174.責任
わたしはようやく、自分の力を自覚した。
……本当は前から薄々、気づいていたけども。
それはさておき。
わたしの力で、この場に居た全員が蘇生した。
「ど、どうなってんだ……?」「おれたちは死んだはずでは……?」
迷宮に来たていただろう人たち(元死者)が皆驚いてる。
彼らにはちゃんと事情を説明するとして……。
「かぐやさまっ!」
ゆらちゃんがガシャガシャと足をならしながら、その人の元へと向かう。
うさ耳を生やした、着物の美女だ。
あれが、かぐやさま……ゆらちゃんの大事な人。
「なんじゃ……おぬし? まさか、でゅ、デュラハンかえ……?」
かぐやさまは驚きながら、ゆらちゃんを抱きしめる。
その泣いている姿を見て、自分の知ってるデュラハンだと気づいたのだろう。
「わかるのぉ?」
「ああ。おまえは、前から泣き虫だったからのぉ」
「ふぇえええん……」
うんうん、二人が再会できて良かったわ。
一方、かぐやさまがわたしを見てきた。
「ぬしか? 条理をねじ曲げ、死者を蘇生させたのは?」
……前のわたしなら、ノアール様のおかげといって答えただろう。
でも、今は違う。
「はい。わたしがやりました。わたしは、奈落の森の長、キリエ・イノリと申します」
「そうかえ……ありがとうなぁ。わらわはかぐや。魔王種が一人」
魔王種……!
アニラさんたちと同じだわ。
「ほんに、ありがとう。ぬしのおかげで、我が愛しい子を、また笑顔にすることができた」
ゆらちゃんを優しくなでながら、かぐや様が微笑む。
わたしも知らず笑顔になっていた。
「いえ。神の使徒として、当然のことをしたまでです」
ノアール様、ごめんなさい。
今まで、わたしはずっと自分のやったことの責任すべてを、ノアール様に押しつけてました。
わたしは、これから、自分のやったことに自分で責任をもちます。
だからどうか、見ててくださいませ。




