第11話 【発見】
ガクンという衝撃と共に、機体とカタパルトを繋ぐジョイントが外れ、カタパルト特有の強烈な加速Gから解放されたライト中尉は、操縦桿を握ると機体を緩やかに上昇させながらギアを収納する。
早期警戒管制機が収集したエアフォースワンの位置情報は、戦術データ・リンクを介してF/A-18F スーパーホーネットにリアルタイムで伝えられている。
ライト中尉は位置情報を頼りに、目標に向かって加速するのと同時に、後席の安否を確認する。
「ヤマモト少尉、私の声が聞こえますか?」
「・・・聞こえる」
「目標であるエアフォースワンは早期警戒管制機のレーダーが捉えていますので、そこまでは私がご案内します。」
「分かった。それで問題ない。」
離陸から15分後、戦術データ・リンクは目標までの距離が10マイルである事を知らせている。
天気は相変わらずの快晴で、視界は良好だ。
少し前から目標の方角を注視していたライト中尉がキラリと光る何かに気付く。
「見て下さい、エアフォースワンです!」
ライト中尉の口調は、明らかに興奮していた。
彼が指差した遥か先には、エアフォースワンの姿が辛うじて捉えられる。
「エアフォースワンを視認。少尉、指示願います。」
「距離1マイルまで接近。」
「了解、距離1マイルまで接近します。」
ライト中尉はエアフォースワンとの相対速度を合わせるため、スピードを緩めると、そこからは慎重に目標へ近付いていく。
最初は豆粒ほどに小さく見えていたエアフォースワンの機体は次第に大きくなり、全体像が明確になる。
1マイルの距離からエアフォースワンの外観を観察した限りでは、機体に大きな損傷は見られない。
損傷の詳細を確認するためには、もっと機体に近付く必要があった。
「少尉、もっと接近させますか?」
「このままでいい」
シオリにとっては、機体が大きく破損していない事が確かめられれば十分である。
エアフォースワンの機体は西日に照らされ、キラキラと光っている。
もし今が非常時でなければ、美しく輝くエアフォースワンに思わず見とれてしまったかもしれない。
だがシオリは自分の助けを必要としている人たちが目の前にいる事を十分に認識していた。
今、彼らを救えるのは自分以外にいない。
彼女が感傷的になる事はなかった。
『必ず助ける』
シオリは心の中でつぶやくと、魔力航行を発動し、わずか数秒でエアフォースワンを彼女の支配下に置いた。




