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異世界防衛戦線-刃と翼編-  作者: ミネアポリス剣(ブレイド)
序章2
18/23

18.Chase-2

市街地編2話目、次から外来種討伐に入ります。

18.Chase-2



緋本原(ひほんばら支部


だいたい一ヶ月ぶりくらいか、ルーキーがここに来るのは。

脱走に関してなにか言われるかと思ったが『帳簿係』の反応は淡白だった。

「ああ、漁船から戻ったのか。話は『淨眼鬼(サイクロプス)』から聞いてるぞ」

転生者が漁船送りから生きて陸に戻ってくる確率は極めて低い。

ルーキーがその極めて低い確率を引き当てたのは豪運なのは間違いないが、それが『帳簿係』になんの得があるのか?

ないだろ?

ルーキーは相手の思考を読む奇跡(スキル)は持ち合わせていなかったが『帳簿係』が言いたいことはそういうことだというのがわかった。

「ええ、それでスコットさんから昇格の手続きをすると言われてここに来ました。あと、アンジェリーナさんから不動産会社を紹介していただけると」

「順番にやろうか」

窓口の対面の『帳簿係』は不織布でできた手帳をルーキーに差し出す。

軍隊手帳、転生者が外人部隊の庇護下にあることを証明する身分証を兼ねた手帳だ。

「磁気カードにしろという声もあるがな、磁力を使う奇跡(スキル)の巻き添えで破損するから当分これだな」

『帳簿係』の説明は二回目だ。

前に同じ説明を聞いて同じように受け取った手帳は脱走したときに捨てた。

それを後悔したのは警察に捕まった時だ。

軍隊手帳の提示を求められたときに持ってなかったせいで石を詰めた靴下で半殺しにされた。

軍隊手帳があれば最寄りの支部に連れ戻されるだけで済んでたということだ。

もっとも、その時は連れ戻されるのが嫌で手帳を捨てたわけだが。

「昇格が反映されてるか確認してくれ」

『帳簿係』に促されて手帳を検めると、早速最初にもらった手帳との違いが見つかる。

表紙のところに小さい青玉の飾りが付いている。

最初にもらったやつはセトモノだった。

これは、ルーキーの階級が白磁(第10位)から青玉(第7位)に上がったということだ。

「漁船から戻ってこれるなら紅玉(第5位)くらいの力量はあるだろうが、脱走したぶんで評価を下げさせてもらった」

「え、うん・・・」

別に評価が欲しいわけじゃないんだけどな。

そう思いながら手帳をめくると初手に注意事項が書かれていた。


手帳はあなたのヒノモトでの身分と身柄を保証する重要な証書です。大切に保管し、決して紛失しないようにしましょう。

もし紛失した場合は最寄りの支部で速やかに再発行の手続きをしてください。

手帳の紛失により、現地人に身分が証明できない場合、下記のリスクが発生します

1.憲兵によって外来種として『駆除』される

2.警察に拘束され拷問を受ける

3.マフィアおよびそれに準ずる集団に拘束され、臓器を摘出される

4.漁師によって拉致され漁船に監禁される(港湾地区に限る)


あとは憲兵に駆除されたらコンプリートだ。

なんだこの世界、蛮族しかいないのか?

頭痛をこらえてページをめくるとルーキーの個人情報が記載されている。

年齢、身長体重、血液型、元いた世界の住所。

そして、前の手帳で空白になっていた部分に記載が追加されていた。


―Second_Name:赫腕(レッドハンズ)


