55.帰らぬ聖女
《くま子Side》
キリエが腐姫に説法しにいっている、一方その頃。
「うぉおおおおおおおおおん! キリエ様ぁあああああああ! うぉおおおおおおおおおおおおん!」
奈落の森にて、キリエの配下チャトゥラは、涙を流していた。
「ああキリエ様! 今あなた様は無事でいられますでしょうか! 私は心配で……うぉおん!」
「ああもう! うるさい駄犬! 手を動かせ手を!」
……さて。
現在、奈落の森では、とある懸案事情が浮上していた。
キリエが居ない……のはもはやいつも通りなのだが。
「う゛ー……」「あ゛ー……」「あうぅ゛ー……」
見た渡す限りの、亡者の群れ。
人、獣問わず、死んだはずの命達が群れをなし、奈落の森に押し寄せていたのである。
「だー! くそ! うざってええ!」
竜の姿になったアニラが、亡者達に向かって爪を振るう。
宙を舞う亡者達。
死体がバラバラになるも……すぐに体のパーツがくっついて、立ち上がってくる。
「あーもー! うぜえ!」
「死者には物理的ダメージが通りませんわ。キリエ様がいないと……」
「くっそ! キリエを迎えに行きたいのに、亡者たちのせいでいけねじゃねーかくっそぉ!」
状況を整理すると……。
ちょうどキリエが消えてしまった頃合いに、亡者の群れが奈落の森に攻めてきたのである。
目的は不明。
だが、おそらくは悪意ある他の魔王の仕業であることはわかった。
そうでなければ、こんな魔物の森に攻めてくるものなどいないだろう。
「こないだ上空から襲ってきた、死霊使いの魔王だろうよ、犯人は」
「うぉおおおん! キリエ様ぁああああああああ! 早くお帰りくださいぃいいいいいいいいい!」
チャトゥラは心配からそう言ってるようだ。
くま子も、もちろん心配ではある。
だがこの事態を収拾するために、キリエが必要なのも事実。
別の意味でも早くキリエには帰還してほしかった。
「しかしこっちが困ってても、すぐに帰ってこないってことは、向こうも何かに巻き込まれてるのかね」
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