172.ゆらぐ
封神の塔の元迷宮主、かぐや様を助けることになった、わたし。
でも問題がある。
「どこにいるのかしら……? ゆらちゃん、知ってる?」
暗黒騎士へと進化したゆらちゃんに尋ねる。
彼女はふるふると首を振るった。
「……わからない。ごめんね」
「ううん! 気にしないで! 貴方が知らなくても仕方ないわ」
おそらくだけど、かぐや様は今の迷宮主と戦い、敗れてしまったのだろう。
その死体はどこかに捨てられたか、あるいは……保管されているか。
魔王種は強い。だから、復活の可能性も考えて、手元に置いて管理しておく……かな。
捨てられてるならゴミ捨て場とかを探せば良いけど、管理してるとなると、見つかりにくい場所にいるかもしれない。
「わんこさん、隠し部屋みたいなのってあるかしら?」
「あっしが分身を使って調べたところに寄りますと……」
わんこさんが地図を開いて、印をいくつかつけていく。
結構な数の、隠し部屋があった。それぞれ調べていくのはなかなか骨が折れそう……。
よし。
こんな時は……!
『みんなつかまれ! 姉ちゃんが転移するぞぉ!』
くま吉くんの号令で、みんながわたしの体に抱きついてきた。
「あ、あの……どうしたのみんな?」
『姉ちゃんがまた転移魔法使いそうだったから!』
転移、魔法……?
「ええと、確かにノアール神さまに、かぐや様の元へ連れてってってお願いしようと思ったけども……転移魔法なんて使おうとしてないわ」
『はいはい』『ぴゅいぴゅい』『つかわないつかわない』
み、みんな!?
なんか適当じゃ無い!?
『ゆらちゃんもほら、ひっついて!』
「う、うん……」
ぴた、とゆらちゃんがわたしにくっつく。
「……あったかい。キリエ様」
「そう?」
「……うん。好き……」
おっきくても、この子も魔物の子なのね。
親に甘えたいんだわ。よしよし、とわたしは頭をなでる。
『わんこ姉ちゃんもほら!』
「し、失礼しやす……」
みんながわたしにくっついてる状態。
あ、暑い……。
ま、まあいいわ。
わたしはノアール様に祈りを……。
パァアアアアアアアアアア!
え?!
『姉ちゃんの転移きたぁ!』
あ、あの……ノアール神さま?
わたしまだ祈ってない……。
『ついちゃった! やっぱり姉ちゃんはすげえや!』
……うっすらと目を開ける。
さっきわたしが居た場所とは、違うところにいた。
……やっぱり。わたしってもしかして……自分の力でやってるの……?
い、いやいや! まさか。すべてはノアール神のお力!
……だと思うのだけど、最近その考えが揺らぎつつあるわ。
はぁ、わたしってば、駄目な信徒だわ。おゆるしください、ノアール様。




