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許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい?  作者: 疎陀 陽
えくすとら!

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えくすとら! その二百三十四 おおっと。喧嘩か?


「……東九条さんのお兄さんって……」

 なんだろう、この熱い風評被害。っていうか、親父も母さんも――まあ、親父は親父でトリックスター気取りの所のある痛い人ではあるんだが、それでも温厚な人間ではあるのに。

「……お前、本当にウチの娘か?」

 誰に似たんだろうな、コイツ。そんな俺のジト目に、茜は大きくため息を吐く。

「残念ながら血の繋がった妹だよ、おにぃ。まあさ? お母さんだって結構苛烈なところあるじゃん? お母さん似だよ、きっと私は」

「分からんではないが……流石に母さんは口より手が出るタイプじゃないんだが」

「ま、その話はいいじゃん。もしタネが違うとかなったらお父さん、きっと発狂するし」

「……女の子がタネとか言うな」

 本当に。再びジト目を向ける俺に笑顔を向けると茜は『パン』と手を一つ打つ。

「ともかく! おにぃはまあまあモテます。運動はそこそこ出来るし、バスケに限った話では上手い方です。頭だって別に悪くは無いしね?」

「……そうよね。東九条君、勉強は得意じゃない――事はないか。この間も二十番以内だったし」

「です。天英館って進学校でしょ? そこで二十番以内だったらそこそこ凄いんじゃないです?」

「そうね。っていうより、東九条君の頭の良さってどっちかって言うとカンが良いって言うか……人の言ったことを理解する能力が良いっていうか……地頭、というのかしらね? そちらが良いイメージだわ」

「あと、意外に優しいでしょ、ウチのおにぃ」

「それは……うん。本当に、凄く……凄く分かるわ」

 ……やめて。頬を軽く染めてちらちらこっち見るの。いや、嬉しいんだよ? 嬉しいんだけど……恥ずかしいっていうか、まあ、うん。

「顔に関しては……まあ、うん。お察しって感じではあるんだけど……」

「そ、そんな事無いわよ! 東九条君、格好いいもん!! と、特にバスケットをしている時なんて……そ、その……ちょっと『ぽー』ってなったりしたもん」

 だから、本気でやめて! ほめ殺しとかマジで無理だから!! そして秀明! お前、ニヤニヤしながら俺の脇腹を肘で小突くな!!

「……愛されてますね~、浩之さん」

「……お前……覚えてろよ、マジで」

「いや~、御馳走様です! でも別にダメな事じゃないでしょ?」

「……まあ、な。こっぱずかしいけど」

「まあまあ。恥ずかしいくらいなんですか。我慢です――」


「えー? 彩音さん、それはちょっと趣味が悪いんじゃないですか? まあ、私は身内割適用されているんで、若干おにぃの顔が安売り顔だとは思いますけど……それに、顔の良さ……っていうか、容姿の良さで言えば秀明の方が断然男前ですね!! もう、本気で格好いいんですよ、秀明は!! バスケしている時の一生懸命な顔とか、もう最高でしたね!! 何度、自分の試合中にチラ見しちゃった事か!!」


「……」

「……」

「……感想は、秀明?」

「……すみませんでした」

 だろ? 顔を真っ赤にする秀明に肘で小突き返すと、小さくなる秀明。ほら? 恥ずかしいんだよ、真正面から褒められるの。

「……まあ、古川君が所謂『イケメン』というのは認めるわよ。でも、茜さんはお兄さんだからそう思うだけで……本当に格好いいのよ、東九条君は。でもまあ、この話はこの辺にしておかないかしら? このまま行くと、喧嘩になりそうだし……茜さんと喧嘩はしたくないわ」

「……そうですね。これに関してはお互いにお互いの彼氏が大好きって事にしておきましょうか」

「ええ。あれよ。『皆違って、皆良い』よ」

「そうですね!」

 ……お前ら、本当に勘弁してくれない? マジで恥ずかしいからさ? そう思いながら、視線をついっと逸らして。

「……あれ?」

 視線の先に、北大路と西島の姿があった。姿があったんだけど……あれ? あれって。

「どうしたの、東九条君?」

「いや、あれ」

 そう言って指さした先に視線を向ける桐生。北大路と西島の姿を向けた視線で捉えて――そして、眉根を寄せる。

「……あれって」

「……だよな?」

 そこに居たのは北大路と西島と……そして、ミホだかマホだかの女の子。それに。


「ねえ? なんとか言ったらどうなの? 私の『妹』に難癖付けているって聞いたけど? なに?」


 西島によく似た女の子が一人、まるで北大路と西島を庇うように立っていた。ってあれ……西島のお姉ちゃんなの? 三姉妹って言ってたし、あれか? 下のお姉さんってやつか?

「……ねえ、東九条君? なんか雰囲気があまり良くない気がするんだけど……」

「……だな」

 明らかに喧嘩腰な仮称『下のお姉さん』にため息を吐きながら、俺たち四人はそちらに歩みを進めた。

「……ねえ? ねえ、ねえ? 喧嘩? 喧嘩なのかな!?」

「……目を輝かせるな、スポーツマン」

 一人だけ、目をキラキラさせていたが。お前、問題起こしたら部活にも迷惑を掛けるから、絶対に手を出すなよ!!


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