古代の禁術
ミカは世界中から大陸に伝わる神話や魔法に関する書を集めていた。
その中に数点かなり古く傷んだ書物が紛れているのを発見した。
そこに書かれていた文字はこの世界で使われているものとは全く違い古代文字というのか不思議な図形の集合体など見たことのないものが数多く描かれていた。
ミカは魔方陣に似ている図形などがあることからそれが魔法に関するものだと推測し、世界に点在する遺跡を巡り、調べ、古代文字と同じ形のものがいたるところに存在していることを知った。
そして遺跡に遺された壁画などから古代書の解読を始めたのだ。
一部しか解読出来なかったがそこに記されていたのは古代人が魔物に対抗するための力。
光の精霊の召喚方法だった。世界から消えてしまった古代魔法。それは禁忌に近かった。
光の精霊を呼ぶという特殊な術式は使用者の魔力を大量に消費する。使った者の命を削るのだ。
歴史から消えてしまった原因はそこだろう。ミカはエルフという神に近いとされている種族の生き残りだ。そしてロンベルトの魔法により桁外れの魔力量をほこる。
ミカは土で人型の人形を作りそこに光の精霊を憑依させる『神威転生』という魔法を使ったのだ。
神に近い精霊を憑依させた人形はまさにアダムとイヴのような存在となった。
勇ましく戦うその姿をミカは戦乙女ヴァルキリーと名付けた。
ヴァルキリーの手数の多さに魔王は魔道具を使い姿を消した。
ヴァルキリーでも姿を追うことが出来なかった。だがミカは笑みを浮かべている。
バチチ!
ヴァルキリーから少し離れた場所の空間が揺れ電気が流れるような音がしたかと思うとそこから魔王は姿を現した。
「おのれ虫ごときが! 結界など……」
ミカは予めヴァルキリーの召喚と同時に魔王を中心に結界魔法をかけていた。
逃げないようにというよりは魔道具による透明化を考慮してのものだったが。
すかさずヴァルキリーが襲いかかる。
昔戦った魔王より弱い!
やはりまだ完全ではなかった!ミカに光明が見えてきた。
ヴァルキリーの突きをかわした魔王は自身とヴァルキリーの間に黒い炎の壁を展開させた。
それを見たミカは空間魔法で瞬時に魔王の背後にまわりこみ右手に予め出していた黒い魔力球を魔王の背中に叩き込んだ。
お……重い……
魔王の身体は急に重くなった。だがすかさず黒い炎のオーラでミカに反撃をしようとした。が、ミカは重力球を打ち込むとすぐに魔王から離れて距離をとった。
ミカは更に重力球を2個3個と出してそれをお手玉のように回し始めた。
「重たい重たい重力御手玉なんだぞ!」
魔王を挟み込んだ2人は互いに距離をとって連携してくる。
魔王は少しずつ押され始めている状況に苛立っていた。
魔王の怒りに反応して結界内には障気がたちこめ濃くなりだした。
障気は闇の力の源、魔王の魔力がまた高まりだした。
魔王は力を溜め魔力を一気に開放した。
解放された魔力は黒い炎となり結界内を覆った。
ヴァルキリーが黒い炎にのまれ結界はその威力に耐えきれずバリンと音をたてて崩れていった。
更に黒い炎は形を変えミカに襲いかかった。
ヤバイ!
ミカは咄嗟に重力球を前方に放って黒い炎の猛攻を止めたが反動で海まで吹き飛ばされてしまった。
ミカは直ぐに海から空へ上がり状況を確認する。
黒い炎が草原一帯に広がっている。
緑が一面に広がっていたのに今はみる影もない。
魔王はミカの姿を確認すると鋭く睨み付けた。
魔王から発せられた殺気に身体が強張る。魔王はまた姿を消していく。
今度は結界を破られている。
魔王の気配が完全に消えてしまった。
「まだまだなんだなー」
ミカの言葉とともに魔王のいた場所を中心にいたる所から魔方陣が現れた。
魔方陣は互いに共鳴し合い連鎖爆発を起こした。
爆風による凄まじい衝撃波が突風を生み出し海は荒れだした。
ミカの思わぬ攻撃に魔王は姿を現した。
所々火傷をおっている。
魔王でも不意の爆発を防ぎきることが出来なかったのだ。
ミカの見事な用意周到ぶりに魔王は眉間に皺を寄せ、歯を食いしばり、怒りの表情を向けている。
ミカはここまで上手く事を運べたことに安堵しながら
「西門封鎖完了!」
更に魔方陣を自身の周りに展開させていった。




