ゆいこのトライアングルレッスンM「両片思い」三人のバレンタイン
ゆいこ視点
今日はバレンタインデー。授業が終わりいつものように校門近くで二人を待っているとひろしがこちらに駆け足ぎみで向かってきて「待ったか?」と声を掛けられる。
「ぜ~んぜん」といいながら鞄からだしたチョコを「はい義理チョコ」と渡すと「ハハハ、ありがと」と言いながら受け取るひろし。
そんなひろしを見つめながら将来を思い描くゆいこ。
ひろしもたくみもやっぱり好き。どちらかなんて選べない。
でも・・・いつか選ぶ日がくるのかな?そう思いながら頭の中で想像が広がっていく。
ひろしと見つめあいながらやさしいくちづけ?
それともたくみと強く抱き合いながら・・・
もしかしたら3人で甘い夜を・・・これじゃ変態じゃん!!!
急上昇する体温を下げるように両手でパタパタするも沸騰する頭の中はなかなか冷めない。
いやいや、こんな私に二人も絶対振り向いてくれないだろう。
きっといつか二人に良い人ができるよね。その時はいっぱい祝福してあげよう。
それまでは・・・いやそれからもずっーと私はふたりのお姉さんポジで温かくみまもるんだ!
そんなことを思いながら首を振ると、遠くでたくみが見ていることに気づく。
「あっ、たくみ!」
そういいながらたくみに駆け寄る。
「そんなにはしって!ころぶなよ!」というたくみの声に「大丈夫だって!」そういいながらそばまで到着すると
カバンからチョコを取り出し突き出し「はい!義理チョコ!」照れ隠しに雑に手渡す。
「なんだよ、義理かよ」そんな冗談をいうたくみに「当たり前じゃん」と返す。
ほんとは義理じゃないんだけどな。
そう思いながらも舌を出しておどけて見せる。
「さっ、帰ろっか」
ゆっくりとひろしもこちらへ歩いてきて合流して帰り道を歩き出す。
この時間がいつまでも続けばいいのに・・・
幸せの時間にはタイムリミットがあることはわかっているゆいこも、今だけはこの幸せをかみしめる。
たくみ視点
学校が終わるといつものように校門前にはゆいこの姿。
「まったか?」と声をかけ近づくと「ぜ~んぜん」というゆいこが鞄からかわいいラッピングの箱が取り出され間髪入れず突き出される。
「はい、義理チョコ」
「ハハハ、ありがと」当たり前にように受け取りながらも義理か。と内心思う。
でも毎年欠かさずくれるゆいこに、うれしさもあり恥ずかしさもあり赤面する。
しばらくドキドキしながらゆいこを見ていると気づけば横を向いて「あっ、たくみ!」と声をあげ走って行ってしまった。
ハハ。そうだよな。
あんなに走って・・・転んだら危ないだろ。
まるで娘の見守る父親のような気持になりながら二人を見つめる。
ああ、たくみにも当然のようにチョコを渡す様子に、あっちが本命なんだろうな。そう思った。
お互いあんなに赤面して・・・バレバレなんだよ。まあいいさ、あいつなら。
今はまだ無理だけど、いつかは笑って祝福できる日がくるだろう。その時までは少しでもあいつらのそばに・・・
そう思いながらゆっくりと二人の方へ歩き始める。
ひろし視点
授業が終わり帰路につく。
ゆっくりと校門まで行くとすでにゆいことたくみが待っていた。
お互いが顔を赤らめチョコと思われるかわいい箱を突き出すゆいこにそれを受け取るたくみ。
バレバレなんだよな~。
二人があきらかに両想いであることをあらためて感じ、邪魔にならないように遠目から二人をうかがう。
遠くない未来に二人はきっと結ばれるだろう。
その時はちゃんとおめでとうって言えるかな?
そんなことを思いながら眺めているとゆいこがこちらに気づき走ってくる。
そんなに走ったら危ない!そう思いながら「そんなにはしって!ころぶなよ!」と冗談めかして声をかける。
「大丈夫だって!」と言いながらそばまで来ると「はい!義理チョコ」と言いながら突き出された箱を「なんだよ、義理かよ」と言いながらうけとる。
せめて少しの思いを気づいてほしくて言った言葉も、案の定ゆいこには伝わらず「当たり前じゃん」と舌を出すゆいこにドキっとして赤面してしまう。
「帰ろっか」というゆいこと、こちらへ歩いてくるたくみにため息をついて「そうだな」と一言だけ口に出す。
そしていつものように三人で帰り道を歩き出す。
残念ながら読んでいただくことは叶いませんでしたが楽しんでいただければ幸いです。
まさか思いっきり誤字ってたとは・・・修正しました。無念!!!