64.商業ギルドの支店長から感謝される
《キリエSide》
わたしは道中、山小人さんたちの街を訪れた。
妹鬼のひいろちゃんの極大魔法によって、街が全壊してしまったのだった……。
「あわわ……だ、大丈夫かしらっ、中の人たちは!」
極大魔法で外壁、そして中の建物とかほぼ全部ぶっ飛ばされていた。
中に山小人さん達もいたはずなのに……。
「どうか、無事であってください……」
わたしが祈りを捧げる。
『きたー! 姉ちゃんの光!』『ぴゅい! おねーふらーっしゅ!』『ごっどたいとぉ』
くま吉君、ぐーちゃん、スラちゃんたちが、おのおのの訳わからない必殺技を述べる。
わたしたちは急いで、怪我人がいないかを調べたのだけど……。(ノアール神様のお力で、壊れた建物は直った)
「中に……誰もいないわね」
街の中には人っ子ひとりいない状態だ。
ガンコジーさんの弟さん、キムズカジーさんが首をかしげる。
「っかしーな、ここにゃドワーフたちがいたはずなんだが……」
「あたちがうちゅーのかなたまで、ぶっとばしちゃったかなぁ?」
ひいろちゃん、笑顔でそんな物騒なことを言うんじゃありません……。
情操教育ちゃんとしてあげないとね……。
すると雷狼のわんこさんが、おともだちの大灰狼を連れて近づいてきた。
『姐さん、あっちの地下にドワーフたちの匂いがしますでさぁ』
「地下? ……まさか、幽閉されていたのかしら」
『おそらくは』
「なるほど、でかしたわ、わんこさん。みなさん、ありがとう」
わたしはわんこさんの首元をなでる。
するとびたーん! とその場でひっくり返る。
「え、ええ? ど、どうしたの……?」
『あ、姐さんの愛撫があまりに気持ちよくてつい……』
「あ、愛撫って……なでただけなんだけど……」
『とんでもない心地よさで、天にも昇る気持ちでした! 姐さんは愛撫の達人ですね!』
いやだな、その称号……。
まあ今はおいといて。
「わんこさん、地下に居るドワーフさんたちのもとへ連れてって」
『合点承知でさぁ』
わたしたちは町中を歩いて行く。
大きくて立派な、レンガ作りの建物へと到着した。
「ここは商業ギルド、銀鳳商会のカイ・パゴス支店じゃな」
「ぎんおう……って、あの? ゲータ・ニィガにも支店があったような……」
「その銀鳳じゃ。全国に支店を持つ、世界規模の商業ギルドじゃよ」
この地下に人が捕らわれてるのね……。
早く助けてあげなくちゃ。
地下倉庫への道を発見したわたしたち。
くま吉君たちでは大きくて入れないので、小柄なメンツで中に入ることになった。
階段を下っていくと……。
「これは、バリケードかしら」
土嚢が山積みになって通路をふさいでいた。
どうやら幽閉されてるっていうより、ここに逃げ込んできたっていうのが正しいのかも知れない。
「おらがどけるべ!」
どがん!
元トロルのパワフル娘、デッカーちゃんが土嚢をワンパンで粉砕する。
「で、デッカーちゃん……手荒すぎるわ。もっとおしとやかに、女の子なんだから……」
「はわわ、ご、ごめんだべ……」
すると……。
ドタバタドタバタ……!
「誰だぁてめえらぁ!」
通路の奥から、武装した山小人さんたちが現れたのだ。
「待て、おめえら!」
「ああん……? って、キムズカジーじゃねえか」
どうやらここのドワーフさんたちは、キムズカジーさんと知り合いらしい。
「それに……ガンコジー!? なんやおまえ、生きてたのか……?」
「おかげさんでな、【イッコジー】」
どうやらこのドワーフさん、イッコジーさんって言うらしい。
「あんたらどうやってここにたん? 外は魔導人形に占拠されてたやろ?」
「そこの嬢ちゃんのおかげで、敵は全滅じゃ、イッコジー」
「なんやて!? 全滅!?」
いえわたしは何もしてないんですが……。
イッコジーさんがじろじろとわたしを見つめてくる。
な、なんだろう……?
「はは、ガンコジー。わいをだまそうたってそーはいかんで? こんな非力な嬢ちゃんが、外に配備された魔導人形軍団をどーにかできるとおもわへんわ」
それが普通の反応よね。
「信じられないじゃろうが、本当なのじゃ。イッコジー、わしらに着いてこい」
「まあ、外の様子も気になっとったさかいな」
ということで、イッコジーさんはわたしたちと外に出る……。
「なんやてぇええええええええええええ!?」
イッコジーさんが町並みを見て、唖然とする。
「魔導人形おらへんやん!」
「だからそういったじゃろうが」
「しかも魔導人形との戦闘で壊れとった街が、元通りやん!」
「嬢ちゃんがなおしたんじゃよ」
イッコジーさんがわたしの手を握ると、ぶんぶんと手を振ってきた。
「おおきに! おおきに! 嬢ちゃんは救世主や!」
「あ、いえ……わたしは別に……」
ただひいろちゃんがぶっこわした街を直しただけだし……。
「しかも、暴走していた魔導人形まで直してくれて、あんがとなー!」
「魔導人形も……?」
街の周りを見渡すと、たしかに、魔導人形が置いてあった。
ど、どうやらノアール神さまは、街だけで無く魔導人形までなおしてくださったようだわ。
「おおきにおおきにー!」
「あ、いえ……これは神さまが……」
「そうやな! あんたは神さまや-! 名前なんてーんや?」
「あ、キリエ……」
「キリエ神さまか! エエ名前やなー! あ、うちは銀鳳商会のカイ・パゴス支店長のイッコジー言うさかい!」
は、はぁ……って、支店長!
「が、ガンコジーさん……彼は偉い人だったんですね……」
「うむ。ちなみにそいつ女じゃよ」
「えええええええええええ!?」
髪の毛もじゃもじゃで、正直ガンコジーさんと見分けがつかないんですけど!?
いや、でもおひげが生えてないわ! よく見ると!
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