表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貞操逆転世界の男性Vtuber  作者: 恋狸
第一章 てぃの巻
1/49

貞操逆転世界に転移してしまったようで

「んあっ? んんー!! よく寝た!」


 どうも頭がぼやけている。よく寝たどころか寝すぎた。

 昨日は大学の飲み友と、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎをしていた記憶がある。


 途中から酒の許容量を超えたのかぷっつり記憶は無いけど、まあ見慣れた天井だし帰ってこれたのならヨシ!


「水……水を」


 ゾンビのようにフラフラ台所に行って蛇口を捻る。


「あー、これだよ。絶賛二日酔いの朝イチに飲む冷たい水。酒よりうめぇ……」


 甘露なり。

 こんなことしてるから、いつまでたっても彼女できないんだけどな。年齢=彼女無し歴。ピュアな恋愛を望む、心は童帝。体は童貞。


 どうも21歳、黒田くろだ春樹はるきです。


「テレビ、テレビと」


 リモコンを探してテレビの電源を入れる。

 

『今朝のニュースです。昨日夜8時頃、男性の家に侵入し強制猥褻を犯したとして京都区に住む24歳の女が逮捕されました。女は「出会いが無くて腹が立った。一発ヤれば人生変わるぜ女ども」と供述しており──』


「ぶっっ!!??」


 全力で水を噴いた。

 

「……いやはや、ビックリしたけど世の中こんなこともあるんだなぁ。相当美人だし出会いなんて幾らでもあったろうに……」


 朝、というか昼からすごいニュースを見た。


 女性側からの強姦なんてあるんだな。世界は広い。


『続けてニュースです。本日にも男性保護法の新案が可決される模様です。その事について専門家の夜旗教授をお呼びしています』


 女性ニュースキャスターの呼びかけに、でっぷりと太った蛙のような顔をした女性が映された。テロップには『東京竜胆大学法学教授 夜旗よるはたかおる』と書かれていた。


「男性保護法? 竜胆大学?」


 なんだそれ。どっちも聞いたことないんだけど、俺の知識不足?


『ええ、そうですね。とても素晴らしい法案だと思いますよ。昨日のニュースのような事件の防止も可能ですし、男性の人権を守るというこの法律において、これ以上のものは存在しないですねぇ』


『なるほど、ありがとうございます。では次に──』



「どういうことだ? 男性の人権を守る? いや、女性もだろ。どうした平等は。そんな法案炎上するだろ。これでも毎日ニュース見てたんだけど初見だぜ?」


 疑問を口に出す。ニュースを批判しながら、俺の額から一筋の汗が流れ出る。こんなドッキリのような出来事をまさか俺は信じているのか?


「そうだ。こんな時のためのスマホじゃないか」


 急いで検索アプリを開き、男性保護法について打ち込むと、何万件にも及ぶ検索結果が表示された。そのことに面を食らいつつも法務省のホームページを開き、内容を確認する。


『男性保護法

 世界全体で1:100もの男女比になってしまった現在、我が国では著しい人口減少が確認され、これは早急に手を打つべきである。

 よって、男性の人権を守り、法体制を整えることが急務であると国会で審議された結果、男性保護法を制定することに決まった。

 一ヶ月に3回の精子提供による多大な支援金。男性の住居の厳重な守衛体制。その他──』



「頭が痛くなる……」


 俺のスマホが壊れたのか、なんて現実逃避はしない。テレビで報道されていた通りなのだろう。


 つまり俺は──




「貞操逆転世界に転移したのか……」


 ネット小説で読んだことがある。

 男女比はともかくとして、男性と女性の価値観が入れ代わる世界だ。

 ただし完全な逆転ではなく、小説の都合上男性側に優位な点が幾つか窺えるが、恐らくこの世界もそうだろう。じゃなきゃ、一方の性別を優遇するような法案は可決されない。


「まじか、まじか。男にとって最高の世界。ナンパでもするか? ……いや、無理だろ。そんな度胸ねぇし、さっきのニュースみたいな事件が横行する世界だったら、守り続けてきた大切な童貞が無惨にも散らされる」


 俺は! 恋をして! 最高のシチュエーションで! 初体験を迎えたい!!


 だからモテねぇんだよな。って、やかましいわ。


「どうしよ。俺って大学に通ってることになってんの? 飲み友はどうした。RINEは……両親だけか。他の連絡先が消えてる」


 陽気で愉快なバカ野郎どもとは、もう会えないのか。いや、あいつらなら悲しむより楽しめとか言ってきそうだし、まだ完全にあいつらがいないと決まったわけでもない。



「今後の方針を決め……ってハッ! 俺の推したちはどうなってる!!!!」


 シュタタタ! とスマホをスクロール操作。動画投稿サイト、Yoituebを開き登録しているチャンネル一覧を見た。



「いる、いる、いる、いる、いないっ!? いる! いない!? 男性yoituber全滅ッッッ……。いや、待て諦めるな」

 

 検索ッッッ!!


「いたぁぁ!! え、TSしてて草」


 俺の好きだった配信者たちは、女性はそのまま。男性はTS,つまり女性になってた。


「こんなのってありかよぉ……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ヒカキン、バヤシ、加藤純一、きまぐれクック、ほーみーずなんかが女になってたら違和感すごいな
[一言] TSしたおっさんV連中見てみたくはある。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