第6話 【救出準備Ⅰ】
「まず、何が必要かね?」
ヒューム大統領の問いかけに、タナカ少将はよどみなく答える。
「我が軍の具体的な作戦はこれから急いで固めますが、いずれにしてもパールハーバー・ヒッカム統合基地に隣接するダニエル・K・イノウエ国際空港の閉鎖は最優先でしょう。
一般旅客機の発着を禁止する事で、エアフォースワン着陸のための飛行ルートと滑走路を確保出来ますし、作戦に必要な軍用機をスムーズに発着させる事も可能になります。」
「ライアン機長、管制に確認してくれ。」
機長はヒューム大統領の質問に即答する。
「その点については心配ありません、大統領。
エアフォースワンの遭難信号発信を受けて、ダニエル・K・イノウエ国際空港は既に緊急閉鎖されています。」
「タナカ少将、空港は既に閉鎖されているそうだ。」
「ありがとうございます、大統領。
救助作戦を成功させるには、対象であるエアフォースワンの位置を正確に把握する必要があります。
早期警戒管制機が使えれば理想的ですが・・・」
「E-3 AWACSが今回の演習に参加していますよ。」
タナカ少将が声のする方に振り向くと、そこにはノース司令官が立っていた。
ノース司令官はホットライン通信機をタナカ少将から受け取ると、大統領と直接会話を始める。
「大統領、私は第5空母打撃群司令官のグレッグ・ノースです。何かお手伝い出来る事はありますか?」
「ノース少将、君に会えるのを楽しみにしていたのだが、少し遅れそうだ。実は・・・」
手短に状況を説明したヒューム大統領はノース司令に対して、オシリスとタナカ少将にあらゆる便宜を図る様、指示した。
ノース少将と大統領が話している間、タナカ少将はエアフォースワンの救出方法を考え続けている。
救出は確実に、そしてアメリカ側に必要以上に情報を与えない様、慎重に進める必要があった。
「やはり直接会って話をすべきだな。」
タナカ少将は独り言のように低くつぶやくのだった。




