第1話 【待ち伏せ】
アタシは最近「オジサン」に付きまとわれている。
高校からの帰り道、いつもの駅の改札口を出たところで、アタシは今日も後ろから声をかけられる。
「やあレイナ、もう進路は決まったかい?」
また来た。
ウンザリしたアタシはオジサンを素っ気なくあしらう。
「どうでもいいだろ、そんな事」
大体、名前で呼び捨てって超なれなれしいんですけど。お前はアタシの身内か!?
「その様子では、何も決まっていないようだな。」
オジサンの口調は明らかに嬉しそうで、図星を突かれたアタシはますます腹が立った。
「ウルサイ!それより何でついて来るのさ!?」
オジサンは自分の事を「何とか研究所の所長」って言ってたけど、それはきっとすごくヒマな仕事に違いない。
「君のお母さんにご挨拶しようと思ってね、つまり君と私の目的地は同じというわけだ。」
「ゲェー!また家来んの?」
「そうだ」
そうこうしている内に、アタシたちは家の前まで着いてしまう。
「まあまあ、良く来て下さいました。ウチのバカ娘のためにいつも済みません。さあどうぞお上がり下さい。」
家に来たオジサンをママは全力で歓迎する。
「レイナ!アンタちゃんと先生に挨拶したの?言っとくけど、タナカ所長先生に見捨てられたら、アンタにまともな就職先なんか無いからね!」
「けど、軍隊なんて危なくない?」
「何言ってんの?公務員よ、公務員!一生安泰な就職先じゃない!学校辞めて今日からお世話になりなさい!」
「・・・無茶言わないでよ、ママ」
ママはオジサンの手を取り、目をウルウルさせながら懇願する。
「タナカ所長先生、ウチの娘を何とぞよろしくお願い致します!タナカ先生だけが頼りなんです。」
「お母さん、何の心配もいりませんよ。娘さんの事は私にお任せください。」
コラー!そこの2人!勝手に話を進めるな!
ハァ~、何でこんな事になっちゃったんだろう。
アタシは2ヶ月前の出来事を思い出す。




