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試験テッド

馬車で町の郊外にある魔道学校に案内された。


「さあここが魔道学校だよ 君達にはここで試験を受けてもらう それぞれの得意な分野を存分にみせてくれ」


学校に着くと魔法使いらしき人達が数人で出迎えてくれた。

それぞれが別々の訓練場に案内された。


ファナーカとユキはマルスの案内で学校の校長室に向かった。


「失礼します」


マルスがドアをノックして部屋に入ると初老の男性がいた。

その姿を見た瞬間ファナーカは


「げっ!」

驚きの声を上げる。


「なんじゃ? 人の顔を見るなり相変わらず失礼なクソガキじゃの」

初老の男性の事をファナーカは知っている。


「お久しぶりです ロンベルト校長先生」

マルスは丁寧に挨拶をする。


ロンベルトはファナーカの魔法の師匠だった事がある。

ファナーカの魔法の才能を誰よりも早くから見出だしファナーカが私欲で魔法を使わないように徹底的に厳しく鍛え上げた過去がある。

ファナーカが思わず口に出した驚きはこのためだ。


「まさかジジィがこの学校の校長だとは だけどまあ安心だな」


ファナーカはロンベルトがどのような人物かわかっている。魔法だけではなく人格も信用出来る。とても厳しかったがそれが優しさということも今では分かっていた。


「こちらの美人な方がお前の嫁さんか? 魔王の幹部だと聞いていたからてっきりもっとすごいのがくるかと思ったが…… クソガキも子の親になるとはの」


ロンベルトは感慨深くなりながら

「これは人と魔物がどうなっていくかの第一歩じゃ ファナーカの考え方わしも協力させてもらうよ お茶でも飲みながら子供達の様子でも見させてもらうとしようかの」


ロンベルトは視覚強化魔法のヴィジョンを展開させた。

画面いっぱいに子供達のそれぞれの試験が写し出された。


最初に試験が始まったのはテッドだった。

闘技場に案内されるとそこには学校の制服を着た学生が木剣をもってたたずんでいた。


「テッド君は肉体強化魔法による体術が得意と聞いている 彼はこの学校でも指折りの剣術使いだ 体力が続く限り何回挑んでもいい 彼から参ったと言わせるか一本取れたら合格だ」


この学生の名前はガク

今年15歳になり来年卒業してからは町の傭兵団に推薦されている実力者だ。

ガクは試験官から全力で相手をしろと言われている。


真面目な彼は手を抜くつもりは無かったが相手がまだ子供だということに少し戸惑った。


こんな子供に負けるわけがない。

試験官も同じ事を思っている。

学校で五年も修練を重ねてきたガクがさっき初めてこの学校にきたテッドに負けるわけがないと


「分かったよ! じゃあやろう!」

テッドが元気よく言った。


「君の好きなタイミングでかかってくるといい」

ガクがそういうとテッドは


「なら お言葉に甘えて!」


テッドは指先に力を入れてその場で思いきり腕を降った。

その瞬間とてつもない突風がガクに襲いかかってきた。ガクはなす統べなく突風に吹き飛ばされ壁に体を強打してそのまま気を失ってしまっていた。


「ちょっとやり過ぎちゃったかな 大丈夫ー?」

テッドが心配している横で試験官は動けないでいた。


「ありえない…… 今のは魔法も使っていなかった いや 使っていたなら詠唱もなしであんなに簡単に? それにあの威力 自らの闘気をぶつけただけであんな……」


もちろんテッドは肉体強化魔法は使っていない。


ガクの後ろの壁には大きな爪でえぐったような傷が深々と残されていた。

これはとんでもないやつがきたんだと試験官は改めて実感し合格の判を押した。

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