第2話 【開戦】
NORADの防空監視網、偵察衛星、早期警戒管制機、帝国内のCIAエージェント・・・アメリカ合衆国が持つ、あらゆる情報ソースは全て同じ結論を示していた。
ヒューム大統領に帝国による核ミサイル攻撃の第一報が届いたのは、アメリカ南部歴訪のため、アンドルーズ空軍基地に向けてホワイトハウスを出発した10分後の事である。
最初の目的地であるフロリダ州最大の港湾都市・ジャクソンビル訪問を取り止めたヒューム大統領は、直ちにホワイトハウスへと引き返す。
「間違いないんだな!アレン」
「マリーンワン」と呼称される、シコルスキー社製の大統領専用ヘリコプター・VH-92の機内、人が5人も座れば一杯になる狭い客室内で、ヒューム大統領は収集された情報の最終確認を行う。
「間違いありません。帝国は合衆国とその同盟国に対して核ミサイル攻撃を実行しました。発射されたミサイルは現時点で確認されただけでも1000発以上。これは全面核攻撃です。」
国防総省のトップである国防長官の報告を聞いたヒューム大統領は沈痛な表情を浮かべる。
もはや取るべき道は一つしか残されていなかった。
「諸君、聞いての通りだ。事態は一刻を争う。私はアメリカ合衆国大統領として決断を下さなければならない・・・。今や我が国は戦争状態にある。離陸可能な戦略爆撃機は全て離陸させ、上空待機とする。私は黄河帝国の核ミサイル攻撃に対して、核による全面的な反撃を命じる。」
それを聞いたヒューム政権の中心メンバーの内、誰一人として反対意見を述べる者はいなかった。
大統領の命令を受け、ICBMを管理するアメリカ空軍と、SLBMを管理するアメリカ海軍は、報復攻撃を実行すべく、直ちに行動を開始した。
次回は7月3日(金)20時に公開予定です。




