11.進化する聖女
森のなかで、冒険者のガープさんをはじめとした、冒険者の皆さんを、神さまのお力で治療した。
「嬢ちゃんナニモノなんだい?」
レッドキャップさんたち、そして冒険者さんたちと、ご飯を食べたあと。
リーダーであるガープさんがわたしに問うてきた。
何者……と言われても、天導教会の聖女です。元ですけど。
「なっ!? て、天導の!? なんでこんな森の中に……?」
わたしは正直に、今日に至るまでのことを話す。
別に隠すことでもない。
「そのモーモックってやつは、とんでもねえ馬鹿野郎だな! こんな優しくて有能な聖女さまを、国から追い出してしまうなんてよぉ! なぁみんな!」
ガープさんをはじめとした、冒険者さんたちが怒ってくれる。
あまり人を馬鹿って言うのは、良くないと思います。
「そ、そうなのか?」
はい。人は間違いを犯すもの。
わたしも追い出されことは、運命だと思って、受け入れてますので。
「そ、そうかい……心が広いんだな」
そんなことはないですよ。
ただ、わたしは運命を受け入れてるだけです。
神さまが作った、運命を。
「なるほどなぁ……いやそれにしても、許せねえわ。モーモックってやつと、そのアバズレ? ってやつ」
アバズレ……?
ハスレアのことです?
「そうそう」
アバズレってどういう意味なんだろう……?
「嬢ちゃんは知らなくて良いよ。なああんたら?」
ガープさんが魔物さんたちに同意を求める。
すると……。
『『『うんうん』』』
と同意して……。
「『『『あれぇ!?』』』」
魔物さんたちと、ガープさん達が驚いていた。
どうしたのだろうか。
『姉ちゃん! おれ……このおっちゃんの言葉がわかるよ!』
「おれもだ! この熊の子の言葉がわかるぜ! どーなってんだ!?」
どうなってるって言っても……。
なるほど、とフェンリルのチャトゥラさんが得心いったよううなずく。
「どうやらキリエ様のお力で、お互いの言葉が理解できるようになってるようです」
「なんだって!?」
さっきまで、たしかわたしが、レッドキャップさんの言葉を、ガープさんに伝えていた。
でも今は……わたしが何もしなくても聞こえるらしい。
「おそらくですが、キリエ様の近くにいるとき限定で、魔物と人の言葉の壁を取り払うようです」
「まじかい……こいつは……本当に凄いじゃ無いか。天導の聖女がここまでできるなんて聞いたことないぞ!」
わたしも困惑するしかなかった。
こんなこと、今までできなかったのに……。
「キリエ様のお力は、日々進化しておられるのです。筋肉も使えば使うほどより強靱となるように、キリエ様もまた使うことで、新たなる力を得てるのです」
『『『おお! さすがキリエ様!』』』
……あの、えっと。
何を誤解されてるのでしょうか、みなさん。
この力は、あくまで神様のお力です。
わたしは単にお借りしているだけ。
ゆえに、わたしが進化してるわけではないです。
凄いのは神さまなのです。
「……この嬢ちゃんは、マジでそう思ってるのかい?」
? マジもマジですけど。
「そ、そっか……あんたあれだな。なんつーか……変な人だな」
へ、変……?
え、わたし変なの……?
『姉ちゃんは変じゃないよ! 変わってるけど』『へーん』『ぴゅーい! へーん!』
が、がーん……そんな……。
「ふふふ」『あっはっは!』
……まあ、魔物さんも人間も、笑ってくださったので、まあいいかなって思った。
しかしわたしは変じゃないと思うんだけど……。
「ありがとな、嬢ちゃん。おれは一旦このまま国に帰るよ」
そうですか。
また遊びに来てくださいね。
「ああ、またな熊の子、あとレッドキャップたちも!」
『『『ばいばーい!』』』
こうして、冒険者さんたちは元の国へと帰っていったのだった。
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