「なにこれ」

「これまでの実績をもとに二つ名をつけさせてもらったぞ。良い宣伝になる。名指しで仕事が来るようになるぞ」

「え、何勝手に決めてるんです?」

「自分で名乗っても実力の担保にはならんだろう。こっちで決めるから意味があるんだ」

「え、うん・・・」

いわく、二つ名は、外人部隊が構成員の能力と実績を保証するためにつけているものということだ。

二つ名を持つ転生者がヘマしたら外人部隊も連帯責任で報復を受ける。

だから二つ名をもらったからには二度とバックレは許さないと釘も刺された。

ついでに、言語体系が違いすぎて本名が発音不可能な転生者を区別できるようにするための措置でもあるらしい。そっちはどうでもいいか。

ページをめくると、現住所、電話番号の記入欄があり、その下には覚えた奇跡(スキル)を書き込むスペースがある。

あとはメモ帳に、カレンダー、単位換算表、外人部隊各支部の住所などなど。

「昇格手続きは以上だ。あとは不動産だな?」

「ええまあ」

『帳簿係』はA4の用紙を渡してきた。

不動産会社への紹介状ということだ。

「これ持ってこの住所に行くといい。『帳簿係』の紹介だと言えばあとは向こうがいいようにやってくれる。金があればだがな」

こっちはすぐに手続きが終わった。




「うお!?何をするやめろ!」

エクレールが銃を出したことで形勢は逆転した。

ランドセルを手に迫ってきた変態はランドセルを背後に隠しその場から動けない。

後ろの2人も動きを止めたことから察するにこいつらは銃に対処するための手段がないようだ。

そして、足を止めたことで、対処するチャンスは永遠に失われた。

女神エクレールはその間に安全装置を外し銃の後ろのレバーを引き起こす。射撃準備は整った。

変態が妙な動きをしたら即座に引き金を引いてやる。左右に避けるスペースはないから目をつぶっていても当たる。

「おい、下がれお前ら」

女神が銃で威嚇すると変態はランドセルを庇いながらゆっくりと後退を試みる。

「くそ、このババアっ!」

そこに後ろの2人が飛びかかる。

「うお!?何をするお前ら!」

「うるせえ!お前もうしゃべんな!」

「謝って!早く謝って!」

変態を最前列に3バカが汚いジェットストリームアタックを形成する。

最前列の変態を盾にして銃撃から身を守ろうと言う魂胆か。

「お前ら!ランドセルを守れ!」「知るかボケ!」「子供にランドセルとかどこまで変態だよお前!」

なんと醜い譲り合いか。だがそんなことをしても無意味だ。

エクレールは両手の中の重さを確かめながら一歩前へ出る。

ずっしり重い。重いということは両手の中には変態3人ぶっ殺して余りある弾丸が充填されているということ。

つまり重いということは頼りになるということだ。

「さあ、誰から死ぬか言え!」

女神は平等で寛大だ。一人だけ殺すような依怙贔屓をするつもりは毛頭なく、そして弾薬を惜しむほどケチではない。

「頼む!せめてそこの淑女にランドセルを!」「僕は脅されただけなんです!僕だけは見逃してください!」「てめえ逃げるな!責任から逃げるな!」

くだらん。転生して奇跡(スキル)を得ても所詮は下等生物(にんげん)、どうあがいたところで女神にはひれ伏すしかないということか。

今やこの下等生物(にんげん)どもの生殺与奪は女神の指一つ。

いや違う、女神を冒涜した背信者に与える生は存在しない。

あるのは奪い、殺す、それだけだ。

「死ねやオラァ!」

「「「ひいいいいいいいいいいいいい!?」」」

女神が裁きの引鉄を引く。

後ろのレバーが倒れ金属がぶつかる。


―カチン


そして静寂。

「「「え?」」」

「え?」

エクレールは戸惑いながら引鉄を引き直す。

今度は何も起こらない。スカスカと引鉄が動くだけだ。

「あ、あれ?」

まさか、故障!?くそ、あの恭士郎(チンピラ)め粗悪品よこしやがった。

「掛かれえええええええ!」

女神がアクシデントに見舞われたことを悟った3人が一斉に飛びかかった。




「た、頼む『狂剣(マッド)』、見逃してくれ!」

一方、恭士郎にも前金狙いの転生者が襲いかかっていた。


溶断刀(イフリートソード)!」

襲撃者は圧縮した炎を剣代わりに斬りかかって来た。

恭士郎は腰の緋本刀で迎撃。

ベルンハルト財団の若造が言っていた機能を試す。

中空になった刀身に空気を圧縮して送り込む。

それをインパクトの瞬間刃に空いた超小型の穴からブローすると刀身に空気の膜、もう一層の刀身を形成。

まともに打ち合えば本来なら金属の刀身は高熱で溶断されるところだが、空気の刀身は熱を通さず、逆に襲撃者の両腕もろとも炎の剣を両断した。

「新技、空裂斬」


それが1分前の話。

ホムセンの裏手、襲撃者は両腕を失って転げ回って命乞いの最中だ。

