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後手

この日は雨が降っていた。

いつものようにファナーカの空間転移魔法で学校に向かった。

校門前に着くとテッドが走り出し


「今日は俺が一番だ!」


と勢いよくかけていった。この時何か違和感を感じたファナーカは


「テッド! 止まれー!」


と叫んだがテッドの足元から急に魔方陣が浮かび上がりテッドはどこかへ消えてしまった。


「トラップ魔法か…… やられた……」


トラップ魔法はかけた場所に対象者が触れると起こる時限式の魔法で魔法さえかけておけば後は待つだけの簡単なものだが効果は抜群だった。


雨の日ということもあってファナーカの関知が一瞬遅れたのだ。


「あの魔方陣は空間魔法のものだった どこか別の空間に飛ばされたのか くそ!」


この魔法による攻撃がベル達に向けてのものだとすぐに気付いた。


「お前達はここを動くなよ! 何が起こってもいいように構えていろ!」


「分かったよ!」


ファナーカがテッドの消えた魔方陣跡を調べようと動いた瞬間ファナーカの周りから無数の魔方陣が浮かび上がりそこから鎖が現れてファナーカの体に絡み付いた。


「なっ…… この感じ…… まさか?」


鎖が絡まり動けないファナーカの視線の先に1人こちらに向かってくる人影を確認した。


「ジジィ…… 」


目の前に現れたのはロンベルトだった。

しかし何か様子がおかしい。ファナーカは


「ジジィ! どういうつもりだ?」


ロンベルトはファナーカの言葉に反応も示さないままファナーカに手を向けると雨の水を一点に集めて巨大な氷塊を作りファナーカに向かって放った。


ファナーカは自身の魔力を炎柱に変えて氷の塊を溶かした。


「これは操られてるな やっかいだ ジジィにこんな真似が出来るやつなんてこの世界にはそうそういないからなー」


人や物を操作する魔法は色々とあるが共通として自身の魔力を送り続けなくてはならない。そしてロンベルト程の人物を操作するとなると遠くからでは魔力供給が間に合わない。ファナーカは術者が近くにいることを悟った。


そして自身に絡み付いた鎖を高めた魔力で断ち切ると


「ベル! テッドを消した奴は近くにいるはずだ! お前の探知魔法の力なら罠も見破れる お前達でテッドを助けるんだ!」


ベル達はみんなと顔を合わせて頷き

自身の魔力を展開した。

展開した魔力は罠の場所や人の位置まで細かく分かる。ベルは魔力の大きさから展開できる半径がとても広いのだ。そして魔力の暴走を抑えるために訓練してきた賜物だった。


ベルが怪しい気配を察知したと同時にダッドも野生の勘で何かを感じ取った。


「屋上だ!」


ベル達が走り出すとファナーカと牽制しあっていたロンベルトが無数の鋭利な氷の刃をベル達に向かって放った。


「させるかよ!」


ファナーカは巨大な炎の豪球を氷の刃に向けて放ち相殺させた。


「お前達! 頼んだぞ」


心配だが自分はここから動くことが出来ない。ロンベルトを相手に余所見が出来る余裕がないことは分かっている。ベル達に任せる他なかった。

ファナーカは歯噛みしながら


「久々に喧嘩といこうじゃねーか」


自身の魔力を高めてロンベルトに突っ込んでいった。

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