を飲み込んだどころか、腐姫が占拠していた王都さえも飲み込む。
建物は一掃され……押し流されていく。
「ちょっ、ちょっとちょっとこっちにくるじゃ……ぎゃぁああああああああああああああああああ!」
ついに津波、もとい雪崩は腐姫のいる城まで到達した……。
バルコニーに出ていた腐姫は、そのまま飲み込まれる……。
そして。
じゅうぅううううう!
「うぎゃぁああああああああああああああああああああああ!」
突如として腐姫が悶えだしたのだ。
彼女の肌が、まるで火であぶられたかのように火傷していた。
「こ、これは……光の魔力! しかも、魔王種であるわたくしを傷つけるほどのぉ……!」
不死の魔物にとって、光の魔力(神聖なる魔法)は天敵のような存在だ。
こんな高濃度の光の魔力を受けたら、並のモンスターはひとたまりもなく一発昇天だろう。
腐姫は強い魔法の力を持っていたので、なんとか生き延びることができた。
だが今の【攻撃】によって、皮膚はただれ、まるで人体模型のような醜悪な見た目になってしまっていた。
「この……高濃度の光の魔力……間違いない……魔王種のてによるもの。そして、光の力を使う魔王で、わたくしに恨みがある人物と言えば……聖魔王キリエ・イノリ!!!!」
そう……。
腐姫は、これをキリエからの攻撃だと解釈したのだ。
「なんてやつなの……! 眠っているふりをして油断を誘い、光の魔力を付与した雪崩をもって、攻撃してくるなんて……! あんなあほ面しておいて、切れ者だとは……!」
……まあ、切れ者なわけがないのだが。
言うまでもなく、これはキリエが狙ってやったわけでは無い。
自分の推し神であるノアール神を馬鹿にされて、怒ったキリエが、奇跡の力を使っただけ。
攻撃する気なんていっさいなく、ましてや、相手の油断をさそうなんてことはみじんも考えていない。
現に今、キリエはくま吉たちと一緒にぐーすかのんきに眠っている最中だった。
しかし腐姫視点では敵のたくらみを見抜き、ジャストタイミングで虚を突いてきた、恐ろしく頭の切れる凄まじい魔王だとおもわれている。
「くそ……! キリエ……くそぉお……! ちくしょおぉ! なんてやつなの……!」
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