こいつは放っておけば憲兵が片付けに来るだろう。

恭士郎は命乞いする襲撃者の眼の前にしゃがみ込む。

「なあ、頼むよ、魔が差しただけなんだ・・・」

溶断刀(イフリートソード)は強力な奇跡(スキル)だ。この襲撃者はどうやってかこれが使えるようになって浮かれて恭士郎に挑んだということだろう。

だがその奇跡(スキル)は恭士郎に奇跡(スキル)を教えた白銀姫(アンジェリーナ)のババアが得意にしているものだ。

当然対処法も教わっている。襲撃者の見通しは浅慮というほかない。

そして、浅慮には相応の代償が伴うのだ。

「おい何をする!?」

恭士郎は襲撃者のズボンを引き下げるとターボライターを近づける。

「公務員の嗜みだ」

そしてライターの火を下腹部、に押し当てた。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

襲撃者の悲鳴が響き、チン毛が焦げる匂いが立ち上る。

この匂いを嗅ぐと日本で公務員やってた頃を思い出す。

公務員時代は気楽だった。

命令されたことだけやってれば給料がでたし、衣食住にも困らなかった。

今は給料制ではないしねぐらも服も飯も自腹、それにまさか子守まですることになるとは、人生というのはわからんものだ。

その子供(チビ)は今居候の女神に預けている。

緋ノ(ヒノモト)での生き方、金の稼ぎ方を教えるために緋本原(ひほんばら)まで連れてきたが、ずっと気を張っていても身につかないと思ってアイシン(女神)と遊びに行かせている。

町を出たら『外来種』との戦闘だから少しでも羽を伸ばしたほうがいいだろう。



―路地裏


「ちくしょー!放せこの野郎!」

エクレールは転生者2人に抑え込まれて身動きが取れない。

「暴れんじゃねえこのババア!」

「なんて凶暴な女だ!」

女神といえど祝福(バフ)で身体機能が上昇した男2人を振りほどくことはできない。

このままでは組み敷かれて裸に剥かれて体を弄ばれてしまう!?

「ヤクザと憲兵、どっちが高く買うと思う?」

「ババアだし、大して違いないだろ」

この下等生物(にんげん)どもめ、このままで済むと思うな。

そして、残る1人はセシリアを捕獲すべく路地裏を進む。

セシリアは逃れるように後ろに下がるもついに壁際に追い詰められてしまった。

「ちょっとあんたたち!子供相手に大人げないと思わないの!?」

エクレールの非難に3人は一瞬怯むも、それで改心するという展開にはならない。

「うるせえ!こっちは生活かかってんだ!」「冬越せるかどうかの瀬戸際なんだぞ!」「お前替われ!代わりにババア抑えろ!」

子供を攫うことに嫌悪感を持つ程度のモラルはあっても、自分の命より優先するほど高尚なものは持ち合わせていない。

「おい、淑女を乱暴に扱うなよ!?」

「分かってるよ!大事な人質だ」

「しかし、『狂剣(マッド)』に娘がいたとはな。これであいつから身代金が取れるぜ」

3人の狙いはどうやら恭士郎のようだった。

ブリーフィングに来ていた中で新種の『外来種』を生きて討伐できる見込みがあるのは白銀級(第3位)の恭士郎くらいだ。

そこで3人は一計を案じた。

3人が『外来種』に挑んでも勝ち目はないが恭士郎なら勝てる。それが間違いないのなら、恭士郎に討伐を押し付けて報酬だけいただくことができないかと。

そこにいたのがこの薄黄色の髪の女と、紫色の髪の少女だった。

この2人は恭士郎の妻子だと推測した。ならばこの2人を人質に取れば身代金という形で報酬を奪えるのではと考えたのだった。

報酬を奪ったあとどうするか?あとで報復を受けないか?そういう発想はない。冬を越せねば後は来ないからだ。

転生者は油断なくセシリアに近づく。

セシリアに手が届くまさにその時、セシリアが動いた。


「キョウシロウ!」


転生者の背後めがけて大声で叫んだ。

その叫んだ内容に3人は身を竦ませる。

セシリアは貴族の娘だった。だから敵が貴族に対して何を欲しがるかは知っていた。

それは身代金であり、身代金のためにすぐに体を害することはできないことも。

そして、有力貴族のキョウシロウ本人ではなく愛人を狙ったということは、この3人はキョウシロウを『恐れている』。

その推測は的中した。3人の転生者は全員が自分の背後に注意を向けた。

そこには誰もいなかった。

「なんだ、だれもいないじゃ


風鎚(エアハンマー)


セシリアが小さな手を襲撃者の胸に押し付け、圧搾空気の塊を叩きつけた。


「グボア!?」

襲撃者の悲鳴はアバラを砕かれて悲鳴にならなかった。

さらに一撃の余波を受けた襲撃者は数十メートルの距離を盛大に吹っ飛び電信柱に激突、道路に転がって通りがかった黒塗りの装甲車に踏み潰された。

「え、うそ、すご・・・」

女神の驚愕!

