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魔法潜水艦オシリス  作者: 天空ヒカル
文明の終焉、あるいは・・・
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第6話 【思いがけない提案】

ホワイトハウス東棟地下にある大統領危機管理センターは、司令部機能を持つ核シェルターである。


この施設は上空で爆発するタイプの核ミサイルであれば、たとえ直撃を受けても耐えられる構造になっている。


しかし核シェルターを破壊する目的で、地面にめり込んでから爆発するタイプの核ミサイルが使用された場合は、その限りではない。


『問題は彼らがそれを持っているかどうかだ。』


ヒューム大統領は、帝国の出方(でかた)について思いを(めぐ)らせる。


だが()()()大統領に対して、思いがけない提案がなされる。


「大統領、オシリスに救援を要請しましょう。」


バーネット首席補佐官の提案に対して、ヒューム大統領の答えは肯定的なものではなかった。


「救援?誰をだ?私か?それともアメリカ国民か?あるいは人類全体かね?」


「大統領、我が国は現在、全面核戦争が不可避(ふかひ)という前提で作戦を遂行しています。」


「そうだ。それ以外に何がある?」


「我々が実際に体験した通り、オシリスはハワイ沖でエアフォースワンを見事にコントロールして見せました。ジェット機をコントロール出来るのであればミサイルをコントロールする事だって可能かもしれません。」


「ジョシュア、残念ながらハワイの時とは状況が違うのだ。オシリスは(はる)か7000マイルの彼方にいる。彼らがワシントンにたどり着く頃には、全てが終わっているだろう。」


「確かに現在の状況に対してオシリスは無力かもしれません。しかしこのまま何もしなければ、帝国はもちろん合衆国も回復不能なダメージを受ける事になります。」


「この状況を変えられる切り札がオシリスである。君はそう言いたいのか?」


「彼らはこれまでに2回、不可能とも思える作戦を成功させています。オシリスは我々の想像を超える力を隠している、私にはそう思えてなりません。」


「・・・分かった、任せる。好きなようにしたまえ。」


「ありがとうございます、大統領。すぐに連絡します。」


バーネット補佐官はそう言うと、足早に立ち去った。


ヒューム大統領は一方の当事者として、自国と世界の運命について考える。


バーネット補佐官には「任せる」と言ったものの、彼は実際にオシリスがこの問題を解決できるとは思っていなかった。


いかにオシリスが優秀な潜水艦であったとしても、核ミサイルの標的は全世界に広がっており、一艦船が()()()()出来るレベルを超えているというのが、ヒューム大統領の判断だ。


『仮にオシリスがミサイルの軌道をコントロールする能力を本当に持っており、数発のミサイルを標的から外せたとしても、大勢(たいせい)には影響しない。世界秩序(せかいちつじょ)は崩壊し、この文明は終焉する。』


ダグラス・ヒュームは、歴代アメリカ大統領の中でも最も優秀な部類に入る人物である。


彼は世界秩序(せかいちつじょ)の守護者としてのアメリカの使命を十分に理解しており、与えられた使命に対して忠実であろうと努力してきた。


そんな彼ですら、事ここに至っては、どう考えても()()以外の結論を導き出す事は出来なかった。


『そうなれば私はアメリカ合衆国の終焉に立ち会った最後の大統領として歴史に名を(のこ)す事になるのだろうな。もっともそれは、記録を(のこ)してくれる歴史家が未来に残っていればの話だが・・・』


既に(さい)は投げられた。


しかし、人類の運命は確定していない。


世界の危機を知らされていないはずのオシリスが既に動き始めている事を、彼らはまだ知らない。

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