第4話 【わずかな希望】
『残念だが、この状況で我々が生還する確率は限りなくゼロに近い。』
覚悟を決めたヒューム大統領は、ワシントンD.C.に残っているミラー副大統領に連絡する。
現状を説明したヒューム大統領は、ミラー副大統領に後を託す。
「こんな事になってしまい残念だ。しかし君ならば大統領の職を見事に果たす事が出来ると信じる。
私は大統領の最後の仕事としてアメリカ合衆国の未来を君に託す。後は頼むぞ。」
ところがミラー副大統領の返答は、ヒューム大統領にとって意外なものだった。
「お待ち下さい、大統領。まだ打つ手は残っています。」
「どういう事だ?」
「オシリスの事をお忘れですか?」
「オシリス・・・そうか、その手があったか!」
「オシリスは現在、アメリカと日本の秘密協定締結を記念した、第7艦隊との共同演習に参加しています。」
「演習の場所は?」
「ハワイ沖です。」
「マイク!オシリスに救援を求めるぞ。直ちにホットラインを繋げ!」
オシリスに関する日米の密約に従い、数日前に開通したばかりのホットラインが早速役に立つ事になる。
『運命の神は、まだ私たちを見捨てていなかった・・・』
一旦は死を覚悟したヒューム大統領は、再び希望を取り戻し、スタッフを激励する。
「諸君、オシリスの実力は君達も知っているはずだ。
チャーリー盗難事件で、オシリスは原子力潜水艦を拿捕したんだ。
不可能を可能にするオシリスであれば、きっとこの状況を何とかしてくれるに違いない。
諦めるのは早いぞ。無事に生還したら祝杯を挙げよう。
支払いは全部私が引き受けるから心配するな。」
大統領の力強い言葉を聞いたスタッフたちの表情は少しだけ明るくなる。
だが、エアフォースワンに残された時間は8時間足らずである。
こうしてアメリカ大統領の運命はオシリスに託される事になった。




