57.女子、無双
わたしカイ・パゴスにはびこる、腐姫と不死の軍勢に説法するため、雪原を歩いてる。
大灰狼たち、そしてくま吉くんたちは、ものすごい早さで進んでいく。
『ぴゅいいい! くまきちはやーい!』『はやーい』
『力持ちのおいらにとっちゃ、このくらいの雪なんて、綿菓子のようなもんだぜー!』
くま吉君が先陣切って進んでいく。
通った後は綺麗な通路になっているわ。
「くま吉君すごいわ」
『ひゃあ! 姉ちゃんにほめられちったー! がんばっるー!』
さらなる早さで進んでいくくま吉君。
その隣に随伴している、ドワーフのガンコジーさんが、地図を広げながら言う。
「嬢ちゃん、まずはニサラキって街へ行こう」
「ニサラキ……」
「ドワーフの街じゃ。ここから一番近い。そこを拠点として動こう」
「了解よ。くま吉君、GO!」
くま吉君が分厚い雪を気にせず走って行くと……。
「! 止まるんじゃ!」
「え? なに……」
ごごごごお! と地面が……いや、地面の雪が盛り上がって、一体の巨人となる。
「これは……トロル?」
「魔導人形じゃ」
「ごーれむ……」
「魔法で動く人形じゃ。腐姫のやつら、わしらが作った魔道具を、勝手に使ってやがるのじゃ!」
……窃盗だなんて、そんな。
絶対許せないわね。
「GOOOOOOOOOOOOOOO!」
氷のゴーレムは、2……いや、3メートルくらいの大きさがある。
ごつい氷の積み木(木じゃないけど)作ったような、不格好な巨人だわ。
ゴーレムが手をわたしらに向かって振り下ろしてくる。
神様、どうかご加護を……!
わたしが祈ることで、聖なるバリアを展開。
ゴーレムの手がバリアにはじかれる。
「この後どうしましょう……」
「おらとガンコジーに任せるべ! な!」
トロルのデッカーちゃんがうなずく。
彼女の背中には、1本の鉄の棒が背負われていた。
彼女はそれを手に持って叫ぶ。
「【復元】!」
すると鉄の棒が、ずん! ずん! ずん! とどんどんでっかくなっていったわ!
氷のゴーレム並みにでっかっくなったそれは、1本の巨大な両手斧。
「これぞ! ガンコジーの作った、錬金武装(試作品)だべ!」
「れんきんぶそう……」
「れんきんじゅつと組み合わせた……ええとえと、とにかく、叫べばでっかくなる武器だべー!」
ざっくりとした説明だわ。
でもガンコジーさんが作った、すっごい武器ってことだけ伝わってくる。
「でっかーちゃん、こんな大きな斧、扱えるの?」
「問題ないべや! とう!」
「とんだー!」
デッカーちゃんは、今人間と同じサイズ。
だというのに、彼女は軽々とあのでっかい斧を手に持って……。
「ちぇええええええええええええすとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ずぅん! とデッカーちゃんが斧を振り下ろす。
ゴーレムはその一撃を受けて、粉々に粉砕されたわ!
「ふんす! どうだべ! キリエ様のおかげで進化した、【超人】の力は!」
どうやらデッカーちゃんは、存在進化しているらしい。
もとはトロルだったのだが、今は超人っていう種族なんだって。(樹木王さんの鑑定スキルを使って確かめた)
見た目は可憐な乙女でも、巨人族の腕力を発揮する種族。
それが超人。
「ぬへへ~♡ どうだべか、ガンコジー? かわいいべかー!」
「気を抜くんじゃない! まだゴーレムはいるぞ!」
ずんずん、と足音を立てながら、無数のゴーレムが襲ってくる。
その影からは、ゾンビ犬たちが。
「ゴーレムはおらに任せるべ! 残りは任せたべー!」
「わかったわ」
わたしは祈りを捧げる。
ずどどどどどどどぉ!
『でたー! 姉ちゃんの!』『羽!』『びーむぅ!』
デッカーちゃん、そしてノアール神のおかげで、わたしたちを阻む敵は除去完了。
その奧に、大きな外壁に包まれた、立派な街があった。
「あれがニサラキの街じゃ。いこう」
わたしはうなずいて、ガンコジーさんの後に続くのだった。
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