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110.ばぶ聖女




「それでヴァジュラ、あんた未来視の力があるんだろう? このあとどうなるのかってわかってるのかい?」



 聖十二支デーバたちが会議している。

 くま子は白澤はくたくのヴァジュラに尋ねる。



 ヴァジュラは顔を布面で隠してる。

 それは彼女の目が、未来を見通す凄い力を秘めているからだ。



「この目はそう便利な代物じゃあないんだ。まず凄い魔力を消費する」

「なるほど……だから布面で視界を覆ってるんだね」

「そのとおり。見るだけで未来視が発動してしまうからね」



 力を制御するタメの布面らしい。

 なるほど、未来を【見る】力なのだから、何も見え無くすれば良いのである。



「そのうえ、この未来視っていうのは絶対じゃあないんだ」

「どういうことだい?」

「近い未来なら割と正確に見ることができるんだけど、遠い未来になればなるほど、無数の選択肢がうまれ、結果、正確な未来を予知できなくなる」



 たとえば未来視の力で、危険を察知したとする。

 よほどの愚者で無い限り、目の前に危ない物があれば避けようとするだろう。



 その結果、未来は変化するのだ。



「魔力消費に加えて、そんな制約まであるんさね」

「まあね。まあ無茶すれば遠い未来をのぞくことができるけど。やり過ぎると目が潰れるし」



 くま子はあえて言わなかった。

 ちぎれた腕でさえ生やすことのできる、癒やしの力をキリエは使える。



 キリエが居れば、目が潰れたとしても直ぐに再生ができる。

 つまり、キリエとヴァジュラがコンビを組めば、未来をノーリスクで予知しまくれるだろうと。



 だがくま子はキリエという少女のことを、よく知ってる。

 誰かが傷付いたり、苦しんだりすることを、彼女は決して望まない。



 だから、たぶんキリエはヴァジュラの目を酷使するようなことはしないだろう。


「だが、さっき未来を見た。この森に、13使徒の連中が来ると」

「! あの連中が……」

「ああ、来る場所とタイミングはわかっている。キリエが気づく前に追い払っておくれ」



 チャトゥラとアニラを見て、ヴァジュラが言う。

 アニラは腕を組んでうなずいた。



「それはオレ様がやろう」

「そうさね。念のためだ、メドゥーサ……じゃなかった、サンティラ、あんたもいっといで」



 メドゥーサはこくと素直にうなずいた。

 別にくま子のためではない、キリエのタメである。



「あとこれを」



 ぽいっ、とくま子がアニラに何かを放り投げる。

 アニラはそれを受け取ると、手のひらを開く。



「こりゃあなんだ?」

「発信器さね」

「発信器?」

「ああ。元々はキリエのために、ドワーフ連中に作らせたものさね」



 キリエは直ぐに転移して、どこかにいってしまう。

 その都度探すとなると非常にめんどうだ。



 そこでくま子はガンコジーに頼んで、発信器を作ったのである。



「それは救難信号も送れるようになってる。万一に備えてもっといておくれ」

「わーったよ」



 アニラは発信器を髪の毛に取り付ける。


「んじゃ、そっちは頼んだよ。あたいらは、宴の準備しないとね」



 13使徒が来るというのに、のんきに宴なんてしてる暇があるのかという思いはある。

 だがキリエが仲間のために、開いた宴だ。



 中止にするのはなんとも忍びなかった。


「んじゃ、オレ様はいくぜ。おら爬虫類(はちゅうるい)、ついてこい」

「……あなたも爬虫類(はちゅうるい)でしょうが」



 しぶしぶとアニラの後ろに、メドゥーサがついて行く。

 くま子は息をついて、チャトゥラたちに言う。



「んじゃ、あたいらは戻るとするかね」



 ということで、ヴァジュラたちを連れて、キリエの元へ向かったのだが……。



「ばぶばぶばぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ぶ♡」



 ……くま子は目の前の光景を見て、絶句していた。

 顔を真っ赤にしたキリエが……。



『ほ、ほーら姉ちゃん、おっきい熊のぬいぐるみだよーん!』

「きゃっきゃ~♡ くまちゃんら~~~~~~~~~~~~♡」



 くま吉に、抱っこされていた。

 くま吉は体のサイズをかえることができる。



 デカい熊が、少女キリエを、まるで赤ん坊のように抱っこしている。

 そしてキリエは、無邪気な笑みを浮かべていた。


「き、キリエ……?」

「はーい♡ ちゃーん♡ ばぶぅ~♡」



 ……完全に、キリエが赤ん坊になっていた。



「な、何がどうなってんだいこれ!?」

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