(13)オレは山火事の真相を知る
その夜、出された食事を食べ終えてジュリアと寛いでいる所へ、予告通りロビーナがやってきた。
「ロビーナです。入ります」
そう言って部屋に入ってきたのはロビーナともうひとり、長身の男だった。
「こちらが私たち第3隊の長です」
「リグナス・パルティナムです。我々はあなたたちを歓迎します」
なるほど、この長身の男が隊のリーダーなのか。
「ジュリアです。アスカを助けていただき、ありがとうございます」
「アスカです。この度は本当にお世話になりました。ご厚意に心から感謝しています」
こちらもとりあえず名前を名乗ってお礼を述べる。
「ところでロビーナ、その方はロビーナの御家族なの?」
ジュリアはオレより先にロビーナ呼びに慣れているらしく、話し方までくだけている。
なんかちょっと負けた気分で悔しい。
「リグナスは私の兄です」
やはり。
名前だけじゃなく見た目がもうそっくりだもんな。
男と女の違いはあるにせよ。
ロビーナが男装、もしくはリグナスが女装しても見分けつかんくらい。
いや、身長で見分けはつくか。
すいません、ウソをつきました。
しかしそうするとロビーナはこの隊のリーダーの妹という立場なのか。
改めて見ると、確かに品格というか威厳のようなものが備わっているようにも思える。
リグナスの方はもう間違いなくリーダーの器的なオーラ全開。
エリート中のエリートな感じですよ。
「実は少し話を聞かせてほしくて来ました。いいですか?」
エリートなリグナスが落ち着いた中音域の声で尋ねる。
さすが兄妹。これまたいい声。
「いいですけど、どういう話ですか?」
ジュリアの質問はオレも聞きたかったことだ。
「今日、ルネ湖でアスカに聞いたある話について、もう少し詳しく知りたいのです」
ロビーナが兄の意図を説明する。
ルネ湖ってあの水浴びした湖か。
ある話ってどれ?
エルフ……は絶対ないな、これは言うのは止めておこう。命の保証がない。
となるといずれにしろオレの話ってことだよな。
このリアルタイムで進行中の不可思議な体験のことについてなのか、ああ、そういえば背中の痣の話もしたっけ。
いやいや、痣はこの際どうでもいいだろ。
なら決まりだ。
「アスカ、なんのこと?」
「えーっと……」
説明に困るわ。
ジュリアにはロビーナに連れられて湖に入った、ぐらいしか説明してないっつーの。
「西の森、でしたか。あなたたちがそう呼んでいる所で起きたことについて、です」
リグナスが言葉はオレの予想していたどれでもなかった。
「西の森に魔物が出た話ですか? それとも放火された話ですか?」
ジュリアの方が反応が早い。さすがだ。
そしてリグナスが即答する。
「魔物の方です。その前に放火の件ですが、それは我々がやりました」
「え!?」
「えッ!?」
ここでオレとジュリアのツープラトンえっが炸裂!
ななな、なんですとぉーーーーッ!!??
