【インターバル】
「事故」の1時間後、エアフォースワンは未だ健在である。
爆発のショックで機体後部にある圧力隔壁が吹き飛ばされなかったのは不幸中の幸いであった。
そのおかげで、キャビン内の気圧と気温の急低下は避けられ、与圧は辛うじて維持されている。
現状を見る限り、厳密には帝国の攻撃作戦は成功していない。
当初の計画では、エアフォースワンの圧力隔壁が吹き飛ばされる事で、尾翼に致命傷が与えられ、気圧と気温の急低下に襲われた機体は完全な操縦不能状態に陥るはずであった。
ところが実際には転舵の機能を失っただけで、エアフォースワンは今も旋回飛行を続けている。
もし帝国の計画が完璧に成功していれば、今頃は世界最強の攻撃能力を誇る空母打撃群の目前で、成す術もなくエアフォースワンが墜落するという、アメリカ合衆国にとって屈辱的な光景が展開されていただろう。
その一方、真っ直ぐに飛行出来ないエアフォースワンが、自力で安全に着陸する事は不可能に近い。
帝国による攻撃作戦の成果は明らかに不十分であったが、結果として彼らの目的は果たされつつあった。
そしてシオリたちは、まるで運命に導かれるように、再び彼らの陰謀に立ち塞がろうとしている。