この威力!

恭士郎が教えた奇跡(スキル)はかなり高度なものであるにも関わらず、セシリアは適切に習得し、土壇場で使いこなしたのだ。

凄まじい才能だ。この緋ノ(ヒノモト)でさえなければその能力で勇者として崇められ一生スローライフして暮らせるレベルの才能。

「ッ・・・ウッ」

しかし、その才能に対してセシリアはの体は小さすぎた。

奇跡(スキル)の反動に耐えられず、ゴシックドレス風の服は右半分がビリビリに破れ、白い肌が見えていた。

それに、奇跡(スキル)を撃った右手は痺れているのかだらりと下がってしまっている。

「このガキ!」「ハァ、ハァ・・・いけないなあ・・・これはお仕置きが必要だなぁ」

残る2人は左右に広がってセシリアに迫る。

セシリアは残る左手を出して牽制するが、2人の転生者は横並びに距離を詰める。

セシリアが風鎚(エアハンマー)を転生者を撃破できる威力で撃てるのはあと1回、それを撃たせれば残る1人が捕まえられる。

それが分かっているから2人は歩みを止めない。

「舐めたマネしやがって、痛い目を見たいようだな」「怪我したのかな?ハァハァ・・・可哀想に・・・僕がお医者さんになってあげるよ」

2人は油断なくセシリアを注視して、うち1人が背後から攻撃を受けた。

「女神なめんなボケがぁ!」

重いということは頼りになるということだ。弾が出ないなら殴ればいい。

エクレールが弾丸がMAX詰まった自動拳銃の台尻を変態の延髄に叩き込んだ。

「ゴバッ!?」

延髄に一撃食らった変態はくぐもった悲鳴を上げて昏倒した。

「ひ、ひいいいいいいいい!」

最後の一人になった転生者は即座に反転して情けない悲鳴を上げながら逃げていった。

危機は去った。

緊張が解けて電池が切れたように動かなくなったセシリアを背負ってチンピラとの合流地点に向かう。

粗悪品の拳銃を寄越した文句を言ってやらねばならない。




ルーキーは不動産業者の車に乗せられて冬の住処の下見をしていた。

「ここなんかどうですかなー。警部補の別荘ですなー。最近ヤクザの機嫌損ねて殉職したので空き家になったんですなー」

「いや、事故物件じゃないすか・・・」

「だからお安くすると言っていますなー」

まあ、それはそうだ。ルーキーの予算は有限だからここで金を使い切るわけにもいかない。

冬を越すためには電気、水道、ガス、食料、衣類などの金も必要なのだ。

できれば安く上げたい思いが勝り、警部補の別荘を目指すことにする。

「コーヒーでもいかがですかなー」

途中そう言われたので食料品店の自販機で缶コーヒーを買って飲んでると凄まじい形相で転生者が走っているのが見えた。



その転生者はエクレールとセシリアの捕獲に失敗して敗走の真っ最中だった。

しくじったしくじったしくじったしくじった。

女子供だけと侮ったのがまずかった?いや、そんなことはどうでもいい。

これで金のアテはなくなった。冬をこす手段も見当がつかない、いや、それもどうでもいい。

このことで確実に『狂剣(マッド)』の怒りを買ってしまった。これが一番重要だ。

取り逃がした『狂剣(マッド)』の娘はこのことを伝えるだろう。そうなれば外人部隊を通じて自分が特定されるのに時間はかからない。

そうなる前に逃げなければならない。どこに逃げるか?とにかく遠くへだ。

そのためには車がいる。どうにかして車を確保しなければ。

「コーヒーでもいかがですかなー」

眼の前で車が止まった。自販機で缶コーヒーを買うために中身も外だ。

あれを奪おう。

転生者は車の持ち主めがけて突進する。


―アクティブスキル:剛拳


これでパンチの威力は増加した。訓練された兵士であってもこの拳に当たれば一撃だ。

車の持ち主は転生者だ。だが、それが何だ、この間合いなら一撃で頭蓋骨を叩き割ることができる。

相手の転生者は上着の内側から防火斧を取り出したがもう間に合わない。もらった!