「森の民が西の森に火を放ったっていうんですか!?どうしてそんなことをッ!!」
ジュリアが興奮してリグナスに詰め寄る。
「ちょっとジュリア、落ち着いて」
「でもアスカ、それが調査団の派遣になってあの惨事に繋がったのよ」
それはそうだが、まずはリグナスの話を聞くのが先だ。
まぁまぁとジュリアをリグナスから引き離す。
その間、リグナスはニコリともピクリともせずただスッと立っていた。
「西の森は何百年もの間、平和な森でした。それが半年ほど前から様子がおかしくなりました。不安と恐れと敵意が森に満ちていくのがわかりました」
リグナスが話し始めると、ロビーナが後を繋ぐ。
「私たち森の民は森の状態を定期的に監視しています。ただ、出来るだけ干渉はしないのが理なのです。ただ西の森については何らかの作為が感じられました。その作為について調査をしていたのですが、手掛かりを掴む前に森の方が限界に近付いてしまったようなので、仕方なく焼き治しを行いました」
「焼き治し?」
オレとジュリアがハモると、フッとリグナスが笑みを見せた。
「森の一部に火を放って森の気配を鎮静化し、悪しきモノを討ち払う儀式です」
「それで森に火を放ったんですか? 火で森が全部焼けちゃったらどうするんですか?」
ジュリアが疑問に思うのも尤もだ。
「その心配は無用です」
リグナスがすぐにその疑念を打ち消す。
「予め火の周る範囲を定めています。木々の間隔や風の向きなどを読んだ上で火を点けているのです。あの時は、近くの村まで悪いものが広がらないよう、村の近くに境界を引いて火を放ちました」
「ただ、ある程度の木を燃やさないと悪い気を完全に消すことはできないのです」
ロビーナが続けて説明した内容に、思わずはっとする。
横でジュリアも同じ顔をしてこちらを向いていた。
そういうことだったのか。
あの時の胸騒ぎについて、ようやく腑に落ちた気がした。
「それじゃ私たちがやったことって……」
森の民の儀式を邪魔してしまったということなのか。
「ロビーナがアスカに聞いた話によると、人間たちが火を消してしまったそうですね。残念です。昔は森の民と人間たちとの間で定期的に連絡を取っていたのですが、今はもうほとんどそういう交流がなくなってしまいましたから」
リグナスが寂しそうに、しかし決然と言った。
なるほど、かつては森の民と人間との間で連絡手段があったのか。
今回それが出来ていれば、あるいは……。
「火事の方は説明しました。では魔物の方について聞かせてください」
リグナスの口調はどこか事務的なニュアンスがあるように思えた。
しかし、魔物についてと言われても何から話せばいいのやら。
とりあえず戦った相手の種類については報告できる。
「西の森で見かけた魔物はドゥーの群れ、ガーム、オルト……」
「オルトが出たのですかッ!?」
ロビーナがものすごい勢いで割り込んできた。
リグナスもほんの少し目を見開いていた。
あ~湖で過去の経緯を話した時はその辺の細かいとこは端折ったからなぁ。
ざっくり森で魔物に遭遇したが、何とか倒して残りの調査団と一緒に引き上げたぐらいな感じで話しちゃったかも。
「あれは厄介だったよね、アスカ」
ジュリアがちょっと自慢気に同意を求めてくる。
「まぁ結局止めは刺せなかったけどね」
2つの頭の両目を潰して後はティックのチームに任せたからなぁ。
「オルトを倒さずにどうやって逃げることが出来たのですか?」
まだ食い付いてくるか、ロビーナ。
「目を4つ共潰して、前足も片方使えなくしたからほとんど動けなくなってたの。それで後は別のチームに任せて私たちは先へ進んだわけ。あ、でも帰りにちゃんと倒してるのは確認したから大丈夫ッ」
ジュリアがロビーナにVサインをしてドヤ顔。
「本当にオルトを倒したというのですか……」
何やらオレたちがオルトを倒したのがご不満の様子。
オルトってそんなにすごいん?
ほんなら次出てくるヤツの名前聞いたらどうなっちゃうんだろ、とちょっとワクワクしてきた。
さぁジュリア、続きを話して差し上げ給えッ!
「うんまぁそんなに大したことなかったわ。その後に戦ったヤツと比べたら……」
お、ジュリアも気が付いたのか、もったいつけるように話しだした。
「まさか! オルト以外にまだ何か出たのですかッ!?」
その時、リグナスも興味を惹かれたように『ほぅ』と小さく呟いたのをオレは聞き逃さなかった。
「あの日一番の強敵はキュベラスよ! さすがに最初のうちは歯が立たなかったけど父さんたちが合流してアスカが魔法の剣を使い始めてからは一気に形成逆転したわ。ねぇアスカ」
「あれはガラド達が応援に来てくれなければたぶん全滅してたよ、オレたち」
「そんなことないわよ。あいつに負わせた大きな傷のほとんどはアスカがやったんじゃない」
「いやだからオレひとりじゃ無理だったんだって。最後の止めはガラドだったし」
何故ここでオレとジュリアが言い争わないといけないのか。
ふと我に返ったらその場の空気が妙なことになっているのに気が付いた。
オルトであれだけ騒いでいたロビーナが一言も発していない。
リグナスも口を真一文字に結んで目を閉じてしまっている。
なに? どうかしたの?
