後処理
医務室に着くとベッドにはロンベルトが寝ていた。シエルのタリスマンの効果が切れたようだ。
ファナーカはテッドをベッドに寝かせ
「リンの治癒魔法はスゴいが流石に疲れただろう? 精度が落ちてるな みんなも少しベッドに横になるといい」
リンに変わりファナーカがテッドの治療の為の回復魔法をかけ始めた。
確かにクタクタだったベル達は医務室のベッドを借りることにした。学校のベッドで寝ることに少しドキドキしたが布団を被ると直ぐに寝てしまった。
「さて お前には色々と聞かせてもらうぞ」
子供達の前とは違い鋭い眼光で捕らえたルドンを睨むファナーカにルドンは冷静に
「先に言っておくが私には呪いが掛けられている 余計なことを話そうとすると心臓が潰れる呪いをな」
仲間にも余念がない。ファナーカは相手の徹底している行動に苛立ちながらも感心した。
相手はプロで相当手慣れている。狙いの予想はついてるがハッキリしていない。
「ジジィを操るなんて並大抵の魔法使いじゃ出来ねー それにそんな事が出来る人間なんてそうそういるもんでもねー」
ルドンは何も答えず静かに目を瞑っている。
「クソッタレ!」
ファナーカはロンベルトが起きるまで待つことにした。
シエルはギートの屋敷にいた。ギートはものすごい剣幕で
「なんなんだこの失態は! 仕事も果たせず1人は捕まったじゃないか! あんたが任せろと言ったから高い金まで払ったのに! ぐぐぐ……私の名前まで出たら……」
ギートが言いかけた時シエルは隠し持っていたナイフをギートの首もとにあて
「ギャーギャーうるさいんだよ このまま細切れにしてやろうか? アイツ等じゃ捕まったルドンからは何も引き出せやしない」
ギートは突然のシエルの言動に恐怖で冷や汗をダラダラと流し震えながら。
「ほ……本当だろうな」
「安心しなよ それに…… まだ終わっちゃいない」
確かにとんでもない力を持った子供達だった。ファナーカだけが問題ではなかった。
シエルは密かにあの力が欲しいと思い始めていた。
「フフフ……次はうまくいくかしら」
シエルは何か新しい考えでも思い付いたのかまた不敵に笑っていた。
しばらくしてロンベルトが目を覚ました。
ロンベルトは辺りを見て自分が医務室のベッドにいることを確認し状況を少し理解した。
「わしを操っていた者は?」
「逃げられちまったよ だが相方はこの通りだ」
ファナーカの答えにロンベルトは鎖で拘束されているルドンを見ると
「こやつからは何も出てこんな 強力な呪いが掛かっておる わしを操った者の仕業か」
「ジジィ! 一体何が起きたんだ ジジィを操ってた魔法は周りがどうこうできる代物じゃなかった 今回は効果が切れたからなんとかなったが あれは殺さなきゃ止まらなかった」
ファナーカは気掛かりだった。
これほど拘束力の強い強力な操作魔法は今回のように掛ける相手によっては脅威だからだ。
「わしも分かる範囲で話そう なんせ不意をつかれて何も出来んかったし操られている記憶がないんじゃ ありゃ魔法じゃない」
「なんだと?」
ファナーカは思わず座っていた椅子から立ち上がったがロンベルトはファナーカを制止して椅子に座らせ直してから話を続けた。
ロンベルトはギルド北の狼で起きた事件の事、魔王の残した遺物の中には人を操る事の出来る魔道具が存在するということ、その力に抗うことが出来なかった事、分かっている事を丁寧に話した。
「あのバカ魔王最後にとんでもない置き土産をしていきやがって」
なんとも皮肉な話である。本来魔物が世界を征服するために作られた魔道具を人間が使っているのだから。
「ファナーカ お前でもあれは耐えられるか分からんぞ 魔道具には魔道具でしか対処できん」
ロンベルトは自身に起きた経験からファナーカにも忠告をした。
「この子達は絶対に守らなきゃいけない ジジィはもう大丈夫なのか? こいつをマルスのとこに連れていきたいんだが」
「わしはもう大丈夫じゃ 魔物と人間の壁を壊す大切なきっかけじゃ この子達は命に代えてもわしが守る お前も気を付けろ まだ終わってはいないんじゃからな」
「さっきまで操られて暴れていたジジィには言われたくないね」
ファナーカは皮肉たっぷりにロンベルトに言うとルドンを連れて医務室を出ていった。