「#&&%$&’=%($!!!!!」

車の持ち主は苦し紛れに何かを叫ぶ。何を言ったかしらないがそんなものはもう無意味だ。


―パッシブスキル:自動翻訳


「え?」

発動していた『剛拳』の効果が消えた?いや、何か別の奇跡(スキル)で上書きされた?

だがもう勢いは止まらない。奇跡(スキル)を失った拳は相手の額に当たったが、それは自分が相手に喧嘩を売ったことを教えただけだった。

「きえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

甲高い、脳に突き刺さるような絶叫とともに車の持ち主が振り下ろした斧が肩に突き刺さる。

鎖骨を粉砕され、アバラをいくつかと肺を破壊された。

「ぐがあああああああぁっ!」

車の持ち主はそのまま転生者に体当たりをかます。大ダメージを受けていた転生者はそのまま地面に叩きつけられた。

痛みにもがく転生者の真上に車の持ち主が降ってくる。

「ひっ!?」

「びゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

命乞いをする間もなく、防火斧が半死半生の転生者の頭蓋に叩き込まれた。



「いやー、赫腕(レッドハンズ)の名にふさわしい破壊っぷりですなー」

不動産業者は感心しながら、ルーキーが仕留めた転生者を見る。

その死骸は経緯を知らない者が見れば人間のものだと判別できない程完全に破壊されていた。

「はー、はー、s、死ぬかおもた・・・」

ルーキーは敵を破壊するのに使った防火斧の返り血を上着の内側で拭う。

その両腕は二つ名が体を表すかのように返り血で真っ赤に染まっていた。

「しかし、あの一瞬でパッシブスキルを発動させて相手の奇跡(スキル)無効化(ファンブル)するとは、優秀ですなー」

不動産業者は感心しているがさっきのはまぐれだ。

次同じ状況になったら挽肉になるのは自分だ。こんなところにいつまでもいられるか。

「あの、もっと人通りが少ない物件ありません?」

先程見た捕物といい、人通りが多いところは危険だ。

どうして視界の何処かで小競り合いが起こってるんだ正気の沙汰じゃない。

「それなら、夜鳴子(よなご)にいくつか物件がありますなー」

「じゃあそこ行きましょう・・・」

夜鳴子(よなご)緋本原(ひほんばら)より北にある旅団ですなー。現在前線になっている場所なので任地が近く腕自慢の転生者(とらいじん)には人気ですなー」

業者が最後に言ったセリフをルーキーの脳は処理できなかった。

町中で襲撃を受け、少しでも人が少ないところに逃げることで頭の処理が止まっていたからだ。

そのことを後悔するのはもう少し先の話になる。



「恭士郎!この野郎不良品渡しやがって!弾が出ないぞ!」

エクレールは怒りのままに恭士郎(チンピラ)に拳銃を投げつける。

恭士郎は俺が使ったときは使えたと言い訳しながら銃をいじる。

まず、柄から弾の箱を出して弾があるのを確認すると、銃の上の部分を引っ張って引鉄を引く。


―ドンッ


銃口から飛び出した弾はアスファルトに倒れていた両腕のない転生者の眉間を撃ち抜いた。

「初弾の入れ忘れだ」

恭士郎は弾を抜いた拳銃をエクレールに返すとセシリアはを労う。

セシリアはエクレールがほぼ全財産はたいて買ったゴシックドレスが破れたので、ホムセンで買った作業着を着ている。

あのドレス高かったのに。

「やるじゃねえかチビ。この後もしっかり働けよ」

ピックアップトラックの荷台には新たに買った武器が積まれていた。

中でも目を引くのがカリオストロで次元が使ってたようなでかい銃。

「20ミリ自動砲だ。弾頭は超鋼製の徹甲弾。こいつを使う」

説明されてもエクレールもセシリアもなんのことかわからない。

分からないが、分からないままトラックは発進、3人は戦地へと向かう。



to_be_continued


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― 新着の感想 ―
[良い点] “蛮族しかいないのか”の感想や、汚いジェットストリームに、吹きそうになりました。 あと、三馬鹿のうちの1人はエクレールを怒らせる天才のようで……。
[良い点] 外来種として駆除の文章に、害獣扱いかな、一瞬と思ったら害獣より扱いが酷かった。
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