「兄様……」
「うむ、まさかキュベラスまでとは」
ロビーナが呟くとリグナスが目を開けた。
「念のため確認させてほしいのだが、今の話は全て本当のことなのだろうね」
リグナスの口調がちょっと堅くなっている。
「ええ、本当よ」
「本当です」
ジュリアとオレが時間差で答えると、リグナスは再び目を閉じた。
考え込んでいるリグナスに代わり、ロビーナが言葉を繋ぐ。
「キュベラスは伝説の魔獣。普通にこの世界に存在しているモノではありません。何者かが召喚した可能性が高いのです」
召喚―――だと?
オレにもだんだんと事の重大さがわかってきた。
確かにあの凶悪な魔獣が人の手で呼び出されたのだとすると、誰が、何のために、という問題が出てくる。
「すぐに調べさせよう」
リグナスが目を開き、立ち上がる。
そのまま出て行きそうな雰囲気だったが、ふと思いついたように動きを止め、こちらに向き直る。
「キュベラスと戦って生き延び、あまつさえ倒してしまうなどというのは素晴らしい偉業です。本来であれば我々森の民が全力で対処しなければいけないはずの相手でした。礼を申し上げなければいけません。」
そう言って頭を垂れた。
(角度は極めて浅いが)
「いえ、そんな。お礼なんて……」
「どうか頭を上げてください」
ジュリアもオレも急な事に恐縮しまくった。
「ですが、出来れば今後は森での無謀な戦闘は避けていただきたい。森で人間が沢山死ぬと森の生気に悪い影響が出ますから」
いや、そう言われても出会ってしまったらやるしかないじゃないですか。
うまく逃げられる自信があるならともかく。
それにさっきからちょいちょい気になってたんだが、どうもリグナスという男は森は自分たちのもので人間にはあまり関わって欲しくない的な部分が隠さず出ちゃってるよね、これたぶん。
まぁ森の民というぐらいだからそれぐらいの自負はあるのかもしれないけれども。
「ご心配には及びません。私たち、もっと強くなりますから」
だが我がジュリアは予想の斜め上の返答で鮮やかに切り返してくれた。
強くなれば『無謀な戦闘』にはならない、という意味だ。
確かにそういう意味では言われたことに反しているわけではない。
「ほぉ。……アスカも同じ考えですか?」
「はい!」
せっかくのジュリアのナイスリプライに乗らないわけにはいかない。
「確かにあなたたちはまだまだ強くなる余地があります。では次に会う機会を楽しみにしています」
そう言ってリグナスは部屋を出ていった。
あれ? 今の言葉通りだとするともうしばらくオレたちとは会わないということになるのか。
ロビーナは複雑な表情でそれを見送ると、こちらに向き直り頭を下げた。
「兄が失礼しました。私たち森の民は自分たち以外の種族には元々関心が薄いのです。それが存在の軽視に繋がってはいけないと、昔から戒めの言葉があるのですが……」
「別に謝ることじゃないわ。私たちがまだ弱いのは事実だし、結果的に森を騒がせてしまったのも本当のことだもの」
よくそんな言葉がすらすら出てくるなぁとジュリアに関心。
所詮お客様のオレとは違って、トット村で生まれトット村に育って生きてきた者としての思いがあるのだろう。
オレもこの世界を異世界などと考えているうちは、何も成し遂げることが出来ないのかもしれないな。
よく考えなきゃいけない問題だ。
「ジュリアの理解に感謝します。ところで先程の話に出てきたガラドというのはガラド・ザナックのことですか?」
「ロビーナ、父さんを知ってるの!?」
「それではジュリアはガラド・ザナックの娘なのですか?」
「そうよ。そうだけど、どうして父さ……父のことを知ってるの?」
「兄から聞いたことがあります。冒険者ガラド・ザナック―――雷のザナック、雷神とも呼ばれていたと」
「まさか! 父は確かに昔冒険者だったけど、そんな二つ名があるなんて聞いたことない」
「確かもう20年ほど前の話です。それに私たちはガラドの名があったからこそ、キュベラスを倒したという話を信じられたのです」
なるほど、オルトであれだけ大騒ぎしておいてキュベラスの時は静かだったのはそういうことか。
