135.聖十二支、結束す
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
キリエが天使を召喚した、数十分後。
奈落の森の湖にて。
「…………」
ヴァジュラはキリエをお姫様抱っこしていた。
キリエはその腕の中で眠っている。
「……キリエ」
天使を召喚、鉄槌を下したあと、キリエは眠ってしまったのだ。
尋常ならざる力。
まさにあれ……。
『すげえな、ありゃ……』
「! アニラ……」
ばさっ、ばさっ、と大きな翼を広げて、暴虐竜アニラが着地する。
その背中、および周りには……。
「聖十二支の……みんな……」
チャトゥラをはじめとした、聖十二支たちがアニラの背から降りてくる。
アニラも人間の姿へと戻る。
「見えて……いたのかい?」
「オレ様は、な。他の連中は見えてねえ。ただ……凄まじい力の波動は、感じたみてえよ」
アニラがそう言うと、チャトゥラたちがうなずく。
恐らく高位の魔物達……特に、キリエの守護者たちは、魔物としての格が高い分、あの異次元の格を持つ天使の力を、感じ取ることができたようだ。
アニラ以下は、見えてはいなかったようだが。
「てめえよお……これから、どうするつもりだったんだよ、ヴァジュラ」
「どうって……?」
するとチャトゥラが、一歩前に出て言う。
「……エレソン様のときのように、また、一人で抱え込むのですか?」
「!? なんで……」
「キリエ様の力です」
「キリエの……? ど、どういうことだ……?」
普段余裕のあるヴァジュラをしても、理解のできないことだった。
「キリエ様は、心の声で会話することができるのです」
「心の声……?」
「ええ、かつてキリエ様は言葉を発することができなかった。その際、使っていたテレパシー能力。それを応用し、我らに、エレソン様の死の真相を、教えてくださったのです」
ヴァジュラは、腕の中で眠るキリエを見つめる。
「どうして……? そんなことを?」
「……わからないの?」
メドゥーサが、冷たい声音で言う。
ヴァジュラがキリエのことを、理解できてないから、怒ってるのだろう。
ヴァジュラが首を横に振ると、チャトゥラが代わりに言う。
「我らと、ヴァジュラ。お互いの、わだかまりを解消させ……仲直りさせたかったのでしょう」
「!」
仲直り……。
そう、ヴァジュラとそのほか聖十二支たちの間には溝があった。
ヴァジュラは一人泥を被って、裏切り者として、森を去った。
そのことが尾を引いて、聖十二支たちはヴァジュラに憎しみを抱いていた。
……でも。
その場に集まった、キリエの守護者たちの目には、もう憎しみの色はない。
「ヴァジュラ。……悪かったなぁ」
アニラが近づいてきて、深々と頭を下げる。
チャトゥラも、頭を下げた。
「事情も知らず……知ろうともせず、あなたに心のない言葉を浴びせてしまいました。本当に……ごめんなさい」
……ぜったいに許してもらえないとおもっていた。
でも、キリエのおかげで、また友達と、仲直りができた。
スッ……とチャトゥラが手を差し伸べる。
「今回は、前回とはちがう。あの力を知ってるのは、一人じゃない」
「そうだ。ここにいる聖十二支……全員で、あのすんげえ力を持つ、キリエを狙う馬鹿な連中を、追い返そうぜ!」
うん、と全員が強くうなずく。
ヴァジュラは、温かな涙を流していた。
「……ああ、僕を、また友達の輪に……加えてくれるのかい?」
にっ、と聖十二支たちは笑ってうなずいた。
……エレソンが死んだあの日から、ずっとヴァジュラは孤独を抱えて生きていた。
裏切り者っていわれても大丈夫だって、思っていた。
でも本当は、さみしかったのだ。
「ありがとう……みんな。ありがとう……キリエ……」
ヴァジュラが、えぐえぐと、まるで幼子のように涙を流す。
聖十二支たちは近づいて、彼女の肩を叩く。
もう自分はひとりではない。
これから……守護者全員で、この優しい神さまを、守っていくのだ。
ヴァジュラは、仲間たちとともに、そう強く……決意するのだった。
【★新連載はじめました!★】
タイトルは――
『「学園トップの美少女【雪姫】と付き合ってるなんてウソだよね!?」と王子さま系元カノが泣きながら僕に謝ってくるけどもう遅いです~浮気され傷心中の陰キャ高校生をめぐる壮絶な溺愛合戦~』
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