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159.一流テイマー?



 わたしたちは砂漠の国、フォティヤトゥヤァへとやってきてる。

 砂蟲サンドワームのムイちゃんに乗って、迷宮都市ナントへと向かう。


「しかし……すごいですね。この砂蟲サンドワーム……体内に異空間を作るなんて」


 ムイちゃんの体のなかは、高級ホテルと勘違いするほどの、立派なお部屋があった。

 多分ムイちゃん固有の力なのだろう。


『きゅ? きりえしゃま、あつくない~?』


 ムイちゃんの声が響く。

 

「ええ、大丈夫よ。とても快適。ありがとう」

『きりえしゃまがよろこんでくれると、うれぴー!』


 一方、人狼のわんこさんが目を閉じて、床に正座してる。


「わんこさん、何をしてるの?」

「ハッ! 姐さん。影分身を作り、外の様子を探っております」


「影分身?」

「あっしのスキルでさぁ。実体を伴う分身を作るんです。こうやって」


 わんこさんが手を組むと、どろんっ、と隣に狼が出現!

 わ、すごいわ……。


「分身とは感覚を共有できますので、こうして複数体の分身をつくって、外を見張らせてます」


 どろんっ、と分身のわんこさんが消える。

 わたしたちの安全のために、外を見張ってくれてるなんて。


「ありがとう、わんこさん」

『さんきゅーわんこねーちゃん!』『きゅー』『てんきゅー!』


 魔物の赤ちゃんたちがまねて、きちんとお礼を言う。

 皆素直で良い子だわ。


 一方……サンレッドさんが魔物さん達を見てつぶやく。


「キリエさん……この魔物達は、すごいですね」

「ええ、皆とっても良い子たちで……」


「いや、そうじゃなくてですね……。この熊も、スライムも、グリフォンも……どれも、上位個体ですよね?」


 上位個体……?


「よくわからないけど、みんな友達ですよ? ね?」

『まぶだちだぜ!』『しんゆー』『むしろこいびとてきな?』


 サンレッドさんがうなる。


「そこの人狼といい砂蟲サンドワームといい、どの魔物も、ベテラン冒険者が手こずるほどの強さを持つ個体です。いったい、どうやって手懐けたのですか……?」


 ……手懐けた、だなんてそんな。


「一緒にいるだけですよ。ね?」

『そうだぜ! おいらたちは、好きで姉ちゃんの側にいるんだい!』

『ぴゅい! 手懐けられてなんてないもん!』

『すらはおねえちゃんちゅきー』


 うんうん、とわんこさんもうなずいてる。

 

「手懐けてなんてないですよ。一緒に居たいから一緒にいるだけです」

『『『うぇーい!』』』


 サンレッドさんは「なるほど……」とうなずく。


「キリエさんは一流のテイマーでも手懐けられない魔物を手懐けた……。それは、心を通わせることができるからなのですね。すごい……」


 ほどなくして。


『きゅい! きりえしゃま、みえてきたよ、めーきゅーとし!』

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