「あの、リグナスさんはガラドを直接ご存じなのでしょうか?」
気になったのでロビーナに聞いてみた。
「どうでしょう? 兄が知っているという程度のことしか私にはわかりません。どういう経緯なのか、どういう間柄なのかまでは……」
「でも父さんは森の民の話なんか一度もしてくれなかったわ」
「それは賢明です。私たちのことを吹聴してまわるのはあまり良い行いとは言えません」
暗にオレたちにもそうしろと言いたげなロビーナの表情。
「ジュリア、それについては村に戻った時に直接聞けばいいよ」
「でも5年も先なのよ?」
「お楽しみは先に取っておけってことだろ。それにもしかするとこれから行くどこかでガラドの噂が聞けるかもしれないし」
「……そうね。なんだか秘密を探るみたいで面白そう。それいいかも!」
ジュリアのこういう切り替えの早いところもオレは好きだ。
「それでは今夜はもう失礼します。お2人ともまだしばらくここにいてもらって結構ですので、どうぞゆっくりして行ってください」
「あ、はい。ご厚意に感謝します。おやすみなさい」
「おやすみロビーナ」
ロビーナも挨拶をして部屋を出ていった。
やはりジュリアの方が親しい口調で話していてなんか悔しい。
「ちょっとどうしたの、アスカ」
「あ、いや、なんでもない」
どうもちょっとした考えごとなどで動きが止まってしまう。
なんだろう、この自分自身のテンポの悪さというか不器用さみたいな感じ。
心がオッサンなせいなのか、まだアスカの身体に馴染んでいないからなのか……。
「父さんが雷神って、どう思う?」
ジュリアはまだその事が気になって仕方ないらしい。
「う~ん、どうだろう? キュベラスとの戦いでも特別な技とか使ってた感じじゃなかったような……」
「でしょ!? それが一番気になったのよ。 だってそんなにすごい冒険者だったならあそこで一発ガツーンとすごい技を見せてくれたはずよ!」
確かにその通りだ。
オレも自分の戦いに夢中であまり周囲を観察している余裕はなかったが、ガラドの戦いぶりに英雄的な凄さまでは感じなかった。
「実は何か事情があって今は実力が発揮できていない、とか?」
「事情って何よ?」
「そこまではわかんないよ。ジュリアの方こそ毎日一緒だったんだから何かわからないの?」
「ぜんっぜん」
少しは考えろ! 今即答したろ!
「でも魔法が苦手なジュリアの父親が雷神だなんて、ちょっと意外だな」
「またその話? やめてよ、私が一番ショックなんだから」
「あ、やっぱり?」
「どうして私、魔法がうまく出来ないのかな……」
「まぁそう悲観的にならずに。大器晩成型って可能性もあるし」
何の根拠もない慰めというのは全く無意味なのだが、何か言わずにはいられない。
それに女子はとにかく共感力が大事って言うしね。
そうそう、うんうん、やっぱり? 私も~的な。
すると突然ジュリアが話題を変えてきた。
「そう言えばさっきリグナスさんが、私たちまだまだ強くなれるって言ってたわよね」
「ああ、言ってたな。ホントかな?」
「どこまで強くなれると思う?」
「さぁ。ジュリアはどこまで強くなりたいの」
「雷神を超えるッ!!」
「あはははは、それいいッ!」
「アスカは? どこまで強くなりたい?」
「世界を征服できるぐらい」
「ぅわぁ…………なんかちょっとバカっぽい」
おいおい、そこは笑ってスルーしてよ。
マジで引かれるとこっちが恥ずかしいわ。
「でもアスカが世界を征服するなら、私も手を貸すよ」
「おぅ、それは心強い。百人力だな」
「たった百人なの?」
「え、じゃあ千人」
「ダメ、万人にして」
その後はくだらない話を延々としながら、気付いたら2人とも眠っていた。
*****
翌朝、穀物のお粥を食べた後でさて今日はどうしようかなと考えてるとロビーナがやってきた。
「おはようございます。今日の予定は何かありますか?」
「おはようロビーナ」
「おはようございます。それを今オレたちも考えてたところです」
ううっ、オレも早くロビーナともっと親しげに会話してみたい。
「それではひとつ私に提案があります」
「なに?」
提案ってなんだろう?
