えくすとら! その百三十七 西島さんの告白
編集さんに相談してないのでこれ、書いて良いのかどうか分かりませんが……このお話、書籍化予定なんですが先日、キャラデザ頂戴しました。詳しい事を書けないのが悔しいのですが……彩音ちゃん、マジ可愛。マジでヤバいよ、うん。テンションあがったもん。楽しみにしてください、いやマジで!!
来月か再来月くらいからちょくちょく情報開示出来るんじゃ無いかとおもっておりますので何卒よろしくお願いします……
完全にポカンとした顔で明美を見やる西島。そんな西島に、明美は笑顔を浮かべて言葉を継いだ。
「さあ、西島さん? どうぞ、お話下さいませ?」
「……い、いや……え? 東九条先輩? これ、私が可笑しいんですか? 説明する必要、あるんです?」
「……俺もそう思う」
マジで。いや、明美さん? 『何言ってるんですか?』みたいな顔しないでもらえます?
「……お前な? ビジネスライクで行きましょう、みたいな事を言っている人間に言えると思うか? 自分がイジメられ――」
「イジメられてなんかいません!!」
「――ハブられてる理由を」
俺の言葉に『うんっ!』と頷いて見せる西島。そこは拘るのね。
「そうですか? 浩之さんや彩音様ならともかく、私なら別に構わないのでは? 完全に赤の他人ですし、学校で言いふらす様な事もありませんし……西島さんだって今の状態が良いとは思っては無いのでしょう?」
「……まあ、好ましいとは言えませんね」
「完全な第三者視点であれば解決策もあるかも知れません。どうでしょう? 少しくらいは話をして見られれば」
明美の言葉に西島がはぁーと大きなため息を吐いた。
「……分かりました」
「……え? 分かったのか?」
今ので分かったの? な、なに? 実は結構マジで誰かに吐き出したかった感じか?
「……まあ、明美さんの言っていることも一理ありますし。別に言ったところで私に損は無いなら言っても良いかな、と。助けてもらった恩もありますし……何より」
先ほどより大きなため息を一つ。
「……この人、絶対言わないと解放してくれないでしょ?」
……す、すまん。
「……すまん。俺の又従姉妹が」
「良いですよ、別に。さっきも言った通り、解決するならした方がいいですし」
そういって西島は髪をかき上げて面倒くさそうに息を吐く。
「まあ、言ってハブられている理由なんてよくある男女のアレコレですよ。私の友達にミホって子が居るんですけど……その子の彼氏がまあ、ちょっと『チャラい』感じで……ミホって彼女が居る癖に、私にコナ掛けて来たんですよね。『ミホと別れるから俺と付き合わないか?』って。普通にタイプじゃないんで断っても『ミホとは別れるから!』みたいなこと言い出して……別に友達の彼氏盗ったりしたくないし? ハッキリ興味が無いって言ったんですけど」
「……」
「プライドが傷ついたんですかね? それでミホにある事無い事吹き込んで……それでミホがブチ切れちゃって。『なに人の彼氏に色目使ってんのよ』と……後はまあ、転がる様にですかね。それにシズカって友達も同調して」
「……そのシズカって子はなんで同調したんだ?」
「シズカの好きな子に告られた事があるんですよ。元々それでシズカは私に面白い感情は抱いて無かったんじゃないですかね? だからまあ、ミホと同調して……みたいな感じですかね」
……マジか。
「つうか……お前、モテんのな?」
「……自分で言うのは何ですけど……私、そこそこ顔は整っている方だと思うんですよ。そりゃ、桐生先輩や明美さん程じゃないですけど……こう、『丁度いい』って言うか」
「丁度良いって」
「絶世の美少女! とかなら相手も尻込みするじゃないですか? でも私ぐらいの顔面偏差値なら手が届くんじゃないか? って皆思うんですかね? 格好もこんなですし……『軽い』とも思われているんでしょうし」
……まあ……そう言われてみればそうか。いや、顔面偏差値とか軽いはともかく、佐島も藤田も昔は西島に惚れてたもんな。人当たりだって……俺らはともかく、そんなに悪くは無いんだろう。
「ねえ、西島さん?」
「なんですか、桐生先輩?」
「その……聞きにくいんだけど、『色目』を使ったというのは? その……ミホさん、だったかしら? その彼女の恋人に何か誤解される様な事をしたのかしら?」
「そんなつもりは無いんですが……そうですね、一度応援に行ったことがあるんですよ。桐生先輩も知っているでしょ?」
「知ってる?」
「ミホの彼氏、バスケ部なんです。佐島先輩に見に来てくれって言われたんで行ったんですよ、市民大会」
「……ああ」
あんときか。
「ミホの彼氏ですし、知らない仲じゃないです。前も言いましたけど、私バスケ……というより、スポーツしている人、結構好きなんですよね。普通にシュッとしてイケメンってのもありますけど、やっぱり何かを頑張っている人って良いじゃないですか? 分かりません、桐生先輩も? あの時の東九条先輩とか見てて」
「……分かるわ」
少しだけ照れた様に頬を染めてこちらを見やる桐生。あー……なんだ、照れ臭いがまあ、悪い気はせん。
「……なにイチャイチャしてんですか、普通にムカつくんですけど?」
「い、イチャイチャなんかしてないわよ!!」
「あれだけラブラブな視線をしといて……まあ、良いです。まあ、そういう訳でちょっと差し入れとかしたんですよ」
「差し入れ?」
「はい。運動した後って体力も使うじゃないですか? だから簡単に摘まめるモノとか、糖分補給も兼ねてはちみつレモンとか……後、クッキーとか」
「……流石に試合後にクッキーはきついんじゃね?」
「試合後だから、ですかね? 保存ききますし、別に試合後すぐに食べなくても家に帰ってからでも食べて貰えればと思って……ケーキじゃ常温じゃあんまりですし、人数多いとね。作るのはそんなに手間じゃないんですけど、クッキーと比べるとどうしたって面倒ですからね」
いや、まあ確かに。試合後にケーキは……まあ、クッキーもどうかという話ではあるが、それでもケーキより――ん?
「……作るのはそんなに手間じゃない?」
「? はい。ケーキ自体は作るのそんなに手間じゃないですよ。スポンジから作るとアレですけど……別に彼氏でも無いですし? 友達の彼氏とその部活仲間なら、それぐらいで十分じゃないです?」
「あ、いや、スポンジからとかじゃないとダメとか言うつもりはないが」
っていうよりも……
「……お前、ケーキとか作れんの?」
俺の言葉にきょとんとした顔をして見せて。
「え? だって私だって華の女子高生ですよ? お菓子作りくらい、出来ませんかね?」
……おい、やめろ。それは桐生と明美にきく。物凄い被弾しているんだけど。