「私に魔法を見せてください」
「ええっ!? なんで魔法? どういうこと?」
案の定ジュリアがテンパってる。
わかるよ、その気持ち。
「あの、ロビーナ。オレはまだ魔法が使えないっていうか、習ったこともないんだけど」
アスカの本体はどうか知らないが、オレにとっては事実だ。
「あのねロビーナ。実は私も魔法がちょっと苦手っていうかなんていうか、その……」
ジュリアが奥歯にモノがはさまったような言い方をしている。
これはこれで新鮮だな。
「そうですか。それは意外です。2人ともそんなに強力な魔法力を持っているのに」
は? 今なんつった?
「まほうちから?」
ジュリアがオウム返ししてくれた。助かる。
「魔法力は魔法を扱う源になる力のことです。人間も私たち森の民も、魔法力によって魔法を使うことができるのです」
「なにそれ、そんなの学舎では教わらなかったわよ」
「オレの読んだ書物にも書いてなかった気がする」
「そうですか。人間の間ではもう忘れられた知識なのですね。余計なことを言ってしまいました」
あ、またもしかして口にすると睨まれる系のワードになっちゃうのそれ。
いやいや、今度は云いだしたのはそっちだから。
オレら悪くないし。
「もし良ければもう少し教えてください、ロビーナ」
敢えてもっと攻めてみる。
いや、実際のところオレも本当に知りたいし。
「そうですね、せっかくですからいいでしょう。ただし他言無用です」
「わかりました」
「私も了解よ」
ロビーナの話をオレたちの世界の言葉でわかりやすく説明すると、つまり魔法力というのはMPの上限のようなもので、マグを満たすための容器であると。
大前提として、マグがあっても魔鉱石を介さなければMPとして蓄積できない。
また、マグがどれほど大量にあったとしてもMP上限以上は蓄積できない。
蓄積できないということは使用することもできない。
つまり一度に使用できるマグの上限が魔法力であると。
魔法力が大きい=高いということは使える魔法がより強大になる、ということ。
また、連続していくつもの魔法を使う余力がある、ということ。
そしてロビーナには魔法力を視覚化して感じ取る能力があるのだそうだ。
スカウターで戦闘力を計測する、みたいなものか。
だからロビーナはオレたちの魔法力を見て、強力な魔法を使える者だと判断したらしい。
なるほど、そういうことか。
「でも私、魔法苦手なんですけど」
ジュリアはそうなんだよなー。
確かにそれだと辻褄が合わない。
「魔法力があるということと魔法が使えるということが同一ではない、ということを私も今日初めて知りました。これは新しい知識です。ありがとうジュリア」
「全然嬉しくなーいッ!!」
地団駄を踏む勢いでジュリアが悔しがっている。
「あのロビーナ、オレの方はどうなんでしょう?」
「アスカはまだ魔法を使う訓練を何もしていないのでしょう? それなら問題ありません。今から私が教えます」
「えっ!? 魔法を教えてくれるの?」
マジか!
本当ならこんなに嬉しいことはない。
「ちょと待ってロビーナ! 私も! 私にも教えてッ!!」
必死の形相のジュリア。
「いいでしょう。1人も2人も同じことです」
「やった! ありがとうロビーナ!」
「ではお言葉に甘えて、よろしくお願いします」
こうしてロビーナ先生による魔法教室が開催されることになった―――。
読んでいただきありがとうございます。
全く動きのない回になってしまい申し訳ありません。
ですが、序章との繋がりや謎解き、そして新たな謎などが提示されたので今後にとって重要な回です。
次回はロビーナ先生の魔法教室ですので、2人には目一杯頑張ってもらいます。
引き続き応援よろしくお願いします。




